見出し画像

行間を訓む vol.29 ~ HACHI「Deep Sleep Sheep」 編 ~

プロローグ


 こんはち~🐝 VSingerプロダクション「ライブユニオン」所属のVirtual Singer「はちたや」こと「HACHI」さん。8月8日の「蜂の日」である本日は新衣装のお披露目配信です!実におめでたい!!🎊🎂🎉

 ハチにまつわる本日の企画でクローズアップさせて頂く楽曲は、先日2023.06.09.に公開されました「Deep Sleep Sheepディープ スリープ シープ」です。

 HACHIさんは今年の年初に「バスタイムプラネタリウム」を題材にさせて頂いて以来の登場となりまして、記事内で少しくHACHIさんのご紹介もさせて頂いております。(過去の記事は下記からどうぞ!▼)


 今回の新曲はバスタイムプラネタリウムや他にリリースされている楽曲とはまた違ったテイストに仕上がっておりました。初見で聴いたときから個人的にも好きな楽曲なので、こちらで取り上げさせて頂きました。


下記にリンクを貼っておりますのでどうぞ一度ご試聴くださいませ。▼


 スゥーッと落ちていくような透き通る声と、スローなのにぽつぽつとリズミカルに心に響いてくるなんとも言えないエモさを感じる楽曲でした。
 タイトルの直訳としては「深い眠りの羊」といった感じで、寝るときに数えがちな羊を連想させます。早速ですが次の章から歌詞の内容についてんで参りましょう。


 注)セクション分けや歌詞の内容の考察ついてはあくまで筆者の個人的主観です。私自身は専門家でも何でもありません。もしかすると表現や言葉使い等に間違いもあるかもしれませんし、解釈違いが起こることは否めませんので万一の場合はご容赦ください。



歌詞訓み(§1)


暗い箱の中でなら
少しは泣いてもいいだろう
ここには誰もいないから
枯れきった声で歌える

 明るい外では無く、暗い自分の部屋という切り離された空間の中であれば、少しばかり涙をこぼして感情を垂れ流してももいいんじゃなかろうか。今この瞬間ここには自分以外存在しないのだから、枯れきったかすれた声で歌っても誰も気にしない。



繰り返す最後の言葉
君は困った顔で笑って
そうだね、ってうつむいた
あしたになれば ぼくらはさよならさ
また 会おうね。

 頭の中で何度も思い返すあのシーン。君が困った顔で笑って俯きながら「そうだね」と一言絞り出した、それが最後に交わした言葉。他にも色々言いたげだった気がするけど、今は何も考えられない。
 また明日になればぼくらのこの関係はピリオド。また巡り会えるのであれば会いたいけれど、いつになることやらわからない。



低体温の感情が頬に落ちてく 君のことを
忘れたくないだけなの
不確かすぎる存在の定義
わからないけどここで笑ってる
それくらい 許してくれても いいよね

 体の中で熱量が無くなった感情が涙として頬を伝って重力に従って落ちていく。ただ君のことを忘れたくないだけという理由で思わぬ形で心から出てしまった。
 自分の「心」という不確かな存在を自分でしっかり定義し理解することができず、ここで力なく笑うことしかできない。でも、それくらいの未熟さ位は許して欲しい、いや許してくれてもいいだろう。


歌詞訓み(§2)


ガラクタになってしまった
行き場を忘れた言葉
置き去りにされた心
ふら、ふら 君を探してた

 今となっては行き場を失いガラクタになって忘れ去られてしまった言葉。足下がおぼつかずにふらふらと君を探す最中にいつのまにやらどこかに置き去りにしてきた心。いったい何をしていたのかですら記憶にない。



非対称な世界に眩んだ
僕はまだ 眠れそうにないよ

 アシンメトリーに映る世界が歪に見えて目が眩んで参ってしまったようだ。僕はまだ深い眠りにはつけそうになさそう。



感情なんて不要だなんて嘘 ついちゃおうか
どうしようもない価値観なんて 捨てちゃおうか
簡単なんだ きっとそうさ それじゃないと
僕は すぐに 壊れてしまいそうだ

