さくら

21歳。 検察官を目指して奮闘中の司法試験予備試験受験生が ある日突然性被害に遭った話。

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21歳。 検察官を目指して奮闘中の司法試験予備試験受験生が ある日突然性被害に遭った話。

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私の心の傷を、どうか聞いてほしい。

私は将来、検察官になる。 そう思って過ごしてきた日々の中で、 ある日突然、 人生のどん底に突き落とされた。 大好きな法律の世界で、 夢見る法律の世界で、 人生で一番の苦しい思いをした。 人間として、女性としての尊厳を ズタズタにされるくらいの苦しいことがあった。 ニュースで報道されてからは、 たくさんのありもしない妄想が 小さな画面の中で湧き出るかのように語られていた。 世間で報道される悲惨な事件や 度々メディアで取り上げられる誹謗中傷。 そういう暗い話とは一生関

    • 親の悲しい顔を見るのが一番辛い。

      1年前、レイプされたことを親に話した。 お父さんは言葉を失い、 お母さんは静かに泣いていた。 「頼ってくれなかったことが悲しい。」 「あの時自分達は何にも知らずにさくらに接してたんだと思うと苦しい。」 言葉に詰まりながら、震えた声でそう言われた。 あの時私がなんで頼らなかったか、 なんで話さなかったか。 それは、 心配をかけたくなかったから。 親の悲しむ顔を見たくなかったから。 親が泣いている姿なんて見たくなかったから。 20歳の私には話さない選択しかできなかった

      • 声にならない言葉を聞いてほしい

        あれから、半年以上が経った。 心の底から笑える時間、 楽しいと思える時間も増えた。 頑張ろうと思う気持ちも少しずつ大きくなった。 電車やバスにもある程度乗れるようになったし、 男の人と話すこともできるようになった。 日々生きている現実の中で、 悲しい時間が少しずつ減っていく。 だけど、悲しさが減れば減るほど、 目を閉じた世界では、 忘れかけていた記憶が蘇る。 毎晩、怖い夢を見る。 現実ではすごく優しい大好きな人が、 夢の中で私を襲う。 夢の中の私は叫ぼうとしていて、

        • セカンドレイプは本当に存在する。

          性被害の当事者が、周りから好奇の目で見られたりすることで心理的・社会的なダメージを受けること。 私が性被害にあった時、その内容は各メディアで報道された。 そして、年齢、場所、時間帯、身分、たったそれだけの情報から、世の中は沢山の推測をする。 「若さで男を誘ったんだろ」 「そんな時間に出歩いてたらレイプされてもしかないよな」 「被害者の顔晒しまーす」 「逃げればよくね?なんで逃げなかったんだろ…」 「男も悪いけど女も女だよな」 100件以上のコメントが、私の胸につき刺さる

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        • 私に起きた事件
          3本

        記事

          no.3 検察官を目指しているが故に起きた事情聴取での悲劇

          被疑者が逮捕されてからは、 検察での事情聴取が始まった。 1日4時間くらいの事情聴取が、5回。 「なんでもっと強く抵抗しなかったんですか。」 「なんで逃げなかったんですか。」 分かってる。 仮にも検察官を目指してるんだから、 「反抗を抑圧する程度の暴行脅迫」が要件になることも分かってる。 私のために、私の味方でいるために、 検事さんはそう聞いてくれてるんだって分かってる。 それでも苦しくて。 「じゃあ、もっと強く抵抗して、逃げれないかもしれないけど逃げようとしていたら、

          no.3 検察官を目指しているが故に起きた事情聴取での悲劇

          no.2 逮捕までの数ヶ月

          それからは、警察に呼び出される日々が続いた。 朝の9時から夜の18時まで。 そんな日が何日も何日も。 時にはバイト先の近くまで警察の方が来てくれて、 警察の車の中で事情聴取を受けた。 現場の再現をした。 私の背がそこそこ高いこともあり、犯人役は男性警察官で、私の役は服を着せた等身大の人形。 私の口から説明したひとつひとつの行為を、 何時間もかけて再現していく。 「どのように触られましたか。」 「右手でしたか。左手でしたか。」 「そこであなたはどうしましたか。」 まるで、あの

          no.2 逮捕までの数ヶ月

          no.1 9時間にわたる事情聴取

          深夜12時、被害直後警察に行った。 ボロボロの体で、何が起きたのか、震えながら、泣きながら全てを話した。 身体中の皮膚から粘膜の採取。採尿。 ぼろぼろの状態で何枚も写真をとられた。 深夜2時、警察の提携している産婦人科に行き、 膣内に金属を入れられ、 アフターピルを処方してもらった。 衣類を提出するために警察の車で家に帰り、 警察官の前で着替えた。 下着も含めて衣類は証拠品として押収された。 深夜3時、警察に戻り、実況見分。 被害にあった場所まで案内して、 そこで起きたこ

          no.1 9時間にわたる事情聴取

          タイトル

          辛い気持ちに理由が欲しい。 強くなれとか、前向きなよとか、 そんな簡単に言わないで欲しい。 そういう言葉で、 私が頑張らなくていい道をつぶさないで欲しい。 強くなったふりをして、前を向いてるふりをする。 本当は、ぼやけた視界の中で見えるものは 暗い地べただけなのに。 嘘をつかずにいられる場所が欲しい。 誰か私の気持ちにタイトルをつけて欲しい。 どうしようもなく苦しいこの気持ちに 名前がつくのなら、 少しだけ、救われるような気がするから。

