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【分かりやすい資料の作り方】08_[文章]目的、原則、主語と述語の留意点

『分かりやすい資料の作り方 ~構造化のススメ~(基本編)』全19話の記事で構成しています。
最初の記事に全体概要とこれまでに掲載した記事のインデックスを記載していますので、ご興味を持って頂けましたら、こちらからご覧ください。

ここからは分かりやすい資料をつくるための【必要なセオリー】についてのお話です。
「文章」「図」「グラフ」「表」の4つの要素に分けて、分かりやすく書くための具体的な方法を解説していきます。
まずは「文章の書き方」です。

主語と述語01

1.文章を書く目的は?

皆さんがビジネスシーンで文章を書くのはどういった目的のためでしょうか?

ビジネスにおける文章を書く目的は「相手に自分の意図を伝え」、「読んだ人に動いてもらう事」と言えます。

文章の書き方は人それぞれあるように思いますが、目的を達成する文章を書くためには、守るべきセオリー(型のようなもの)が存在します。
それらを守ることであなたの文章に規律が生まれ、読み手に理解されやすいものになります。

つまり、「相手に自分の意図を伝える」ことがより容易になり、それにより「相手に動いてもらう」事が可能となるのです。

ここではその文章を書く際に守るべき共通的なセオリー、意識すべきポイントをご紹介していきます。

2. 基本の大原則

文章を書くうえでも『総論から各論へ』が守るべき大原則となります。
(原則の内容は前回の記事をご覧ください)

文章としての最も定番の型は、結論をまず始めに述べ、その次の段落で具体的な内容を述べ、最後にもう一度結論を繰り返す、という『結論→各論→結論(再)』の形です。

特に文章を中心とした説明資料(報告書など)を作成する際には、この構成になっていないと読み手は文章の隅々まで目を通さないと何が言いたい資料か、を把握することができません。

読み手に負担をかけずこちらの意図を伝えることが出来るように、この文章構成とすることを意識してください。

主語と述語02

3.日本語の書き方 

次は、読みやすい文章を作るために日本語の書き方として意識する点です。
以下の3つの観点でポイントを紹介していいきます。
  (1)主語と述語
  (2)接続詞の効果的な使い方
  (3)句読点と改行の効果的な使い方

(1)主語と述語に関する留意点

主語と述語に関して留意して頂きたいポイントは、大きく2点あります。
1点目は「文中で主語がいつの間にか入れ替わらないようにする」という点です。

これは結構やりがちなミスです。まず下の例文をご覧ください。

総務部の担当者は医療従事者に薬の効果と副作用のリスクについて尋ねたが、
多くの患者からの問合せ対応が重なったため、明確には答えられなかった。

分かるようで分からないような、モヤモヤする文章です。

この文章の1行目の主語は「総務部の担当者」ですよね。
「総務部の担当者は」「尋ねた」という主語と述語の関係です。

文章はそこで終わらず二行目に続くわけですが、二行目では主語が省略されており、述語は「答えられなかった」となっています。

「尋ねた」のは総務部の担当者で、それに対して「答えられなかった」のは「医療従事者」ですので、1つの文章で主語がいつの間にか「総務部の担当者」から「医療従事」に入れ替わってしまっているのです。

これでは読み手は2行目まで読んだ際に「誰が誰に答えたんだ・・・?」と混乱してしまいます。

日本語では主語を省略することが頻繁にありますので、このようなミスが結構起きがちです。

分かりやすい文章とするためには、このような文中で主語の入れ替わりを無くしましょう。

この場合は、1行目の「総務部の担当者」を主語にしたまま2行目も書くということです。

「総務部の担当者」が主語とすると、述語は「明確な答えは得られなかった」と書くべきです。

総務部の担当者は医療従事者に薬の効果と副作用のリスクについて尋ねたが、
多くの患者からの問合せ対応が重なったため、明確な答えは得られなかった。

主語と述語03

主語と述語に関して留意して頂きたいポイント2点目は「主語と述語の距離が遠くなり過ぎないように」という点です。

こちらも下の例文をご覧ください。

私の同僚が、職場環境に関するアンケート結果において多くの不満意見があることを踏まえ、
会社の一部のフロアにリラクゼーションスペースを作る提案を提出した。

この例文の主語は「私の同僚」で、述語は文末の「提出した」なのですが、主語と述語の距離が非常に遠くなっています

そのため、読み手は「私の同僚」にかかる述語が「不満意見がある」や「リラクゼーションスペースを作る」であると誤解してしまう可能性があります。

文法的には間違っていないのですが、理解しにくい文章です。

こういった場合は、背景情報や目的語(節)について先に論じてしまったうえで、主語を最後の述語のすぐそばに持ってくるようにしましょう。

職場環境に関するアンケート結果において多くの不満意見があることを踏まえ、
会社の一部のフロアにリラクゼーションスペースを作る提案を、私の同僚が提出した

こうすることで主語に対応する述語が明確に絞られるので、読み手は意図を理解しやすくなります

主語と述語04

資料上で文章を書くときには主語と述語に着目して、このような形になっていないか是非確かめてみてください。

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