 自分が持ち続けている固定的でどうしようもない価値観など、この際全て投げ捨ててしまって、「感情など不要だ」という暴論的な嘘でもついてしまおうか。
 その方がきっと、よほど簡単だろうと思う。そうでなければ僕のこの心は今にも脆く崩れ去ってしまいそうだから。



ディープスリープシープ 夢の中へと
ディープスリープシープ ここにある鼓動
ディープスリープシープ 止まる前に そう
ディープスリープシープ

 寝るときに数える羊と共に、夢の中へと。確かに脈打つ鼓動を感じながら。考えることを止めてしまう前に、羊と一緒に深い眠りへ。



歌詞訓み(§3)


見えなくなって 落ちてく
今 僕がなにかさえ わからなくなって でも
明日は来るよ きっとね 大丈夫。
だから、おやすみ。

 今まで考えていたコトが少しずつ、自分の中から見えなくなって自由落下していく。そういえば僕はなんだったのかと自分のことすら頭から離れていったとしても、明けない夜は無いから。朝日はきっと昇るだろうから、今だけは目を閉じて、ひとときの休息を。



低体温の感情が頬に落ちてく
君のことを 忘れたくないだけなの
不確かすぎる存在の定義
わからないけどここで笑ってる
このまま 忘れたくないから まだ

 体の中で熱量が無くなった感情が涙として頬を伝って重力に従って落ちていく。ただ君のことを忘れたくないだけという理由で思わぬ形で心から出てしまった。
 自分の「心」という不確かな存在を自分でしっかり定義し理解することができず、ここで力なく笑うことしかできない。どうしても、まだ忘れたくないと思う自分がいるから。



未完成な感情の恋が溶けてく
僕の心 壊したくないだけなの

 できかけで感情の在処も分からず完成していない「恋」という感情が溶けて崩れていく。このまま自分の心が壊れてしまうよりは、きっとこの方が良いのだろう。



不完全な感情の論理
わからないままここで歌ってる
名前もない 宛てもない この心で
それくらい 許して くれても いいよね。

 揺れ動き続ける感情はいつも不完全で筋立てて表現できることができずにわからないままここ暗い箱の中で歌っている。
 名付けられず、投函する宛てもなくやり場の無い感情が零れる、そんな状態の心であっても、どこかの誰かは許してくれないかな。考えるのも疲れてしまった。



エピローグ


 自分の心の在処が不確かで、どうしようもできない不甲斐なさ、自分の未熟さとがぐるぐる混ざり合って。わからないままだけど、そんな自分を許して欲しい。いや、そんな私でもいいよね。
 荒削りな「青春」と淡い「恋」を感じさせ、深く眠りに落ちていきながら考えてみるけど、諦められない。揺れ動く感情を表現しているように思えました。

 やまない雨は無いように、明日はやってくるから。今はただ羊のように深く眠ってしまおう。…自分ひとりで考えてばかりだと疲れてしまいますよね。他人に話せる内容なら良いのですが必ずしもではないでしょうから、結局自分で結論づけて進むしかないんだけど、これで良かったのかとまた自問自答を繰り返してしまう。
 人間は完全ではないのだから、考えて・失敗して・学んで・選択をしながら歩んで行くものですよね。「完全の不完全の完全」とも言えそうです。そんな我々が多く集まった社会を生きていく訳ですから、全てが円満というわけでも無く、今日も誰かが嬉しい一日の反面、誰かが悲しい一日を過ごす。沢山の波と節を乗り越えて、今日を一所懸命。これは「DEEP」ですね。✨


HACHIさんのチャンネルとTwitter等は下記です!▼
他にも多くのオリジナル曲があるので気になる方はCheck it up!!

HACHI Twitter:https://twitter.com/8HaChi_hacchi


それでは、また次回の「行間をむ」でお会い致しましょう。
それではッ!!👋
2023.08.08. つなな

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?