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過度に容姿を気にしていたあの頃。


――――「あんまり可愛くない」。




今から8~10年前、たぶん人よりも極端に容姿を気にしていた。

鏡は数分に一回確認し、
友達や知り合いとご飯に行くときはトイレに立っていちいちチェックしていた。

病的なまでに自分の容姿を気にしていた。



きっかけは多分、学生時代の彼氏の友達の発言。


高校でできた彼氏の友達が、私のことを「あんまり可愛くない」と言っていたらしい。
多分、ほんの一言。
彼氏が私の写真を見せたか何かで発した言葉だったらしい。

それをなぜか彼は私に言ってきた。


少し前の私であれば「ぶっ殺す!」
今の私であれば「そっか」

という反応をしていたと思う。


しかし、当時の私はその言葉に憑りつかれてしまった。

その名前も知らない彼の友達の言葉がすべてになってしまった。



それからの私は化粧を勉強しまくり、髪の手入れも一段と時間をかけた。

化粧をしたり、髪を巻いて登校すると怒られるので、薄いファンデーション・色付きリップ・ビューラーを使い、丁寧に丁寧に髪をヘアアイロンでストレートにして学校へ向かった。


その時の彼は私に一目惚れをして告白してきた隣のクラスの男子だった。

なんで一目惚れした相手に「友達にみせたらあんまり可愛くないって言ってたよ」なんて言えるのだろうと思い、もともと薄くなってた恋愛的感情がさらにペラペラになった。


しばらくしてその彼とは別れた。



しかし、私の容姿に対するコンプレックスはさらにひどくなっていった。


「彼氏の友達には可愛くみられたい」

次に付き合った彼氏に対して、このような気持ちしかなくなっていった。


もちろん彼自身にも可愛くみられたいと思うことはあったが、そこは変な自身がありあまり気にしていなかった。



デートにいくときも彼の反応より周囲の反応が気になってしまう。

変に思われていないかな。
ブスって思われていたらどうしよう。
釣り合ってないかな?

など、こんなことばかり考えていた。


こんなしょうもないことばかり考えていた私は、ナンパや告白をされるとたまらなく嬉しく安心した。


バイト中連絡先を聞かれたとき
街中で声をかけられたとき
クラスの男子に告白されたとき

ホイホイついていくことはなかったが、このナンパや告白で肯定感が底上げされたような気持ちになっていた。



この感情は20歳の頃まで続いた。


当時の彼氏のライブを見に行くときは、ライブハウスに入る前に化粧は崩れていないか、髪型はおかしくないかを確認し
彼氏がメンバーやお客さんに「お前の彼女可愛いな」と言われている姿を見てホッとした。




しかし、こういったやりとりを何回聞いても未だ学生の頃の「あんまり可愛くない」のその一言のほうが重かった。


歳を重ねるうちにその呪いのような言葉から解放されていったが、8~10年経っているのに未だに鮮明に覚えている。



あんまり可愛くないと言った本人は私のことすら忘れているだろう。

そして別に彼に対する怒りや悔しさ等の感情は一切ない。


思春期特有の傷つきやすい年頃だったのだろう。

今はこんな言葉で片付けられる。

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