no.2 逮捕までの数ヶ月

それからは、警察に呼び出される日々が続いた。
朝の9時から夜の18時まで。
そんな日が何日も何日も。
時にはバイト先の近くまで警察の方が来てくれて、
警察の車の中で事情聴取を受けた。


現場の再現をした。
私の背がそこそこ高いこともあり、犯人役は男性警察官で、私の役は服を着せた等身大の人形。
私の口から説明したひとつひとつの行為を、
何時間もかけて再現していく。
「どのように触られましたか。」
「右手でしたか。左手でしたか。」
「そこであなたはどうしましたか。」
まるで、あの夜をもう一度体験してるみたいだった。


30人くらいの男の人の顔写真が載ってる台帳を見せられ、「犯人はこの中にいますか。いなければいませんで構いません。」と警察官が言う。
あ。この人だ。と思う人がいた。
私が指を指すと、警察官が赤丸をつけた。


DNA鑑定と指紋の採取をした。
あの夜着ていた服を目の前に、
「どのあたりを触られましたか。」

この質問に答えるの何回目だろう。



こんな日が続くと、
私のために沢山協力してくれてる警察の方々への申し訳なさと、
「私に非があったんじゃないか」と思ってしまう自責念慮が次第に大きくなる。
もはや犯人への怒りとかそんなのは通り越して、
自分をただただ責め続ける。


逮捕の電話がかかってくるのは、
それから数ヶ月後のことだった。

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