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#ねむりのネタバレ ~ 誰にも言わなかった『ねむりさんが出来るまで~


この本は何かの実戦書でもなければ、自己啓発本でもありません。
ただの自己満足のために書いたねむりさんのエッセイです。

前書き


『俺、女性向け風俗店やってみたいんだよね』

『お前・・・また突拍子も無い事言い始めたな・・・』

20代も半ばに差し掛かった頃、とりあえず思いついた事を呑みの席で話す程度のこの会話が、まさか現実になり、そして現在に至るまで僕が"女性向け風俗店"というものでご飯が食べれているだなんて、この時の僕は知る由も無い。

2016年、当時女性向け風俗店というものはまだ殆どが"出張ホストサービス"との境界も曖昧で、お店だって数える程しか無かったし、出勤しているセラピストは全身モザイクのかかったスーツのおじさんか、やたら自信過剰のクソダサいアロハシャツみたいのを着た目隠しお兄さんが数名出勤しているような店しか存在しなかった時代だ。

このnoteでは、そんな時代に"女性向け風俗"というものに興味を示した、まだねむりと名乗る前の自分から、現在のねむりさんに至るまでの過程を思い出しつつ、実際に自分がどういう戦略を考えて売れていったのか、何を考えて来たのか、そしてどういう壁やトラブルにぶつかってきて、どう対処してきたのかなどを、気軽に読めるようなエッセイ形式で書き綴っていく本である。

※本屋で立ち読みできる程度に無料部分をご用意してますが、本にするとざざっと300頁分くらいの文量となります。



1章:誰にも言わなかった「ねむりさん」が出来るまで

本章では、ねむりさんが出来上がっていく過程を、回想形式で書き綴っていきます。
一応時系列順ではあるものの、テーマとテーマの間は期間が空いていたりもするので、あまり時系列を意識しないで読んで頂けますと幸いです。


やばい!制作費がない

これは、まだ僕が音楽の仕事をしていた時代の話になります。

当時の僕は、某老舗ライブハウスで制作の仕事をこなしつつ、個人としても色々な仕事に関わらせて頂いていた状態で、自分で言うのも恥ずかしいですが、色々なイベントやアーティストから仕事への協力の依頼が多数あり、規模は大きくないものの、音楽仕事の万屋的ポジションで足場を固めていました。

そういった激動の日々の中、当時の流行りもあって、とある縁でアイドルグループを1から運用してみようという話が持ち上がりました。
わかりやすく言えば"地下アイドル"という奴です。
このグループ運営は、商売的な事というより、縁があった若い女の子達の活動の場を何かしら作ってあげたいなという程度の思いつきから始めたものだったのですが、気がつけば100人程度のワンマンライブができるくらいまでの規模となり、CDも自主制作ながら5枚程作ることが出来ました。

そう、表で見ている限りはそんな感じの結果です。
裏でどういった問題が起きていたかをここではお話していきます。

まず、アイドル運営というのはとにかくお金がかかります。
衣装代、楽曲制作費、振り付けレッスン代、スタジオ代・・・挙げ始めたらキリがないですが、それら制作費を賄うために、どこのグループも原価がほぼかからない"チェキ"や"握手"なんてものを物販に並べて、それを売るためのライブを沢山することで制作費を稼いでいるのですが、あろうことか当時の僕は、そういったものを廃して、楽曲収益だけでアイドルを運用しようと考え、それに適したメンバーを集めました。

当然、メンバーもアイドル然とした対応も出来ないし、アイドルには向かないような癖の強い面々が集まりました。集めてしまった以上、この子達が活動できる場をチェキとか握手とか売らないでもなんとか成立させなければなりません。

そうして理想だけで運営して初めてわかりました、お金が全然足りません。

とはいえ、「うちはチェキなんかやらねぇ!」と大見栄切ってしまったので、吐いた唾を飲み込むことも出来ず、なんやかんやメンバーのみんなとも協力しながらの運営でギリギリな状態ながら数年、そのグループは存続したのですが・・・とある楽曲制作の際に起きたトラブルで、CD制作費が2.5倍に膨れ上がってしまう事態に陥り、まとまったお金が必要になりました。

当時の僕は、何かしらのトラブルが起きると、全てを抱え込んで、自分だけでどうにか解決しようという考えが強く、取り急ぎ消費者金融へ走り借金をすることで急場を凌いでCDはリリースされました。

されたのですが・・・・

そのCDを売っていく最中、メンバーが活動を休止せざる得ない身体的な理由が発生し、グループは無期限の活動停止となってしまうのでした。

個人的にはキラキラとしたとても思い出深いアイドル運営生活だったと感じているし、メンバーのみんなとも、未だに連絡も取り合う疑似親戚感が続いている、青春漂うとても良い思い出なのですが…

