転職先を考える際の材料 会社のジャンルを4つに分ける考え方

つい先日、私の前職の同僚と飲みに行く機会がありました。
集まったのは6名で既に私も含め5名が転職済みです。
また、転職した5名も現職は同じ会社で働いているわけではなくバラバラです。
当然、会話の中で仕事に関する話も出てきますが、転職先によって価値観が異なっており、面白いなと思いました。

一つ例を挙げると顧客に提示する価格と値引きについての議論で、顧客の予算が自社からの見積額になるべきだという考え方が私の前職の上司にいたという話がありました。
これに納得している人も2名ほどいたのですが、私の現職では、値引きの理由が顧客の予算都合というのは100%受け入れられないので転職して2年半経過し、仕事や営業に関しての考え方が勤務先によって変わってきたなと感じました。

また、転職先についても改めて振り返ってみると、転職した5名のうちいわゆるベンチャー企業は私1名、外資系IT企業に転職しているのは1名、残り4名は前職と同じ括りといってよい日系大手企業でした。
今回の飲み会のメンバー以外にも前職から転職した人の転職先を聞いたことがありますが、やはり日系大手企業、それも同業他社に行く人が最も多いです。
私は、その転職だと何も変わらないのでは?と思い、応募すらしなかったのですが、考え方の違いは面白いと思いました。

そんなことを考えているときに企業は大きく4つの枠に分けられるのではないかと思い、また転職先の選定にあたって第一歩を決める材料になるのでは?と考えました。

図1 企業の4分類

上の図のように企業は業界など関係なく4つに分類わけできると思います。
横軸が会社の新旧、縦軸が規模の大小になります。
一つずつ説明します。

まずは、左上のJTC系企業です。
こちらは新卒の就職活動での人気企業である日系の古くから存在する大手企業です。
次にその下に行って老舗系企業です。
こちらは大企業の下請けや規模が小さいまま長年経営され続けている企業になります。
私の経験ですが、就職市場が芳しく無くなると、この業界の中の優良企業を探す傾向が強くなると思います。
次は右上の今をときめく系企業です。
こちらは会社ができてからそこまで長い年月は経過していないものの、しっかり成長して従業員を多く雇用している企業を指します。
JTC系との差を挙げるならば、創業者がいまだに存命で社長をやっている企業と言えると思います。
最後に右下の荒野系企業です。
こちらはベンチャーやスタートアップ企業を指します。
一応社名を挙げていますが、挙げきれないほどの会社があり、新設、倒産の数もおそらく圧倒的に多い分野です。

そして企業の特徴は大きく以下の4項目で比較ができます。
・給料
・裁量
・安定
・市場価値

この4項目について何が手に入るかが、それぞれのジャンルで異なってきます。
こちらもそれぞれ解説します。

まず、JTC系企業です。
こちらで手に入るのは、高い給料と安定性です。
だからこそ学生が入りたがるのも頷けます。
逆に大企業かつ年功序列も相まって裁量はかなり制限されます。
また、組織内の仕事も多く市場価値がつく仕事になるかで言えばそうでないケースも多いです。

次に老舗系企業です。
こちらで手に入るのは、裁量と安定です。
人数が少ないので一人で幅広い業務に対応する必要があります。
また、長年事業が継続していたり、大企業からの仕事となれば大企業が健在な間は生き永らえることができるので安定していると考えられます。

次に今をときめく系企業です。
こちらで手に入るのは、高い給料と市場価値です。
特に外資系企業であれば既にご存じの方も多いと思いますが、日系企業の2倍以上の収入も普通に期待できるような企業もあります。
また、事業自体は新しい内容であるため、市場価値もつけやすいと考えられます。
その一方、特に外資系だとレイオフのリスクがあります。
そのため安定性は低いです。
また、組織自体は大きくなっているため分業がある程度は進んでおり、裁量もベンチャー企業と比較すると小さいと考えられます。

最後に荒野系企業です。
こちらで手に入るのは、市場価値と裁量です。
事業は最先端の内容になるため市場価値が上げやすいのと、人数も少ないため高い裁量も得られます。
その一方、規模の大きい会社と比較すると給料は低くなりがちです。
私自身や同じ職場の他のメンバーにも転職してベンチャーに入る時に給料が下がったという話は結構聞きます。
また、事業がそもそも市場に受け入れられるのかが、まだわかっていない状況も往々にしてあるため安定性も低いと言えます。

