見出し画像

お坊さんがスタバ好きになった背景。


今はこうしてお坊さんをしているが、僕も普通の高校生だった。


始まりは下心だった。
つまり恋。
でも恋は実らなかった。失恋だ。
告白で振られたくらいで失恋なんて呼び方は盛りすぎ、相手にの心には恋の一角目すら浮かび上がっていなかったのだから。
でもその恋は僕の人生に欠かせなくなるものを残して去っていった。それがスタバだった。
いやStarbucks様だった。

僕は高2の春、好きな人ができた。全然話したこともなかったし、クラスも違うしどんな性格かもしらない。ロマンチックに言うと一目惚れ。
ほんとはただの面食い。ほんとに可愛かった。

どうしたら付き合えるか、話しかけられるかすごく考えても高2野球部の坊主頭では思いつかないのでネットで調べると、どうやら共通の趣味や話題があると話が盛り上がり交際に発展しやすいといううすっぺらい情報を得た。

なんとかその子の好きなものや興味のあるものをしりたい、でも共通の友達なんていない。
どうしようか。

僕はその子の教室の前をずっとフラフラした。

勘違いしないでくれ、あとをつけたりはしていない、ただフラフラしたり、窓から外を眺めたり、掲示物を見ていたりしただけだ。
指一本触れていない。
登校してすぐ、授業の合間の10分間、昼休み、部活が休みの放課後。毎日、毎日。約2ヶ月。

そこで築山探偵が情報収集したメモによると。
その子はいつも8時20分に登校し、授業の合間には必ずトイレへいってハンカチで手を拭きながら出てくるハンカチの色は全部でピンク、白、水色の3種、お昼はいつもラップに包まれたおにぎりを2つとおかずが少し、おにぎりを両手で食べる姿がかわいかった、放課後はいつも友達と少しお話をしてから帰宅、いつもキレイなローファーを履いて少し早歩きで帰って行った。話している内容がなかなか聞けずもどかしい日々が続いた。

ただ執念の張り込み2ヶ月目貴重な情報をゲットする事に成功した!

いや、すみません、たまたま他のクラスの前を通り過ぎたところ会話が聴こえてしまった。

「今日も○○のスタバで勉強するー!スタバめっちゃ好きなんだー!」

僕は聞いた瞬間これだ!と思いその日から今までファミチキとリプトンのミルクティーに使っていたお小遣いをフラペチーノと飲めもしないコーヒーに使い、カスタマイズのやり方やおすすめのカスタマイズを店員さんに聞き、新作の情報などを逐一調べ、タンブラーやマグカップなどもいくつか購入した。

そしてスタバに通うようになって、3.4ヶ月が経ち突然その日はやって来た。
僕が部活終わりの野球部の汚いエナメルバッグを背負いながらスタバに入るとその子が奥の席にいた。机にいつもの水色のハンカチを置いて勉強している。横顔がすごくキレイだった。
今日の為に僕は準備をしてきた、今日話しかけるしかないと思い、飲む予定のなかったが話しの話題にといつものホワイトモカをやめて新作のドリンクを頼み、幼稚園のお遊戯会のような演技でたまたまを装いその子の前の席座った。

目が合った。目を合わせにいった。

「あれ?○組の○○さんだよね?(お遊戯会の演技)」
「うん。つき、やまくんだっけ?」
「そうそう!野球の!(見ればわかるよ)勉強してるの?(だから見れば分かるだろ)」
「うん、課題全然終わらなくて」
「大変だね、何飲んでるの?」
「ホワイトモカ、つきやまくんは?」
「俺?新作のキャラメルエクレールラテ!(いつも通りホワイトモカを頼めばよかった)」
「そんなのあるんだ!」
「そう、俺昔からスタバ好きでさよく来るんだ」
「私もスタバ好きなの」
「そうなんだ!じゃあ抹茶クリームフラペチーノのシロップ抜きでパウダーを多めにしてチョコチップ追加したやつ飲んだことある?(うるせーよ)」
「なにそれ!しらない!」
「めっちゃ美味しいから今度飲んでみてよ」
「うん!」
「またおすすめとかあったらさおしえるよ」
「おしえて!」
「うい!じゃあ俺部活で疲れてるからまた(うるせーよ)」
「うん、ばいばい」


決まった。共通点の教えは嘘じゃなかった。めっちゃ話せたな。結構もりあがったし。可愛かったな。もっと話したいな。きっと向こうも話したいと思ってるだろうな。

とテンションが上がり、脳から変なものが沢山出て、自分の都合のいいように妄想を繰り広げ、眠り、いい夢を見た。


そして次の日の放課後。


僕は告白した。


「あのさ、○○さん」
「あっつきやまくん」
「ちょっといい?」
「ん?」
「あのさ昨日話してすごく趣味が合うし、話しも会うし、好きだから、付き合って下さい!」
「え、、それは、ごめんなさい、私たちまだそんな話してないよ、なんか勘違いさせちゃうことしたかな、ごめんね!」
「あ、いや、全然大丈夫!そうだよね!じゃ、また、」


スタスタと上履きの音をさせながらその子は去っていった。

なんであんなことをしてしまったか、今でもわからない、でも僕はこの数ヶ月で心の中で何回も自分の都合のいいようなシュミレーションでその子と会話をして仲を深めていたような錯覚を起こしていたのだろう。

そして初めて会話をして、自分の事を認知してくれてるのが嬉しくて、スキのダムが決壊した。

メアドを聞くくらいにしとけばよかった。

何度も後悔した。
でも、またその子に話しかける勇気もその頃の僕にはなかった。

しかし、それからも気がつくと何故かスタバに通っていた、フラペチーノが飲みたくなった。
嫌なことがあってもフラペチーノを飲んだら幸せに慣れた。
スタバは僕の元を去らなかった、ずっと横にいて、こんな僕にも優しくしてくれた。


ただのスタバ好きになっていた。


あれから新しく好きな子が出来たら、あの日の反省の為にホワイトモカを飲んで冷静になるようにしている。


始まりは好きな子を振り向かせるための下心でスタバを好きになった。

あの子は今どうしてるか分からないが、スタバとは今でも一緒だしなんならスタバでバイトしている。
スタバと付き合ったようなものだ。

好きな人がいるとずっと相談をしている子がいてその子は僕のことずっと応援してくれてて、振られて冷静になってみると、いつも僕の傍にいたのはあの子だったな、僕にとって本当に大切なのはあの子だったのか!と気がつく漫画の主人公のような気持ちで今僕は聞いている。


これが僕がスタバを好きになった話し。

好きになった経緯はなんでもいい、どんな形で好きなものと出会うかわからない、そんなことを教えてくれる出会いだった。


最後まで読んで頂い感謝合掌( ✋˘ ˘👌 )





この記事が参加している募集

スキしてみて

励みになります。皆様の慈悲深きサポートの渾身の合掌で包み込み新しい木魚を買います。