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東京都の不都合な真実。国の基準では重症者数は既に200人超えか!?(日刊ゲンダイ参考)

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 2020年12月3日
 大阪府の吉村知事は府内のコロナの感染状況が深刻だとして、大阪府の独自基準『大阪モデル』において赤信号を点灯させ、『医療非常事態宣言』を出した。
 大阪府下の厳しい経済状況を考えれば、このような宣言を出したくなかっただろう。
 しかし、止まらない重症者数の増加が彼にこの決断をさせた。
 コロナ対策本部会議の記者会見で吉村知事は苦悶の表情を浮かべながらこう述べた。

『このままでは、重症病床使用率が1週間以内に7割を超える』


 確かに大阪府の重症者数は全国的に群を抜いている。
 12月5日時点での重症者数は139人、入院数871人となっている。


 しかし、ふと疑問に思うことがある。
 なぜ大阪ばかりがここまで危険な状態になっているのか。日本最大の都市である東京は、何人なのだろう。


 上記と同じく12月5日時点では、重症者数55人、入院者数1,744人となっている。
 どう考えても重症者数が少なすぎる。
 東京都の人口は大阪の約1.5倍強あるのだから単純計算で重症者は200人は超えているはずだ。

 また、大阪と東京の入院者数から比較してもそのおかしさがわかると思う。


 
 感染者数及び入院者数は東京都がダントツで多いのだから、重症者数も一番多いのが当然。

 なぜ重症者数がここまで少ないのか?
 


 そんな矛盾を粘り強く報道し続けているのが、日刊ゲンダイです。
 さて、記事を紹介したいと思います。

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『過去最多570人感染の東京都 コロナ重症者が「国の基準」で激増の衝撃…医療崩壊の危機も』 

https://news.yahoo.co.jp/articles/80129411ba393e5923ebe63c67ad01b3c330cbf9

 この記事では、東京都の重症者数の計上方法の問題点を指摘しています。

 厚労省は、①人工呼吸器装着②人工心肺装置(ECMO)の使用③集中治療室(ICU)などに入室――のいずれかに当てはまる患者を「重症者」としてカウントし報告するよう各自治体に求めているが、都は③を除外し、①と②だけを重症者としてカウントしている。



 東京都は重症者数の計上において独自の基準を採用しているのだ。
 これにより、重症者数及び重症病床使用率を低く見せている。

 東京都はこの問題について以下のように説明する。

 重症基準における都の基準 は、人工呼吸管理または ECMO を使用している患者です。

 厚労省と異なる基準で重症者数を計上するする主な理由は、
①ICU在室者の全てが、必ずしも重症でない。
②人工呼吸管理下の重症患者が必ずしも、ICUに入室していない。

③ 集中治療の基準が病院によって異なる可能性があること。

④人工呼吸器やECMOの導入は、判断の差が出にくく、基準が明確であること。


 ICUに入っている=重症ではない。
 確かにこれはそのとおりです。ICUに入っているが、ほとんど治りかけで、症状は落ち着いているという人もいたりするので間違いはないように思えます。

 しかし、だからといって、その事実のみで重症者にカウントしないのは大きな誤りです。

 これを重症者とカウントしなければ、重症病床使用率という指標が意味をなさなくなるからです。
 重症病床使用率は、医療崩壊を起こさないラインの見極めに使われるのです。
 もう少し具体的に言うと、現在の医療資源はどれだけ活用されており、あとどれくらい使えるのか?という判断材料になるのです。
 通常の入院だけでもコロナ患者は、複数の看護師で管理されています。そんなコロナ罹患者が、ICUに入れば、かなりの医療資源を圧迫します。
 他の病気や怪我で緊急の患者が着てもICUで対応できなくなるのです。
 

 現在の都の基準だと、医療資源を総合的にどう確保するか、という視点がすっぽり抜けています。

 
 
 では、東京都が厚労省の基準を完全無視しているかというと、そういうわけでもありません。
 このようにも述べています。

 厚労省から集中治療室(ICU)等での管理が必要な患者についても含めて報告するよう依頼があったため、依頼に基づいた患者数を参考値として提出する。


 つまり、東京都も厚労省の基準で数え、一応その数値を報告しているのです。


 しかし、厚労省の発表する重症者数の全国総数では、是正されていません。東京都の重症者数は都基準の数値のままです。

 これはNHKがサイトで公表している画像です。

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 下の方に『自治体ごとの重症者の基準をもとに、全国集計した』と書いています。

 こんなカウントされ方認められるならば、厚労省の基準の意味が全くなくなると思います。
 厚労省は東京都から報告を受けているのだから厚労省基準の正しい数字で発表しなければ、誰も知ることができません。



 さてさて、問題の締めです。


 東京都は独自の基準は持っていいと思いますが、厚労省の基準を常に併記して数字を発表すべきだと思います。
 もちろん厚労省にもかなり問題あります。
 現在のような重症者数の総数だけではなく、都道府県別の重症者数の患者数を公表すべきだと思います。
 また重症者数の総数は全て厚労省基準の方法でカウントしたほうが良いと思います。
 まあ、マスコミも最も指摘したほうが良いんですけどね。
 このあたり強く攻めてるのは東京新聞と日刊ゲンダイくらいでもっと他のメディアも頑張ってくれたらなーと思う、今日この頃です。


 ちなみに、Gotoトラベル問題については東京は、他の記事に書いていますのでまた読んでいただければ幸いです。



 【参考文献】

『小池都知事「コロナ重症者数」過少申告の姑息 都発表は39人で実際は196人』
https://news.yahoo.co.jp/articles/becd6f2f8b29bfdc065241be3fe080ea5a9d0930



『新型コロナウイルス 日本国内の感染者数・死者数・重症者数データ』
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/


 東京都の重症者数のカウント基準は東京都作成の下記pdfに書いています。

https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/011/435/7kai/202008207.pdf

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