表1 各ジャンルの強み弱み

この各ジャンルの中でもいろいろな企業があるので一概に同ジャンルのすべての会社が同じとは言いませんが、傾向はとらえていると思います。
そして、自分が転職を考えるときに今の職場には何が足りなくて転職するのか?それを考えた時に次に進む道の参考になると思います。

ちなみに私はこの中で言うとJTC系企業から荒野系企業に転職しましたが、前職の同僚の転職先を聞くとJTC系企業からJTC系企業への転職が圧倒的に多いです。
もちろん転職難易度も変わってきます。
まず、一番転職が容易なのは同じジャンル内での転職です。
例えばベンチャー界隈で働いている人がいきなり大手の製造業や金融機関に転職するという話はほとんど聞きません。
ベンチャー→ベンチャーの転職が一番よく聞きます。

次に楽なのは隣り合っているジャンルへの転職です。
例えばJTC系企業から老舗系企業や今をときめく系企業への転職です。
特に聞くケースがあったのはJTC→外資系への転職でした。
やはり給料が文字通り桁違いというのもあるのでしょう。

逆に転職の難易度が低いのは斜めの転職です。
例えば、老舗系の企業からいきなりGoogleに転職するというのはなかなかハードルが高いように思われます。
その一方私の現職には中小企業で働いていた人が転職して入ってくるケースも何度か耳にしました。

これから転職を考えている人は今自分が働いている会社はどのジャンルに所属していて、どこに行きたいのかそれを考えるべきです。
そのための行動として現職における、給料、安定、市場価値、裁量のどこに不満があるのかをはっきりさせるのと、転職後に絶対失いたくないポイントも把握しておくことが必要です。

私の場合は前職の時はとにかくやる気がありませんでした。
ただ在籍している会社は給料もそれなりな水準をくれて、拡大はしないけどすぐにつぶれるわけでもない、いわゆる逃げ切りは何とかなりそうなレベルでした。
私が転職の時に欲しかったのは、まずは市場価値でした。
誰が上司になっても、どの仕事を与えられても、嫌だったら辞めれる人が私の中では最強です。
そのためにはやはり市場価値が必要不可欠だと考えていました。
今はそこまで極端ではありませんが、やはりどこに行っても活躍できる能力は魅力的だし、それが他の給料や裁量、安定につながると考えています。

良く転職本などで今の会社の不満を100個書き出せというようなアドバイスを見たことがありますが、おそらくその不満は今回挙げた4つの項目のどれかに該当します。
特定のジャンルで不満の数が多ければ、それを解消するジャンルの企業に行くための転職活動をしても良いと思います。

最後に図1で例えとしていくつかの企業名をあげているジャンルがあります。
荒野系企業でSmartHRやマネーフォワードなど従業員が1,000名を超えるような企業も入っています。
荒野系は安定しないと書きましたが、今回例として挙げた企業はすぐに倒産するようなことは無いと考えられます。

4つのジャンルで企業を分類しましたが、今所属しているジャンルにずっと留まるわけではありません。
例えば、今をときめく系企業で楽天を挙げていますが、おそらく20年前と今では社内の制度の整備状況も変わってきているだろうし、入社する人員も変わってきているはずです。

今回、会社のジャンルを分けていく中で一つ気づいたことがあります。
それは、会社のサイクルは順番で変化していくということです。

例えば、楽天やサイバーエージェント、AmazonやGoogleも最初は1人もしくは2人などという超小規模でスタートした会社です。
そのため新しくて小さい会社、つまり荒野系企業であったと言えます。
それが時代の波に乗り、規模が大きくなって、今をときめく系企業になったのです。
そして今のJTC企業も最初は何も無いところからスタートし、時代を掴み、規模が拡大して事業や人自体が良くも悪くも落ち着いて今の状況にあります。
事業自体は時代にそぐわない内容も増えてきており、人員は不要になってきます。
早期退職募集はその最たる例でしょう。
そして会社は縮小し、老舗系企業に移行して最後は消滅ということになります。

会社の誕生から消滅までのサイクルは、誕生して、荒野系企業→今をときめく系企業→JTC系企業→老舗系企業というように移っていきます。

最近、なんか入社した時と社内の雰囲気が違うという場合は企業のフェーズが変わりつつあると考えても良いかもしれません。

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