詩|たよりない感触
夏の終わりの空を
秋めいた雲の塊が流れていく
とんぼが空気を編むように
ふわりふわりと飛んでいる
あの日から
わたしの恋はもうふらふらで
あなたの匂いばかり探してる
夜は涙にぬれて冷えるから
あなたの温度を探すけれど
それも全然うまくいかない
ふたりが重なる輪郭を
すうっと指でなぞりながら
とろとろと漂っていたころ
わたしの胸はさざめいて
あなたの腕は泣いていた
白い花をつけたサルスベリの枝が
ぽわんぽわんと風に揺れている
あなたという感触を
頼りなく残したまま
滲んでいく夏
たよりない感触 / 月乃
今夜もあなたの心が、
愛で満たされていますように。
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