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私の家にも未来が来た話

みんなが頭の中でイメージしている未来は絶対に空が晴れていると思うけど、実際のところ未来でも雨って降っていると思う。未来だって意外と華奢だ。みんなが思っているよりも未来は案外現実可能なのかもしれない。

私の住むマンションの駐車場に電動キックボードのシェアリングサービスLUUPが設置された。

最近街中で電動キックボードに乗ってる人はよく見かけるが、その嫌に背筋を伸ばしながら未来から来たかのような佇まいから、何だかあれに乗ってる人とは仲良くなれなさそうとか思いながら見ていた。

ただ毎日のように駐車場で未来を具現化したかのような薄緑色の車体を横目に生活していると、気付かぬうちにそいつのことが気になってしまうのは、愚かな人間の悲しい性なのだろうか。

まるで仕向けられたような電動キックボードの設置に対して、私はまんまとLUUPを登録してしまった。こんな在り方ではマンションの駐車場にガチャガチャが設置されれば要らないそれを回すし、社交ダンススタジオが設置されれば高いヒールで踊ってしまうのであろう。嗚呼全く情けないのため息である。

そんなこんなで電動キックボードに初めて乗ってみた小生である。

速度としては時速20kmなのでだいたい自転車と変わらないくらいだ。しかし駆動が完全にバッテリーなので自転車のように漕ぎ疲れることがないのが電動キックボードである事の意義であろうか。

ただやはり周りからの視線は感じる。未だにある電動キックボードに乗っている奴への「あいつとは可能ならば人生で関わらない方がいい」というような非常識的存在へ向けられた視線の方が、自転車を漕ぐ労力よりも重くのしかかる。

なのでぜひ皆様は街中で電動キックボードに乗ってる人を見かけた時には「前向きな気持ちで乗っていると言うよりかは、自分の駐車場に設置されたからと言う受動的な乗り方なんだろうな」くらいの気持ちでいて欲しいものだ。

あと普通に道路標識とかを自転車以上にしっかり守らないと行けないのでそれなら自転車の方が楽なのかもしれない。

こう言う「どうせバレないけど確実にそこにあるルール」を無下にしていると、飲み放題の時間がお前だけ10分くらい短くなったりするんだぞ。

あと車道を走らないといけないので、スマグラーで見たくらい大きいトラックが肩に当たりそうな距離感で通り抜けていく度に「俺が若くして死ぬ時は恐らくLUUPに乗っている時なんだろうな」とか思ってしまう。

もしそのトラックに轢かれた時には、救急車で病院に運ばれている間も、集中治療室で手術を受けている間もLUUPの利用料金は掛かり続けるのであろうか。まあどちらであれ死んでいる私には関係のない話だが。

あと街中で同じ電動キックボードに乗ってる人とすれ違うと、合コンで同じユニクロの服着てる人と向かい合わせになった時くらい恥ずかしくなる。

今後の人生ではこんな場面に出来るだけ遭遇したくないので、一着くらいは勝負服などと言ういい服を持っておいた方がいいとか考えさせられてしまう。

全く電動キックボードとはお金のかかる乗り物である。

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