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ゲームブックを作ってみる

こんにちは「つけらっとゲームス」プログラム担当のとちです。
今回の記事は前回に引き続き「ゲームを作ってみたいけど、どうしたら作れるの?」に関連するお話です。

実際に遊べる作品例を記事中に収録していますので試遊だけでもどうぞ!

前回の記事はコチラをご覧ください。
以下の記事はボードゲームやTRPGについてのお話です。

同じテーマの記事は以下にもあります。
こちらはデジタルなゲームのお話ですね。

さて、今回は「アナログゲームの作り方」の続き「ゲームブックを作ってみたらどうでしょう?」というお話です。



そもそもゲームブックとはなんぞや?

小学生の頃のわたしは、ちょっと無理をするとすぐに体調を崩す、比較的病弱な子どもでした。当時のかかりつけの病院は流行っていたのか結構な待ち時間。受付をしてから暇を持て余したわたしは病院の近くにあった本屋さんで、とある本に出会います。

「アドベンチャーブック」「ドラゴンファンタジー」そう書かれた本を手に取り中身をパラパラと読むと、なにやら数字と文章が書かれていて、指示に従って(あるいは自分の選択で)その数字が振られている文章を読んでいく形式らしい……

わたしが人生において一番最初に手にしたゲームブックは「ドラゴンファンタジーVol.2 ドラゴンの洞窟」当時は二見書房から出版されており、最近では、と言っても2004年ですが……創土社より復刻版が出ており、今はグレイルクエストと言うらしいです。

詳細はウィキペディアを見ていただいた方が早いかと…

当時は小学生だったので全巻を揃えるほどお金を持っていなかったと思うんですが、何冊か買ってドハマりしました。その後、家の改築があってわたしの部屋も変わり、どこに行ったかわからんようになってしまうのですが…

いまでは結構な値段が付くレアな本になっているようです!
(どこいったんだろ?)

こうやってゲームブックを説明しても、いまいちイメージがつかないのではないかと思いまして、いっそのこと1日使ってゲームブックを作ってみました。

パラグラフは50程度、よくある中世ヨーロッパのような舞台のファンタジーな世界観です。寒村の農家の三男坊が街でお仕事を探そうと故郷を出て旅の途中で遭遇する悲しくて怖いお話です。

と言っても1日で作ったモノなのでクオリティはお察しください。


ゲームブック「悪魔の住む村」遊び方

本題「ゲームブックを作ってみる」を説明するために作ってみました。
遊び方としては[※1]から順に読み進めて行きます。
選択肢があったり、条件分岐がありますので、あとは指示に従って読み進めて行くと良いでしょう。

また、ゲーム中は「ケラト村全図」という地図を使用します(↓)

度々使うので別ウィンドウで開いておくと便利かも!

「ケトラ村全図」は画像を別のウィンドウで開いておくか、画像をダウンロードして使用すると便利です。

もうひとつ、
こちらのチェックシート(↓)を印刷またはダウンロードしておくと良いでしょう。ゲーム中に持物(アイテム)を拾ったら「✔」を付けて遊んでください。

スクショしてペイントツールで✔してもいいかな~

ゲームブック「悪魔の住む村」

※1

次の宿場町までは数時間のハズ、どこで道を間違えたんだろう?
日没が迫る中、君の歩みは自然と早くなる。
夜営をするにしても完全に暗闇に閉じ込められる前に準備が必要だ。
だが、できれば宿場町に辿り着きたい。

そんな君の目の前に小さな案内板が現れた。
案内板は左右に板切れが分かれており、右には聞き覚えのある宿場町の名が、左には「ケラト村」と書かれている。
宿場町まではまだ数時間かかるらしい、ならば「ケラト村」に一晩ご厄介になった方が良さそうだ。君は案内板の指し示す左の小道へ足を踏み入れる。

そこから数分、その先には木の柵で取り囲んだ集落が見えてきた。
小道を進むと粗末ではあるが村の入口を守るような門がある。

・様子を見る(※15へ)
・門へ近寄る(※21へ)


※2

中央広場から少し南にある二階建ての建物。
村にある他の建物に比べると少し大きめだ。
近寄ってみると、どうやら酒場のようだ。
小さな村だが村人の憩いの場として使われているのだろう。
本来であれば夕刻を少し過ぎ、暗い村落の中で最も賑やかな場所であろう酒場だが不気味なほど静まり返っている。

恐怖を感じた君は警戒しながら建物の中に入ってみた。
やはり人影ひとつない。少し調べてみようか?

