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ゲームのお話はどう作ってる?(2)

こんにちは「つけらっとゲームス」プログラム担当のとちです。
今回は「ゲームのお話はどう作ってる?」の第二弾です。

とある講義中に「どうやって思いつくんですか?」と聞かれました。

専門学校でシステム開発の外部講師をしたり、展示会で来場者と話したり、そんなタイミングでゲームの背景・物語・舞台の話をすると、たまーに聞かれるんです。

んで、その場では上手く説明ができなくて、それでも何か答えようと思うと曖昧だったり変な回答になっちゃうんですよ。せっかくなので落ち着いた時間に「どうして、これが思いつくか」をまとめてみようと思いました。

「ゲームのお話はどう作ってる?」の第一弾はコチラ(↓)です。
お時間がありましたらご覧ください~。



テンプレートを作ってみる

ゲームに使うお話を考える……そうですね……
ファンタジーRPGのお話を作る時にはある程度のお約束に則って作っているような気がします。

今回はさらっとお話を作れるようにテンプレートを作ってみましょう。
もちろん、読んでくださってる皆様にも使っていただければ幸いです。

(1)ラスボスは誰か?
(2)ラスボスの目的は?(なんでそう思っているのか?)
(3) ラスボスの力の根源は?
(4) ラスボスが力を発揮するための条件は?
(5) ラスボスの力の弱点は?
(ア) 物語の舞台はどこ?
(イ) 舞台にポイントを幾つか設けよう!
(ウ) ラスボスの行動を当てはめてみよう!
(エ) 冒険者(主人公)はどう動くか想定しよう!

各項目を埋めて行けば、それっぽいお話ができそうですね!


中高生時代に作ったお話

例にもれず中二病患者であったわたしの黒歴史の1ページではあるのですが「モノ作り」の経験値を貯めた1ページでもあるのでゲームのお話の中で最も古い記憶を掘り起こしてみます。

「Lost Saga ~時の支配者~」と名付けたこのお話は、TRPGのシナリオとして誕生し、RPGツクールあたりでPCゲーム化したモノです。

内容をものすごーく簡単に説明すると以下のような感じ、

超高度な魔法技術を持った古代文明では時の流れを止める「時の魔法」なるものがあって、それを蘇らせた悪い魔術師が世界征服(?)を企てる。
しかし、その野望を知った冒険者たちが「時の魔法」に打ち勝つ手段を探し出し、悪い魔術師を倒す。

メチャクチャ王道ファンタジーじゃないですか?
(このお話は再利用して、これまでの作品に何度か登場させています)
これを先程のテンプレートに当てはめてみましょう!


(1)ラスボスは悪い魔術師

ラスボスは絶対悪な存在である魔王でも邪神でもいいのですが、ある側面から見たら純粋に「悪い」魔術師とは言えないラスボスを用意したいと考えました。

(2)ラスボスの目的は復讐!

超高度な古代文明を築いた古代人の末裔がラスボスとしましょう。
古代文明は滅び、現在を生きる人々がこの地を支配しています。
古代人の末裔は虐げられているかもしれません。

王道ファンタジーなので、現在は古代文明を滅ぼした一族が王族となり、この地を統治していることにしましょう。
ラスボスは出自を隠して王族に仕える宮廷魔術師なんかだといいですね。
いつか先祖の無念を晴らすのが目的です。

(3)力の根源は「時の魔法」

ラスボスはプレイヤー(冒険者)より強大な力を持っていた方が盛り上がります。強大な力を何にしましょうか?

最強の攻撃力と破壊力を持つ爆発魔法? 隕石を落とすような魔法?
派手な魔法もいいのですが今回の「力」の象徴は「時の魔法」です。

当初の構想にあった「時の魔法」が王国転覆の為の力の根源です!
どんなに強い戦士であっても時を止められたら戦えません。
悪い魔術師は時を止めることができ、自身はその間も自由に行動できるのです。これは強い。

(4)「時の魔法」の条件

しっかし、これだけ強力な魔法をぽんぽん使われたらラスボスを倒せません。なんらかの条件が無ければ使えない魔法にしないと強すぎます。
そこでいくつかの条件を設けましょう。

術者の能力と、術具の数によって時を止められるエリアの範囲が変わり、止めて置ける制限時間も変わるとしましょう。
消費するMPも莫大なもので、連続使用できない設定にした方が良いよね?