現実問題として僕の手元に残ったものは"大量の売ることができない在庫CD"と"消費者金融でこさえた借金"の2つです。


中イキおじさんの誕生と挫折

大量の売ることが出来ない在庫CDと借金を抱えた状態とはいえ、数年にも及ぶアイドル運営が一段落したことで、僕の生活には時間的な余裕が生まれました。

人間、しょうもない事を考えるのは大抵が暇な時です。
(厳密には仕事パツパツだったので暇ではありませんでしたが…)

『よし、裏垢でも始めよう。』

なんて軽いノリで裏垢活動をはじめ、最初にやってみたことは #裏垢女子と繋がりたい というハッシュタグをつけて、フォロワーを増やすといった愚行です。

片っ端からエロい写真をUPしている裏垢女子をフォローし、眼福なTLを形成。

その子達から提供されるエッチな報酬画像やら動画やらを眺めながら、時にはクソリプを飛ばして下世話な話に花を咲かせる。

そんなテンプレ感満載の裏垢活動を実は僕もしていました

最初の内はそういったアンモラルなやり取りにドキドキしているだけの裏垢生活だったのですが、活動していく中で、"自己開発界隈"というものが存在することを知ったのは、フォロワーが200人くらいになった頃でした。

"自己開発界隈"というのは、端的に言えば中でオーガズムがうまく感じられないという女の子達が、いわゆる"中イキ"を目指して情報を発信し合ったり、自称 "中イキを提供することが出来る雄" 達が下心をぶら下げて入り乱れるカオスな界隈なのですが、中には身体のことを真剣に考察する男の子も女の子も存在していて、その真面目と不真面目さの独特なバランス具合が、僕の目には興味深く映ったのでした。

思い立ったが吉日です。
僕もそこで自己開発に役立つ情報を何か発信しようと考え、自分の性経験を駆使してとある音声投稿サイトで "女の子が自分でできる中イキの方法" という中イキ誘導音声のようなものを投稿し、それをtwitterを使って発信してみました。(当然もう削除済みです)
今考えると、内容としても陳腐なものだと感じますが、何故かそれが当時の音声投稿サイト上でピックアップされ、思っていたよりも反響を頂く結果となり、"中イキおじさん"としてのポジションに入り込むことが出来たのでした。

こうして"中イキおじさん"として少しだけ調子に乗っていた僕ですが、こういう性に関する界隈というものは、コンテンツホルダー間の縄張り意識が強く、新キャラが出てくると、同じようなポジションにいる古参から叩かれるという傾向があります。

当然自分も例外ではなく、小さい界隈でチヤホヤされていた僕のところにもそういった声が多数届きました。

それらとバチバチするというのも当時のtwitterでは一つのコンテンツとして盛り上がっていたので、僕もそれを楽しんで対応しつつ、日々女の子の相談に乗ることで自己肯定感を高めるという、なんとも雄として歪な日々をしばらく過ごしていたのですが、僕はここで圧倒的影響力で殴られるという事を初めて体験します。

"教祖"といえば昔の自己開発界隈を知っている人たちはなんとなく想像がつくかと思われますが、当時の自己開発界隈やアングラ界隈に於いて、圧倒的な存在感を持っていた"教祖"と呼ばれている男性を推しているファンの子達に、僕の活動が捕捉されてしまったのです。

「あなたのやってることは教祖のパクリ」
「教祖の邪魔になるから活動をやめろ」
「あなたの技術は教祖の足元にも及ばない」

等々、およそ教祖の信者と呼ばれる方々からこういった声が連日届き始めました。
そういった日々が数日続いた後、教祖本人から僕のコンテンツに対して

「あんなん見る奴お察しやで」

という言葉をきっかけに、僕のコンテンツの再生数はピタリと止まり、僕の裏垢での小さな影響力も失墜しました。

とはいえ、これは別に教祖が悪いわけでもなんでもなく、単に教祖の持つコンテンツの出してきた結果と、数字に殴られた事で、自分のコンテンツのテキトーさと脆弱さが露呈したというだけの話でしか無いのですが、これは後に、ねむりさんを形成する大きなモチベーションの一つとなる挫折のお話でした。


さて、無料部分はここまでとなります。
冒頭の目次を見て頂けると分かる通り、このnoteはこっから先そこそこの長さがあります。
腰を据えて一気に読むも良し、隙間時間で少しずつ読むも良しのエッセイとなっていますので、気になる方はぜひご購入ください!

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