【分かりやすい資料の作り方】12_[図]図の構造化
『分かりやすい資料の作り方 ~構造化のススメ~(基本編)』は全19話の記事で構成しています。
最初の記事に全体概要とこれまでに掲載した記事のインデックスを記載していますので、ご興味を持って頂けましたら、こちらからご覧ください。
ここからは新しい章、「図の描き方」に入ります。
皆さん、「図」を書くのってセンスが必要と思っていませんか?
アートの世界ではそのような事もあるかもしれませんが、ビジネスシーンで資料に描く「図」についてはセンスは必要ありません。
その代わり、分かりやすく描くために【必要なセオリー】があるのです。
この章では、是非知っておいて頂きたいそれらのセオリーについてお話していきます。
1.ビジネス文書において図を描く目的
ビジネスにおいては、自分の意図をいかに正確に、そして早く相手に伝えられるかが成否を左右します。
そのために「分かりやすい資料」が大いに役立ちます。
そして正確に早く意図を伝えるためには、テキストだけではなく「図」を使うことが非常に有効です。
図を用いることで、テキストだけでは表現し辛い複雑な内容を視覚的にパッと伝えることが出来るためです。
しかし、やみくもに図を描いても、相手にとって分かりやすい図にはなりません。
皆さんも「描いた自分にとっては分かるんだけど、相手にはちっとも理解されない」といった経験は無いでしょうか?
(私は若いころはそんなことばかりでした。)
分かりやすい図を描くにあたっても重要なセオリーがあります。
その最も重要なものが『図の構造化』です。
正しく構造化ができている図は、読み手の頭にスムーズかつ直観的に入ってきます。逆にその構造化が出来ていない図は頭に入ってこないのです。
2. 図の構造化
それでは、図の構造化について具体的に説明していきましょう。
まず例として、ハンバーガーショップの業務をイメージして図を描いてみましょう。
・接客スタッフはお客様からの注文を受けて、オーダーシステムに注文を入力します。
・厨房スタッフAはオーダーシステムから出力される伝票からポテトの個数を確認し、調理を行います。
・厨房スタッフBはオーダーシステムから出力される伝票からハンバーガーの種類と個数を確認し、調理を行います。
こちらの図は、思い付きで描き進めたためか、人物の配置だったり矢印の方向性に規則性が無く、見辛い図になってしまっています。
一見しただけでは、表現されている事の順序性やシチュエーションをつかいみにくいと思います。
これでは「複雑な内容を視覚的にパッと伝える」という図の目的を果たせていません。
今回は、図を分かりやすくするための2つの重要なポイントを紹介しながら、この図を改善していきます。
3.配置の構造化【最重要】
図を描くうえで、最も重要なポイントが「配置の構造化」です。
でも、図の配置を構造化するってどういうこと?って思いますよね。
ここで言う図の配置の構造化は「マトリクスの上に図を配置する」ということです。
具体的に解説していきます。
図を記したい範囲にマトリクスを書いてください。
そして、縦軸と横軸を設定します。
例えば今回の例でいえば、横軸は"店内のレイアウト"として「ホール」「カウンター」「キッチン」という風に区切ります。
図のキャンバスに店内のエリアを区切るイメージです。
同じように、縦軸は"登場人物・モノの種類"として、「システム」「人」「商品(食べ物)」としてみましょう。
このような軸で、図の1つ1つのオブジェクトをグループ分けしてみると、このマトリクス上で各オブジェクトを配置すべき場所が決まってきます。
(【分かりやすい資料の作り方】03_[原則1]情報の構造化①|ツキノコウゾウ|note で解説したグルーピングからの構造化の要領です!)
このマトリクスに基づいて、オブジェクトの配置を構造化しながら描いていきます。
こうすることで、図を見る人は無意識にも「どこのエリア」で「誰が(何が)」アクションをしているのかを視覚的に把握しやすくなるのです。
4.時間の流れ、順序性
もう1点、意識してほしい重要なポイントが「時間の流れ(順序性)」です。
人が資料を目を通す際の目線は、「常に目線が左上から右下へ」の流れになります。
そのため、読み手に最初に目を通してほしいポイントは、できる限り左上に配置されるようにしていきましょう。
図の例でいうと、起点は「お客さまと接客スタッフとのやりとり(注文)」です。
そのため、先ほどのマトリクスの横軸の項目の順序としては一番左にお客さまがいる「ホール」、次に注文を聞く接客スタッフがいる「カウンター」、一番右奥に「キッチン」という順番という配置が適切です。
ただし、今回システムについてはスタッフとのやり取りが双方向に発生するため、矢印がクロスして見にくくなる事を避けるために、一番上に配置しています。
このように配置することで、読み手は無意識にも図が意図するストーリーの流れ(=順序性)を把握しやすくなるのです。
なお、マトリクスはあくまで図を構造化するためのものなので、必ずしも完成した図に残す必要はありません。
必要に応じて、テキスト等でエリアの区分くらいは残しておくと分かりやすいかもしれません。
慣れてくればマトリクスを書かずに、"見えないマトリクス"を頭で意識しながら、構造化された配置にオブジェクトを並べてください。
ここまでで、図の基本的な構造化、つまりオブジェクトの構造的配置ができました。
随分見やすくなりましたが、これを更に見やすい図にしていくための続きの工程があります。
これについては、引き続き次回で解説していきます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?