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現世

現世に
生きる己の
旅半ば
鬱し写して
取り得た光

写真にカメラは必須ではない。スマホで十分だという意味ではない。両手をポケットにしまい、景色を眺めるだけでも写真をしていると言って良いと僕は捉えている。絵画、陶芸や工芸と異なり、写真の美術的価値は公にない。フィルムやデータにもない。その時に肉眼で感じた現実こそが最も尊いのだと思い始めたのは最近のことだ。そう考えると、感情フィルターでシャッターが軽くなることも、撮る枚数が増えるほど良い像が手に入ることも辻褄が合う。励起して高まった感度によって認識し始めただけで、人生の美しさは身近なところに星の数ほど散らばっているのだろう。それを記録する写真という行為において、シャッターを切る簡単さと比べれば、歩きながら想定外を探すことの方が己の主導権で人生を愉しむ実感が濃く、味わい深くて有意義だ。

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