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行間を訓む vol.8 ～菜花なな 「odette」 編～

つなな

プロローグ

　『おはばななですっ👋今朝も来てくれて、ありがとうございます♪ 』
――― 彼女のメイン配信は朝の6:30から。それもほぼ毎日と言って良いほどの朝活配信をしているVtuber。近況を語りながらリスナーと雑談、そして相棒の「ウクレレ」を取り出して演奏。ゆるふわなトークと雰囲気に癒やされながら身支度を調え、「今日も一日頑張ってみよう…」そんな『朝ばなな』習慣を貴方に。
　「行間を訓む」。末広がりの8回目を数えました今回の曲は、”私の推し”であるウクレレVtuberの「ばななちゃん」こと「菜花なな」ちゃんのオリジナル曲「odette」（オデット）です。
　ばななちゃんを知らない方に向けて僭越ながらご紹介をさせて頂きますと、2019.03.19. Avatar2.0 Project 所属の2期生としてデビューされたVtuberさんで、菜花の国のお姫さｍ(ry… という訳ではなく、歌とウクレレが好きなおっとりお姉さん。(公式紹介引用)　V専業ではなく普通にOLとして会社で働いており、"普通の会社員が朝の会社に行く前の時間"が、ばななちゃんの代名詞。"朝"に行われる"ばなな"ちゃんの配信『朝ばなな』なのです。
　私がばななちゃんを知るキッカケとなったのは、ナギナミとのコラボ配信でした。ウクレレの弾き語り歌枠として＋ホラーゲーム企画でのコラボということでしたので双方それぞれの雰囲気を楽しむにはぴったりな内容。ウクレレの上手さと持ち前の“ぱやぱや“な雰囲気に惹かれ、段々と朝ばななにも通う様になり、気が付けばメンバー登録といった具合でした。
　しかし、本人はしっかりしたお姉さんを自称しているものの、どこか抜けがちな所があり、電車の乗り間違えや冷蔵庫の閉め忘れ等のエピソードもしばしば。極めつけは歴史に残るであろうこの事件。▼

　…そんなこと、ありゅ？ ⇒ ええ、あったんです。人間、「どこか抜けていた方が可愛げが云々」とは言いますが、これは中々のやらかし。傍観者側である我々リスナーである「ばなフレ(ばななフレンズ)」は大いに笑わせて貰ったものです🤣
　後にテーマソングとなる「朝ばななの歌」をリリースされますが、そこにも上記のようなわたわたとしたばななちゃんの日常が描かれており、飾らない“ばななちゃんらしさ“が出ていてとてもすきです。
　そんなばななちゃんの色々をもっともっと語らせて頂きたいところではありますが、彼女は2021.11.30. 付けでの無期限活動休止を宣言され、2022.03.30. 付けをもってVtuberの活動を卒業される運びと相成りました。
　残念ながら私にとっては“推し“が休止し、卒業するということを経験する初めての機会となってしまいました。正直胸が張り裂けんばかりという心中でしたが、推しの選んだ道を後押しすべき、それがファン。Vtuber菜花ななに行ってらっしゃいを告げ、このセカイのどこかで健やかに暮らしていることを願って過ごしていた矢先、卒業の数ヶ月後にとある企画が浮上します。
　それが今回の紹介するオリジナル曲“oddete“の作者：諸味胡瓜先生による“oddete“音源再配信に伴うファンアート投稿企画です。
　ばななちゃんのYouTubeチャンネルでは今、アーカイブがほぼ全て消滅してしまい、かつての足跡を辿ることが大変難しい状況にあります。そんな中、胡瓜先生がご本人に許可を得て数あるオリジナル曲の中から、本人とファンにとっても思い入れのある“oddete“のばななちゃんによる歌唱音源をお借りし、ばなフレのファンアート「#ばななーと」を組み合わせて動画を作るというファンにはなんとも嬉しい企画が持ち上がったのです。私も今年の誕生日と３周年の際に投稿させて頂いており、3周年用のイラストを少々加工させて頂く形(新規で作成するまとまった時間が取れなかった為)で参加をさせて頂きました。
　今は視られない本人の歌唱音源とばななーとの融合により、本企画で大事な『まず聴いてみて』が出来るようになった。これは訓み直してみない手はなかろう、というわけでございます。
　動画は2022.06.30.に諸味胡瓜さんのチャンネルで投稿されております。どうぞ一度ご視聴くださいませ。▼