・酒場のカウンターを調べる(※23へ)
・2階を調べる(※18へ)
・中央広場へ戻る(※[ケラト村全図]へ)


※3

品数は多いわけではないが丁寧な仕事に感心する。
その中に革製の胸当てがある。
狩人や旅人向けの製品だろう。
買うとそれなりの値段だろうが今は非常事態だ。
恐怖を感じていた君は悪いとは思いつつも借りていくことにした。

(持ち物リスト【革の胸当て】にチェック)
(※[ケラト村全図]へ)


※4

井戸の中を明かりで照らすと子どもの姿があった。
その姿を見て君は大丈夫かと声をかける、しかし返事が無い。
誤って転落したのだろうか? それともこの村に何か異変があって……
とにかくこの状況はおかしい。

夜が明けたら宿場町まで行き然るべきところに報告しないといけない。
君は返事のない子どもの遺体に冥福を祈ると中央広場へと戻ることにした(※[ケラト村全図]へ)


※5

君は怯える男の子に提案をする。
悪い人を退治するために、その宝珠を貸してくれないかと、
「おにいさんが本当に悪い人を退治できるなら、でも、おにいさんが戻ってこなかったらどうすればいいの?」

君は言う。
朝になったら街へ行って司祭様に助けてもらうんだと、

しかし、さすがに怯える男の子から頼みの綱である宝珠を借りていくのは気が引ける。代わりに頼れるものがあればいいのだが、

・【アンクのペンダント】にチェックがある(※41へ)
・無いない場合は他を探索しよう(※[ケラト村全図]へ)


※6

小綺麗な民家だが、明かりが漏れることも無ければ人の気配が一切ない。
シーンと静まり返った家に近寄りドアに手を掛けた君は、手にヌルリとした感触に驚き手を引っ込める。

ドアノブをよく見ると血糊でベトベトだ。
嫌な予感が頭の中を駆け巡るが確かめた方が良いだろう。

・この民家を調べる(※19へ)
・調べない(※[ケラト村全図]へ)


※7

薄暗くて気づかなかったが篝があった。普段は篝火を焚いているのだろう。
だとすると夜間も守衛役の村人がいてもおかしくないのだが……
君は少し不安になりながらも当たりを調べた。
恐らく守衛が持ち歩くために用意していたであろう松明を見つけた。
とりあえず村の中央へ行って見よう。
(持ち物リスト【松明】にチェック)(※16へ)


※8

礼拝所は本来神聖な場所のハズ、しかしそこは血の海だった。
遺体そのものは無いが、ここで激しい戦いがあったことは想像できる。
普段は村人たちの祈りの場であり、普段は皆に慕われているであろう男が立っている。血まみれの神官服を着た男は手槍を構え、君を睨みつけた。

・【手斧】にチェックがある(※43へ)
・【手斧】にチェックが無い場合は逃げ出そう(※[ケラト村全図]へ)


※9

ドアの丸い穴から流れているの血のようだ。
君がドアの前に立つと、その穴はちょうど腹のあたりになる。
嫌な予感を振り払うようにドアを開けると、そこには胴体を何かで貫かれたような農夫の遺体があった。

テーブルの上には尽き欠けたロウソクが残っており、いまにも消えそうな火が揺らめいている。
君は冥福を祈るとこの家を後にした(※[ケラト村全図]へ)


※10

君は中央広場のすぐ北にある家を調べようと近寄った。
他の家に比べ大きく立派な作りをしている。
この村を治める立場の人間の住居かもしれない。
家を取り囲む塀の中に入ると北側と西側にドアが見える。
さて、どうしようか?

・北のドアから家に入る(※42へ)
・西のドアから家に入る(※48へ)
・中央広場へ戻る(※[ケラト村全図]へ)


※11

中央広場から見て村の北東の端の民家を調べる。
ドアは空きっぱなしでキィキィと軋んだ音が聞こえる。
もう暗くなるというのに家の中には明かりは一切ないし人影もない。
ただテーブルの上には3枚のお皿が並んでおり、食べかけのふかし芋が残っている。

・家の中をもう少し調べる(※47へ)
・中央広場へ戻る(※[ケラト村全図]へ)


※12

おそらく猟師の家に立ち寄った君は使えそうな武器を探す。
子どもの頃は猟師の真似事をして弓矢の練習をしたものだがなかなか上達しないので飽きてやめたことを思い出す。

手槍はどうだろう? 建物の中では扱いが難しいかもしれない。
君は手斧を手にした。斧ならば薪を割るのに使い慣れている。化け物相手でも力任せに振り下ろせばいいだろう。

(持ち物リスト【手斧】にチェック)
(※[ケラト村全図]へ)


※13

ごく普通の民家のようだ。
おそらく農業を営んでいるであろう住人は几帳面で清潔な人なのだろう。
農機具は整理整頓されており、隙間なくきれいに並べられているが不自然な隙間が一か所だけある。
今まさにそこになった農機具を使っているような雰囲気だ。軒先には鉢植えの花々が並んでいる。
しかし、特に変わったものはなさそうだ(※[ケラト村全図]へ)


※14

残念ながら君は死んでしまったようだ。
ただただ暗闇の中をどこかに落ちていく。果てしなく遠い上だと思われるその方向には小さな光が見える。

・まだ立ち上がる気力があるなら(※1へ)
・もう諦めるならゲームオーバーだ!


