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ビジネスにおける利己性と利他性

「利他の心を大切にしてます!」とか「あの人は利己的な人だ」とか色々な場面で聞くことがあると思います。利己的な人、利他的な人、どのような印象を持っているでしょうか?
仕事上におけるこの傾向について、僕の経験と考えを書いてみました。


人間は利己的か利他的か

僕は基本的に人間は利己的だと思っています。

かといって人間は悪である、とか言いたいわけではなくて、まぁ人間なんて大体そんなもんだよね、といった具合です。
ビジネスにおいて、この利己性(利己的行動)と利他性(利他的行動)をどう捉えるかは大きな意味を持っていると思っていて、特に組織風土改革や人材開発の分野では重要な考え方だと思います。

それは組織運営の中で仲間を信用しないとかいうことでは決してありません。一緒に働く仲間に対してお互い良くなっていきたい、というのは至極当たり前の話。それよりももっと深い部分で、人間は本来利己的だという考え方は忘れてはいけないと思っているのです。

本質を見た気がしたすすきの

僕がそのような考えを持つに至ったには色々な人生経験が影響しています。主にその価値観が形成されたのは20代。遊びまくっていた僕は基本毎日すすきのにいました。所謂ビジネス的に有益なお酒の飲み方をしていたということはまったくなく、ただひたすら欲にまかせて遊んでいました。今思えばよくお金が何とかなったなとも思うし、何より一応会社員として仕事をしながらよくあんなに遊べたものだと思います。(実際その頃は営業職で、まったく成果の出ないダメ社員だった)

ただそんな生活の中で得るものは非常に多かったです。今から15年前くらいそこには本当に沢山の人がいました。真っ当な経営者、よくわからない社長、真面目なサラリーマン、良いパパママ、遊び人、客引き、ホスト、キャバ嬢、反社の人、詐欺師、何かわからないけどヤバそうな人、毎日遊んでいると顔見知りが増えて色々な話をしました。知らない世界がいっぱいだったし、高校時代まで田舎で過ごした僕にはとても刺激的な毎日でした。

うっすら商売に興味があった僕は知り合いの繋がりで自然とキャバクラの経営側を覗かせてもらうようになりました。そこで沢山のことを学ぶことになったのです。
経営側から色々な人を見ました。お金が絡んだり、女の子が絡んだり、色々なトラブルが起こりました。そんな中僕が感じたのは、切羽詰まるような状況になった時、どんなに立派そうな人も最後は利己的であり、自分を守ることに精いっぱいだという姿でした。
あんなに格好良かった人も、偉そうな人も、深い部分ではお金や性や地位や名誉といった自分の欲には勝てない。どんなに偉い人もお金とエロの前には平等で、平等にだらしないんだなーという姿を沢山見ました。

だからと言ってそれがショックだったとかそういうことではなく、そんなもんか~という程度です。本当に大したことではないんです。
ただ言えるのは、人間の根っこには必ず利己的な心があるという実感でした。そしてそれは間違いなく僕自身にも言えることでした。

そのように他人を見ることによって僕は別に世の中に幻滅もしなかったし、むしろ少しだけ安心していました。「よかった、人間なんて大したものじゃないな」と。むしろだからこそ人間は人間らしく、愛し愛されるべき生き物なのだとも思いました。
で、その分どんな人に対してもビビらないメンタルが出来上がったのです。良くも悪くもどうせこの人も本質的にはそんなに立派じゃない、と思っています。聖人君子などこの世には存在しない。

悪くもと書いたのは、どうしてもクリーンな人のことを疑ってしまう癖がついてしまったからです。素敵な人に対して、そんなこと言って本当はドロドロぐちゃぐちゃした部分を隠しているくせに、と思ってしまうのは直さなきゃいけないなと思っています。

ビジネスにおける利己性

一般的にビジネスにおいては利己的ではダメでいかに利他的になれるのかということがポイントだと考えられます。僕自身も事業については完全同意です。
ただ、こと組織の中においては皆本質は利己的だよね、ということを忘れてはいけないと思っています。利己的(かもしれない)な集団が利他性の高いビジネスを目指している、という認識を持つことが大切だと思っています。

組織をつくるとき、チームビルディングの際、自分の利己性を見せることはとても大切だし。何より僕自身が相手の利己性がみられないと、信用しきれないという思いがあります。もしかしたら心の底から利他的な人もいるのかもしれないけど、だとしても僕はその人の根っこの部分、腹の腹の部分は違うんじゃないか、と疑ってしまいます。逆に利己的な部分が見えるとすぐに信用してしまいます。
ちなみに詐欺師はこの弱みと思しき部分を見せたり見せなかったりすることがとても上手いので、僕はここを上手く突かれるとすぐに騙される自信があります。

でも人間ってそんなもんだと思います。そんなに大したものじゃない。だからどんどんダメにもなるし、良くなりたいとも思う。
いくら崇高な信念や経営理念があったとしても、それを実現するのは欲にまみれた利己的な僕たち人間だということを忘れてはいけないと思っています。

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