　ウクレレの音、ばななちゃんの歌声、メロディー。冬の空のように凛と澄んで、スーッと染み入るような一曲だったのではないでしょうか。
　では、次の章以降で本曲の歌詞について私なりの解釈で詳しく訓み通して参りたく思います。


歌詞訓み（§1）

　この曲では"君"と"僕"いう表現が使用され、"僕"視点で展開されるストーリーであることから、読み手の一人である私（筆者）視点で考えると、恐らく端から見ると男女の2人組で、夫婦もしくはカップルと思しき状態あるいはカップルに成りきれない距離感の男女2人であるようにも取れます。一緒に歌詞を見ながらそこも考察してみましょう。


枯れ葉通りをバスが横切る
浅い吐息が空へ消えていく
昼過ぎから雨の予報　震える枝の音

　大きく息を吸うと体が冷えてしまいそうな冬のある日、葉が落ちて枯れ葉通りとなった道をバスが横切る。冷えないように浅めにした吐息が白い煙となって空へ消えていく様子。今日は昼過ぎから雨模様との予報の通り、強くなりつつある風に揺られて枝と枝があたって乾いた音を出す。（※情景描写）


ねえ　湖の方まで歩こう
羽毛のフード　深くかぶってる
君の前髪　薄塗りのアイシャドー

　「今日は湖の方まで歩いてみよう」と君を誘ってみる。羽毛のコートに付いたフードを深く被って僅かに覗いた顔と前髪の合間に覗く薄塗りのアイシャドーを横目に見ながら。


きっと来年も再来年も　僕らは変われない
ただ古ぼけた夢の欠片を　胸ポケットに
隠し持っては　眺めるだけ

　きっと僕らはこんな日常を繰り返すのだろう。胸にしまった青写真は古ぼけてお守り代わりになってしまい、時たま人目を忍んで眺めているだけ。今を変えるだけの野心も体力もいつのまにか失せてしまった。


冬の水面で　スケート滑るように踊るのさ
凍てつく涙は解けてゆく
弓の輪郭　シュプール描いたら　その背には
光やわらかな白い翼　はためいて

　今はただ凍った湖の水面で踊る。アイススケートをするように。凍てついてしまった涙（時間と共に凍り付いた関係）を解かす（ほぐす）ように。踊った足下に弓の輪郭を描いた（シュプール＝滑った跡）刹那、君の背にはあたたかくてやわらかい光を放った翼がはためいて見えた。



歌詞訓み（§2）

　童心を思い出しながら踊った2人は少しく心も体も軽やかになったような感じという描写から、2人の傍らの荷物に視点がフォーカスします。


岸辺に置いた　朝一の袋
かたいバゲット　つつましい暮らし
きっと人生を生きるって　折り合いを付けること

　今朝赴いた朝一の袋が岸辺に置きっぱなしだったな、中には慎ましげな暮らしらしさの漂う堅いバゲット。私が思うに、色々あるけど「人生」とは折り合いを付ける（波風を立てずに）ということなんじゃないかな。


でも　今だけは傘も差さずに　両手広げよう
倒れそうなら　抱き寄せるよ

　今だけは童心に還って、傘すら差さずに。両手も広げちゃおう。もし君が倒れそうならすぐ抱き寄せるよ。


冬の水面で　スケート靴なしで踊るのさ
重ねた迷いも忘れゆく

　重ねた迷いも振り払って忘れ行くくらいに、スケート靴なしで。何も面倒なことを考えないで踊っちゃおう。


風の旋律　トゥループ決めたなら　その刹那
羽音軽やかに白い翼　はばたいて

　体で風のメロディーを感じ、トゥループを決めたその刹那。白い翼が羽音も軽やかに羽ばたいたように見えた。



歌詞訓み（§3）

　刹那に白い翼が"君"の背中に見えたが、正体がわからない。"僕"が見た翼は一体何だったのだろうか。何の翼であるのか、動物なのか天使なのかという謎が解けないまま終盤へ…


