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ツキノポエトリー

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いつも孤独を抱きしめながら、放課後のほとんどを書店で過ごしていた中学時代。銀色夏生さんの詩集に心がふるえて、詩を書き始めた。 今も孤独を愛し、書くことで心を満たす。 ツキノポエ…
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2024年8月の記事一覧

詩|星にながれて

流れ星の欠片が欲しくて どうしても欲しくなって 走って追いかけていたら 夜に閉じ込められて…

月乃
2週間前
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詩|夏が終われば

午後の陽射しと 柔らかな眼差しが 海面で交わって 空へと弾けていく 掬っても掬っても 指の隙…

月乃
2週間前
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詩|ひつじ雲の憂鬱

もうどんなに手を伸ばしても あのひつじ雲にはとどかない ビードロの目に映る 透明な街が泣い…

月乃
2週間前
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詩|本当のこと

たとえば 瞬きをしている間に 消えてしまうような方法でしか あなたに「好きよ」と 伝えるこ…

月乃
2週間前
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詩|心を楽しむ

慌ただしく過ぎていく日々 その端っこからぽろぽろと こぼれ落ちてしまったもの そういうもの…

月乃
3週間前
41

詩|恋と呼べないもの

わたしはあの時 たしかに恋に落ちたのだと思う だけどもう 心が動いていないの 愛というもの…

月乃
3週間前
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詩|たよりない感触

夏の終わりの空を 秋めいた雲の塊が流れていく とんぼが空気を編むように ふわりふわりと飛んでいる あの日から わたしの恋はもうふらふらで あなたの匂いばかり探してる 夜は涙にぬれて冷えるから あなたの温度を探すけれど それも全然うまくいかない ふたりが重なる輪郭を すうっと指でなぞりながら とろとろと漂っていたころ わたしの胸はさざめいて あなたの腕は泣いていた 白い花をつけたサルスベリの枝が ぽわんぽわんと風に揺れている あなたという感触を 頼りなく残したまま

詩|0.2秒の魔法

あの匂いを 思い出していた 透明で柔らかな 温かい愛の 記憶はとても厄介で カタチのないも…

月乃
3週間前
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今朝の月

今朝の月は揺れながら 下弦の月へと向かっていた まんまるをはんぶんこにして 分けあった魂た…

月乃
3週間前
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ひとたまりもない

突然あなたは わたしの人生にやってきて 白と黒しかなかった世界に 色をつけていくものだから …

月乃
3週間前
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永遠がはじまる

ぶわっと光を広げたあなたが わたしの魂をくるりと包んで ふたりという永遠がはじまる そんな…

月乃
3週間前
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だからこれは運命

雨上がりの夕暮れ 灰色の街はまだ濡れている 湿った空気が肌に張りついて わたしは不機嫌にな…

月乃
4週間前
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三日月の宇宙船

ぽとん とかわいい音がして 夕陽が水平線におちていった まだ夜を受け入れるまえの 紺色と朱…

月乃
1か月前
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心ごと、ぜんぶ

薔薇の花束を 君がくれたけど まるでわたしには 似合わない ありがとう 素敵ね と 微笑みながら 真っ赤な薔薇の 棘をさわる わたしはもう どこも痛くない 傷も愛も言葉も ぜんぶ あの日に 置いてきたの 心ごと ぜんぶ 薔薇の花束を 君がくれたけど まるでわたしには 似合わない 心ごと、ぜんぶ / 月乃 今夜の月があなたを優しく包みますように。