          タイトル

          ある日突然「私」が消えた

          いなくなっちゃった。私が。 どこかに行ってしまった。 ある事件の被害者になってから、 家族には言えないことが初めてできた。 警察署で深夜12時から朝9時までの事情聴取、 現場再現、実況見分、面割、 指紋採取、DNA採取、証拠品提出、 検察庁での事情聴取、 被疑者弁護士との面談、示談交渉、 裁判。 辛いことがたくさんあるのに。 何もないふりをする。 ふつうの人を演じる。 家族から「元気?」って電話がかかってきたら 「元気だよ」と返すけれど、 本当は人生のどん底かな

          ある日突然「私」が消えた

          依存先を増やそうと決めました。 ひとつなくなっても、自分にはよりどころがたくさんあるって思える人生を送りたいから。

          依存先を増やそうと決めました。 ひとつなくなっても、自分にはよりどころがたくさんあるって思える人生を送りたいから。

          負の感情をなくそうなんて

          私は この生きてきた20年間で たくさんの感情を知った。 喜び、幸せ、感動、期待、情熱、 私の人生を淡くあたたかく染めてくれるような感情を知った。 でも、生きていれば、 嫉妬、怒り、悲哀、不安、孤独、恐怖、辛苦、 人生を暗くする感情も沢山あることを知った。 そういう負の感情を抱くとき、 人は誰だって苦しくて、 その暗闇から抜け出したくて、 何かに縋ろうとしたり 誰かに支えてほしいって、 そう願う。 目の前がどんどん暗くなって どこに向かえばいいのかも分からなくなると、 多

          負の感情をなくそうなんて

          自分が傷つかないために、誰かに期待するのはやめよう。誰かに叶えて欲しいって、そう思うのはやめよう。 そう考えるようになった私はこれでいいのかなぁ。

          自分が傷つかないために、誰かに期待するのはやめよう。誰かに叶えて欲しいって、そう思うのはやめよう。 そう考えるようになった私はこれでいいのかなぁ。

          私には夢がある。 大きな夢がある。 夢があることは、 すごくありがたいことなんだけど すごく苦しくもある。 夢があることの何が苦しいかって その夢を追うことへの覚悟を持ち続けることが 一番苦しい。 どれだけ失敗したとしても、 その夢だけを見て 只管追いかけ続ける、 そういう覚悟を持つことは 並大抵のことではないし、 誰もが持ち続けられるわけではない。 私は中学生の頃から 夢が途切れたことはないけれど、 それは多分、 その夢が現実味を帯びていなかったから。 大学生にな

          臆病な自分

          歳を重ねるほど、臆病になっていく。 いや、臆病な自分がだんだんと見えてきたのかもしれない。 失敗することが怖い。 「若いうちにたくさん失敗しといたほうがいいよ。歳を取れば笑い話になるから。」って、10代の頃は言われてきた。 じゃあ、歳を重ねてした失敗はどうなるの?って、今は只管怖くなる。 20歳になって自由に動ける幅が大きくなった分、責任が社会的なしがらみとして強くなった。自分が失敗すれば、自分だけではなく周りの他人にも迷惑がかかる。 そんな中で、大学、バイト、勉強、恋愛

          臆病な自分

          人に依存する人生は、怖い。 相手が私の前からいなくなってしまった時、私を支えてた全てが壊れてしまう気がするから。 だから、私の前からは逃げないものに依存しようかなって思う。 これから、勉強、趣味、バイト頑張るぞ〜!!笑

          人に依存する人生は、怖い。 相手が私の前からいなくなってしまった時、私を支えてた全てが壊れてしまう気がするから。 だから、私の前からは逃げないものに依存しようかなって思う。 これから、勉強、趣味、バイト頑張るぞ〜!!笑

          感情は全て引用か。

          川上未映子さんの小説、『すべて真夜中の恋人たち』を読んだ。 この本の中にある言葉。 「うれしいとか悲しいとか、不安とか、…テレビみて面白いなあとか、エビ食べておいしいなあとか、なんでも。…そんなのっていつか…読んだり触れたりした文章の引用じゃないのかって思えるの。何かにたいして感情が動いたような気がしても、それってほんとうに自分が思っていることなのかどうかが、自分でもよくわからないのよ。いつか誰かが書き記した、それが文章じゃなくてもね、映画の台詞でも表情でもなんでもいいんだ

          感情は全て引用か。