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第3話 料理の食材は5つまで

 エディンバラのリース・ウォークにある「Gaia」という本場イタリア人が作る軽食とコーヒーが楽しめるカフェに友人と行き、食文化について2人で語った。メニューにはパニーニが主でパスタやおつまみ、ケーキなども置いてある。アルコールは置いていないが持ち込みが可能なので、それを知ってかワインを片手に来店する人がちらほらいた。
 初めて来るお店で料理を頼むときは、店主のおすすめかメニューで一番高いものを頼むと決めている。友人は一番人気のパニーニを注文していたので、私は本日のスペシャルパスタを頼むことにした。

 タイトルの「食材は5つまで」という言葉は以前ロンドンでオーペア(ベビーシッター)で住み込みをしていた時の旦那さんの言葉だ。旦那さんはイタリア人で子供達にご飯を作る時、私にも声をかけてくれて何度か手料理をご馳走になった。いつも料理の材料と作り方を教えてくれて、その度に我々の母国の食文化について話す。
 たまに夕飯が近くなるとパスタビアンコとロッソどっちが食べたいか、子供達に聞いているところを何度か見た。ロッソはトマトソース、ビアンコはバター。そう、バターのみだ。ベーコンや野菜、ニンニクなどは一切入っていない。食卓に並べるとなんと質素で他所のご家庭で申し訳ないが心配にもなってしまった。しかし子供達は何も疑問を持たず食べているのを見て気になりすぎて、皿洗いしている時に残したビアンコを一口食べた。それを機に食について考えるようになったかもしれない。味の感想は想像しているよりもはるかに美味しかった。

 例えばフランス料理やインド料理は様々な材料とスパイスを使う一方、イタリア料理はとてもシンプルだし全ての食材の役割を舌で感じることができる。舌馬鹿な私には入っても入ってなくても分からない食材を使った料理よか、入っている食材がわかっている方が食を楽しめる。迷ったら塩と胡椒。そう私はそれでいいのだ。

 いつも美味しいものを目の前にすると写真を撮るのを忘れてしまう。というか待てないのだ。なのでGaiaで何を食べたのかは覚えていないが、感動は覚えているととりあえず格好良く言っておこう。ちなみに「BACCO」というイタリア産のワインとパスタを楽しめるレストラン。友人が訪れた際は連れて行こうと思う。私が食べたいから。

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