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更に見えてきたアメリカの分断。BLM運動に欠けている連帯という戦略。

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 BLM運動という単語を聞けば、眉をひそめる人も多いだろう。

 それもそのはずだ。

 日本において、黒人はアメリカのような生命の危機に発展するような差別はない(他の差別はあると思いますが)。
 
 むしろ、世界的に言えば、アジア人は差別を受ける側だ。
 例えば、コロナウイルスの流行初期は、地下鉄を歩いてるだけのアジア人が突然殴られる事件が何件もあったし、アジア人の小さな目を揶揄して、つり目ポーズで写真を撮ることも多い。

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 スポーツでも当たり前のように行われている。

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 ONE OK ROCKの『Stand Out Fit In』のPVなんかもアジア人差別がテーマになっていたりする。


 そのような認識もあってか、日本国内では、BLM運動はあまり盛り上がらなかった。

 しかし、そのような状況を許さないとして、様々な活動家が日本を差別を容認する国だと非難した。

 そのような批判に多くの人がこう思ったはずだ。

 『日本で黒人が生命の危機、感じることないじゃん!というか、アジア人は世界的に黒人からもアジア人からも差別されてるしさ!』

 
 正直に言おう。僕たちはBLM運動にうんざりとさせられた。


 勘違いしてほしくないのが、BLM運動そのものを否定したいわけではない。

 BLM運動は正しい。

 正しいからこそ、このような感情が湧いて出てくるのだ。


 BLM運動は、アジア人の共感を生み出せる装置がない。
そういう仕掛けがないと人は動かない。
 日本人のみならず、ほとんどのアジア人はBLM運動に向いていないだろう。

 BLM運動は戦略的に致命的な欠陥を抱えているのだ。

 トランプ支持者の国会議事堂襲撃事件。この報道のされ方を見て、改めてBLM運動の戦略の問題点も浮き彫りになった。

 アメリカ大統領のドナルド・トランプが扇動したことが原因で、結果的に暴徒となったトランプ支持者が、アメリカの首都の連邦議会議事堂を襲撃した。
 


 このニュースは世界の衝撃を与えた。

 民主主義国家のアメリカの国民が、暴力的な手段によって、政治的な意志を貫徹しようとする。


 この事件の首謀者のトランプは、アメリカ国内のみならず、世界中から批判の対象となった。

 このニュースを英国メディアBBCはユニークな視点で取り上げた。

 暴徒の制圧方法について、BLM運動と比較したのだ。



 『米議会襲撃 「黒人だったら殺されていた」 BLMと異なる警察の対応』
https://www.bbc.com/japanese/55657279


 このニュースをまとめると、以下のようになる

 国会議事堂に入った暴徒達への対応を見れば、BLM運動への対応と全く違う。
 もし、これがBLM運動だったら銃撃されて、沢山の死者が出ていただろう。
 B黒人はテロリスト扱いされるが、白人は抗議者として扱われた。
 暴徒は黒人ではないから優遇されている。警察の対応から見てもこれは差別なのだ。


 勘の良い人は既に気づいているかもしれないが、これは極めて危険な主張だ。


 BBCに報じられた彼らの主張を裏返せば、こうなる恐れがある。


 警察の制圧がより過激であれば、よかった。暴徒となったトランプ支持者が銃殺されれば文句はなかった。

 
 BLM運動は差別されている。だから他の運動も厳しく取締を受けるべき。


 BLM運動からアジア人の僕たちが感じ取っていた排他性が再び現れたのだ。

 このような考えであれば、更に分断を生んでしまう。

 連帯の戦略を練り直すべきではないか。BLM運動の思想をよりもっと開かれたメッセージにアップデートするべきではないだろうか。

 BBCの報道を見てさらに思いました。


 ちなみに、僕の考えとしては、単純に、国会議事堂内部という場所の問題だったと思う。
 立法府の国会議事堂を行政権力である警察権力は、血で汚すことはしたくないだろう。そう考えると迂闊に銃が撃てない可能性が高い。
 警察はどうすれば良いか分からず思考が停止していたという状態だと思う。

 

 最後にもう一度言っておく、BLM運動は正しい。

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