湖上のふたり
見つめ合えば時が止まる

　湖上で舞うふたり。ふと見つめ合うと、ぴたっと時が止まったかのような静寂。（胸の鼓動が相手に聞こえそう／伝わりそうな距離と拝察）


冬の水面で　スケート滑るように踊るのさ
凍てつく涙は解けてゆく
弓の輪郭　シュプール描いたら　その背には
光やわらかな白い翼

　時の流れと共にほころびのあった2人の関係を修復するように。冬の水面で踊りながら語らうふたり。弓の輪郭を描くような綺麗なカーブを湖面に描いた君のその背には、先程見えた柔らかい光を放つ白い翼。


纏った陰を振りほどくように
羽音軽やかに白い翼　はためいて
寒空へ　はばたいて
You're my Odette

　自分に纏わり付いた陰を振りほどくような力強さで、且つ軽やかな羽音を響かせながら、寒空の中に白い翼がはためいて見えた。
　湖面で白い翼…あぁ、成る程。"君"は"僕"の"odette＝白鳥"だったんだね ―――
（※odette＝オデット：バレエ「白鳥の湖」に登場する王女のことで、悪魔によって白鳥に姿を変えられてしまうが、ジークフリード王子との愛でその呪いを解こうとする。）


　―――湖面で舞うふたりが「白鳥の湖」に出てくる登場人物で、昼の間だけ白鳥の姿・夜の間は人間に戻るという呪いを悪魔にかけられてしまった王女「オデット(odette)」と、呪いを解くカギを持つ自分が、やがて身を焦がすようにオデットに惹かれていく王子「ジークフリード」の姿に重なってこの物語は終焉を迎える。

エピローグ

　名作「白鳥の湖」の物語に準えて、現代に生きる男女の恋物語を重ねて行くような様相のばななちゃんのオリジナル楽曲「odette」でございました。
　――― さて、ではここで冒頭に私が投げかけた部分に戻ります。物語における「ふたり」の関係はどのようなものだったのか？という点について。皆様はどのように"訓み捉え"られましたでしょうか。
　正直に言います。これ、いくらでも妄想できると個人的には思います。もしかしたら男と女じゃないかもしれないし、既に夫婦やカップルになっている前提でも理解できる内容に捉え直すことも出来ます。私が考え得る「if」ストーリーはおおまかに下記の3パターンです。

①学生時代（学年等は任意）に"君"に思いを寄せていた"僕"が何らかの理由で"君"と離れて疎遠になってしまい、時を経て再開した2人が距離感を思い出しながら関係を縮めていく様相。

②既に夫婦／カップルとなった2人がつつましく変わらない日常を送る中で、湖面で踊り、童心に還ることで"君"の魅力を再発見し、"愛"を確認し合う様相。

③2人は学生時代、良き友であった。それぞれの人生を歩んで久しぶりの再会、既にそれぞれの家庭も持っている状態だが、心の友として語り合った日々を思い出して童心に還る。その中で"僕"は身を焦がす相手（odette）は"君"だったかもしれないと気付くが、もっと早く気付く事が出来れば――― という発見と若干の後悔という様相。

　ハッピーエンド好きな私（筆者）は①の様相で幸せに爆発(？)というのがまあるく収まっていい気がしますが…。皆様の"訓み"はいかがだったでしょうか。こんなんいくらでも考えられますからね。（ミルク○ーイ風）


　今回「odette」を題材にさせて頂いた率直な感想として、「難しい」！訓み解きが非情に難産な一曲でした。なぜかって？筆者に"恋"に関する経験値が乏しいからです。お察しください。（あっ）
　しかし、なんとか無い知恵をしぼってここまで形にすることができました。もっと人生の経験値のある方から見たら考察が幼稚過ぎたかもしれませんね…。
　
　ばななちゃん推しのフレンズとして、「菜花なな」の名前と友に名曲として語り継いでゆきたい、そんな思い出深い曲のご紹介でした。
　もし、この記事がきっかけでばななちゃんと「odettte」を知ってくれる方がいらっしゃれば、幸いです。




それでは、また次回の「行間を訓む」でお会い致しましょう。
ではでは～！！👋
2022.07.21. つなな




おまけ

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