というわけで「魔龍の目」「時のワンド」そしてMPを肩代わりしてくれる「精神力の宝珠」的なモノを設定しましょう。

「魔龍の目」は古代人が儀式に用いた宝石。
「時のワンド」も時の魔法に必要な古代人が作った杖です。
これらが揃わないと、この国の面積の時を止めるのは無理という設定です。
消費MPもヤバそうなので、その代わりに必要なのが「精神力の宝珠」としましょう。

(5)時の魔法の弱点は?

時を止めるんですから、本当であれば術者も動けなくなるハズです。
それじゃ意味ありませんから、術者は止まっている時の中を自由に動けるようにしましょう。

時の指輪」なるアイテムを身につけていれば「時の魔法」の影響を受けないという設定にします。

つまり、これが弱点です。
冒険者(主人公)たちが「時の指輪」を手に入れたら「時の魔法」を使った場合のアドバンテージが無くなります。すっごい弱点……

ということは、冒険者(主人公)たちが勝利するためには最低でも物語の最終段階までに「時の指輪」を手に入れないといけませんね。

(ア)物語の舞台はどこ?

古代文明の秘術とは言え、大国に「時の魔法」が知られると利用しようとする輩が大量に現れるでしょう。しかし物語が始まるまで「時の魔法」は一般的に知られていません。

ということで古代文明があった地方の小国を舞台としましょう。

古代人を滅ぼした一族が王様になっているのであれば、王様の一族にとってはそんな血生臭い過去の話は隠したいハズです。

うん、やっぱり地方の小国で良さそう。

(イ)いくつかポイントを設定する!

超古代文明の痕跡を残しておきましょう。
例えば入口がわからない「水晶の洞窟」とか!
これは古代人の末裔である魔術師しか入れないなどの神秘的な設定と絡めるといいでしょう。

湖の中央に突き出している龍神をまつった塔とか、地方の小国なのに何故か栄えている港町など冒険者(主人公)たちが興味を持ちそうなポイントを考えておきます。

現在の統治者である王様の先祖、つまり古代人を滅ぼした者が作った「時の魔法」に対抗できる施設なんかもあると面白そうですね。

そういったポイントを幾つか作ったら、「時の魔法」に必要な(または対抗できる)アイテムを隠すと良いでしょう。

(ウ)魔術師の行動を考える!

幾つかのポイントに「時の魔法」に必要な(または対抗できる)アイテムを隠したら、国家転覆を狙う悪い魔術師の行動も想定しやすくなるでしょう。

今回のお話は悪い魔術師の考えを知った冒険者たちと、魔術師の追いかけっこにしようと思います。

ようするに、悪い魔術師側もまだ完全に準備が整っていないのです。
「時の魔法」に必要なアイテムが揃っていないので、悪い魔術師の力が完全に発揮できるようになる前に止めることができれば、それはそれでゲームクリアです。

つまり、悪い魔術師は「魔龍の目」「時のワンド」「精神力の宝珠」「時の指輪」のうちの幾つかは持っていますが、すべて揃っている状態ではないのです。

(イ)で設定したポイントに、こういったアイテムが隠されているとしたら魔術師側はそれぞれのポイントを巡ることになるでしょう……

(エ)冒険者の行動を想定する!

魔術師側も準備が整っていない、ならば、冒険者(主人公)はまず準備を阻止しようとするでしょう。魔術師を追って、もしくは魔術師が求める情報を先に得て各地のポイントを巡ることになります。

魔術師に「時の魔法」に必要なアイテムを準備させない。
もし、時の魔法に必要なアイテムを全て準備されたなら、その対抗手段である「時の指輪」を手に入れて国家転覆を阻止する!

これがそのままゲームの中で語られる物語になるでしょう……


おわりに

いかがでしたでしょうか?
今回はお話を作るためにテンプレートを作ってみました。

これは王道ファンタジーRPGっぽいお話を作るためのテンプレートのひとつですから、他パターンのお話を作るなら改造テンプレートが必要になりそうですね。

今回は長くなったのでここまでですが、
今後、別のパターンのお話を作るテンプレートを考えてみたいと思います。

それではまた別の記事でお会いできるのを楽しみにしております!


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