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木更津港へ

(前回の話はこちら)

「で、今日どこ行きます?」

「あー…どうしようね笑?」

助手席に宮田、後部座席に鳩さんと僕を乗せたびめしが朗らかに尋ねました。10月の中旬といえども日が昇りきった午後3時の車内は、冷暖房の要らない過ごしやすい気温でしたが、初対面のお二人を前にノープランをさらけ出してしまう気まずさに変な汗をかいていました。

当時の僕がよく知っている釣り場といえば神奈川県の①浮島つり園(夜アジ)、②東扇島西公園(夜アジ)、③ふれーゆ(い駒さんの夜カマス)、そして品川区から大田区を跨る④京浜運河(ハゼ釣り)の4か所。

しかし、このうち①~③は当時夜しか魚が釣れたことがなく、また日中はファミリー層で釣り場が混雑していることが予想されました。そして、最も釣果が見込める④京浜運河は既にハゼのシーズンが終了してしまっており、正直手詰まりだったのです。

どうしたものか…と考えあぐねていた僕の脳内についこの間のびめしと話した記憶が蘇りました。

「ああ、ここアクアラインのそばなんですね。JBさん、ここを抜けたら
千葉まで行けますよ」

「最高の夏休みって感じですね!」より

浮島つり園に初めて来たときに見かけた案内標識に記されていた、未踏の地「木更津」。後日スマホで調べたところ、アクアラインを抜けた間もない場所には木更津港という港があったのを思い出したのです。

「…行ったことないけど、アクアラインを抜けて木更津まで行ってみる?」

「ああ、浮島からですか?行ってみましょうか!」


思い付きの提案でもノリがよいのがびめしの良いところです。
かくして、釣り素人4人はノープランで未知なる釣り場、「木更津港」を目指すことにしたのです。


道中、車内では宮田や鳩さんと改めての自己紹介、今回の経緯について話しました。

「ああ、宮田さんはびめしの大学の後輩だったんですね」

宮田が少し場の雰囲気に慣れたのか、おずおずと話し始めました。

「そうです、なんかびめしさんからLINEで連絡が来て」

『JBさんっていう釣りが上手い人に最近釣り教えてもらったんだよ!』

「…で、僕も今度来いって」

「急ですね…笑。で、鳩さんは?」

「僕も同じくびめしに誘われてきた感じですね。ロッドとリール、仕掛けは買ってきましたよ(※)」

「おお!助かります。予備とエサは持ってきたんですけど足りるか不安だったので」

※後日譚(2023/3/26)
JB「鳩さん、そういえばあの時点でびめしとは付き合い長かったんですか?」
鳩さん「いやリアルで会ったことないですよ。あの日が初対面でした」
JB「えっ!?」
鳩さん「びめしとは相互フォローではあったので、Twitterの彼の釣果を見て東京でも釣りができる場所あるんかなと思ってメッセージ送ったら、何か一緒に釣りに行きましょう!って誘われて」
JB「そんなことが笑」
鳩さん「だからあの日、僕は全員と初対面だったんです」
JB「知らなかった…道理であの日凄い気を遣ってらっしゃった訳ですね」

二人ともとても穏やかな人柄で話しやすく、五反田から川崎市を越えた後、アクアラインを抜けて木更津まではあっという間でした。

そしてー

「でっか」


目に飛び込んできたのはずらりと並ぶ大型船群(ヘッダー素材写真参照)と、東扇島西公園とはうって変わって悠々と釣りができそうな広大な堤防。


貧弱な装備で経験値もなかった僕にも分かりました。



ここは釣れる、と。


(続く)

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