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つくば移住物語|③住宅購入資金とライフプラン

思わぬ所から、自分のこれまでの行いを反省した前回のつくば移住物語、妻と僕の会。住む街こそ未定なものの、住宅を購入するという意思はいよいよ本格的なものに。この段階で僕らは、FP(ファイナンシャルプランナー)への相談を、工務店から進められた。

FPとの話し合いは人生ゲーム

2018年も年の瀬、12月9日にFPとの約束をした。
FPとは、要するに保険やさんだ。家計の見直しに始まり、住宅資金はもちろん教育資金や老後資金、世の中でお金が必要なタイミングには必ず保険がある。保険商品を用いて計画的に貯蓄を行い、必要な資金を確保しましょうというわけだ。

予想に反し、自宅へ迎え入れたFPの人は物腰柔らかで、保険商材の話はその日は一言程度しかなく、丁寧にお金とライフプランについて説明をしてくれた。

子供の人数、教育、子供の結婚、孫誕生、そして妻と2人で迎える老後。
まるで人生ゲームだった。最近知り合った同僚を自宅に迎え入れ、妻と3人で楽しく人生ゲームをしている気分だった。12月で年末が近いということが、その雰囲気をますます演出しているようだった。

ギュイーン!カチカチカチカチ…カチ..カチ
そう音を立てながら回るあの盤面を回しながら、「ぐわー家事かよ、火災保険入っときゃ良かった〜!」なんて話を子供の頃にしていた気がする。

しかしこの楽しいゲームは、最後にまさかの結末を迎えることになる。

2018年6月独立、2018年12月現在の意味

楽しい人生ゲームが終わり、本来の目的である住宅ローンの話題になった。僕は現在の仕事と収入、今後の見通しについて伝えたが、なにやら少しFPの様子がおかしい。

「確定申告書は…ありますか?」

2018年は、僕にとって本当に激動の一年だった。会社員をやめた年なのだ。2006年に大学を卒業後、広告およびマーケテイング関連を軸に転職を繰り返してきた僕は、2018年に成り行きで独立することになる。

この成り行きについて詳しくは別の機会に書くが、幸運極まりないことに、独立を宣言した日から約3週間ほどで、生活の基盤となる収入確保に僕は成功していた。そのため2019年3月になれば手に入る確定申告書に、特段問題はないと思っていた。

「現時点で、住宅ローンの審査を提出することは控えたほうが良いと思います。住宅ローンの審査は、万が一にも落ちてしまうと ”落ちた” という実績が残り、基準を満たした後に再審査に出してもネガティブな見られ方をする可能性があります。」

頭が真っ白になった。

え? それはつまり、今出すと落ちるということを暗に言っている?

いまとなっては、いまの自分がここにいることは、この話があったことも大きく関係していると思う。

しかしあの時は、夢叶うその瞬間を目前にしていたのだ。

フリーランスという生き方の社会的地位

個人事業主が住宅ローンを組む(審査に通る)には、いくつかポイントがあるとされる。

  1. 事業開始から3期経過

  2. 安定した売上

  3.  クレカや税金の滞納履歴はNG

そんなことも知らず、一人勝手に夢を見ていたのか。まずはそう思った。
次に、自分がこれまで歩んできた社会人人生を思った。

スタートアップ、ベンチャー、さまざまな中小企業での仕事を通じ得られたことはスキルとしても人間としても多く、本当に濃密な時間を過ごしたと感じている。仕事で悔しくて泣いたこともある。人に認められたことも、失敗に心から落胆したことも、成功を仲間と分かち合ったこともある。

その結果、いまの自分がある。

しかし、いまの自分は社会的に認められている存在ではない。そう言われた気分だった。自分のこれまでの生き方は間違っていたのか…。

移住というテーマをこれまで綴ってきたが、このnoteのもう1つのテーマは「フリーランス」だ。移住とフリーランス。この2大テーマの1つ、フリーランスというものは、非常に不安定な存在だ。

この時も、のっけからその存在を否定された気分だった。最初のハードルを超えるのに、まず3年かかる。そんな馬鹿な…。この生き方を選択した時点で、人より住宅購入のハードルは高いものになるなんておかしい。この生き方を選択できるのは、そもそもそれまで自分が会社員として頑張ってきたことで初めて生まれた選択肢だ。

そこに一筋の光が差す。

「そうですね…。事業開始から最低1年は経過しないと、審査は厳しいのが現状です。」

え? それはつまり、1年経てば見込みはあると暗に言っている?

動き出した心は、止められなかった。

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