※15

君は少し違和感を感じていた。
村を守る門ならば守衛がいるハズだ。その守衛がいない。
守衛といっても村人が交代で行う程度のモノだろうが門だけがあるのは少々違和感がある。
それ以前に、この小さな集落にしては立派な門と防護柵なのも気になる。
街道沿いなのでそれなりに治安が悪いのかもしれない。
治安が悪いのであれば、やはりここで一泊させてもらった方がよさそうだ。
君は門へと足を進める(※21へ)


※16

「ケラト村」は中央部が小高い丘になっているようだ。
村の周囲を取り囲む柵も一部見えている。
野盗や獣から村を守る防護柵なのだろう。
しかし君は違和感を覚える。辺りは暗くなっているのに村には松明やランタンの明かりひとつないのだ。

夕飯の時間なのに煮炊きしている匂いも感じない。
大きな街や人々が行き交う宿場町と異なり、旅人が立ち寄ることは少ないだろう。だが人が生活する場である以上、明かりと調理はするだろう。それを感じない。

君は背筋に冷たいものを感じた。この村は何かおかしい。
ただ村の外で夜営するのも危険だ。
とにかく村の中を探索してみるとしよう(※20へ)


※17

こじんまりした建物だ。
気のせいか建物そのものがほんのりとまばゆい光を放っているようだ。

君が建物に近寄ろうとすると背後から羽音が急速に迫ってくる。
振り返るとコウモリの翼を背から生やした若い男が襲い掛かってくる。
若い男と言っていいのだろうか、そもそも人間なのか?

肘から先は獣のように黒い毛に覆われ、手からは鋭く長い爪が伸びている。化け物だ!
その鋭い爪は迷わず君の胸を貫こうとしている!

・【革の胸当て】にチェックがある場合(※34へ)
・すぐそばの雑木林に逃げ込む(※39へ)


※18

こういった酒場の仕組みとして2階は旅人の為の宿泊施設になっていることが多い。不気味な村だが夜営をするよりはマシだろう。君はいざとなったら酒場の2階で寝てしまうことも考えた。

ほこりひとつ落ちていない階段を上がると3つの扉があった。
ひとつは酒場の従業員の部屋だろう。

その隣は客室。使われている様子はない。
場合によってはココを使わせてもらおう。

もうひとつも客室だがコチラは使われている形跡がある。
旅人が使っているであろうバックパックが残されているのだ。

・バックパックを調べる(※29へ)
・中央広場へ戻る(※[ケラト村全図]へ)


※19

ドアノブの血糊だけではない、ドアの向こうから染み出るのは血だろう。
足元が妙に滑るのはそのせいなのだ。
君は壁に手をかけ姿勢を整えるとドアを開けた。

ごく普通の民家であろう家の中には老若男女問わず幾人もの村人の変わり果てた姿があった。

君は彼らの冥福を祈ると民家を後にした。(※[ケラト村全図]へ)


※20

君はケラト村を探索することにした。[ケラト村全図]を見て欲しい。
いまは中央広場にいる。見渡すと幾つもの建物があるはずだ。
調べたい建物があったら、その建物についている数字の場所へ行くこと。
例えば、この広場のすぐ南の建物を調べたい場合は(※2)へ行くのだ。


※21

門に近寄る。開かれた門扉に長い木の棒が立て掛けられている。
棒の端の部分にお世辞にも綺麗とは言えない布が巻かれている。
恐らく交代で村人が守衛をする際に持っている護身用の棒なのだろう。
ただ守衛の姿は見えない。門扉が開かれたままでは不用心だろうに…

・門の周辺を調べる(※7へ)
・村の中央に続く小道を進む(※16へ)


※22

この家に近寄ると微かな明かりが揺らいでいるのが見えた。
人がいるかもしれないと期待した君は足早にドアへと歩いたが、少々違和感を感じる。ドアに中央には丸い穴が開いており、そこから液体が滴り落ちている。

・ドアを開けてみる(※9へ)
・中央広場に戻る(※[ケラト村全図]へ)


※23

酒場のカウンターに近寄ると幾つかのコップが並んでいる。その中には液体が残っており、それぞれのコップの中身の量は異なっている。
いかにも何人かのお客さんがそれぞれお酒を楽しんでいた瞬間を切り取ったような状況だ。
不気味さを感じ君はカウンターから離れた(※2へ)


※24

付近に畑が広がっている。この建物は農夫の家だろう。
鋤や鍬が壁に掛けられており、鍬にはまだ湿り気のある土が付着している。
つい先ほどまで使った形跡があるのに、家の中にはその気配が全くない。
そこそこ明るい数時間前までは人がいたような雰囲気だが、
この家には特に変わったものは無さそうだ(※[ケラト村全図]へ)


※25

ここは革製品を作っている職人の居住兼作業場なのだろう。
簡素な寝台の他には、作っている途中の革製品が作業机の上に残っていた。
ついさっきまで作業していたような雰囲気があり君は恐怖を感じた。
使えそうなモノは無さそうだ(※38へ)


※26

中央広場から見て北東にある建物だ。民家ではなさそうで大きな観音開きの扉がついている。中からは動物の鳴く声が聞こえる。動物であればいいが…変な化け物だったら勘弁してほしい。扉には簡素な錠がついているようだ。

・【小さなカギ】にチェックがあり中に入るなら(※49へ)
・【小さなカギ】にチェックが無い(※[ケラト村全図]へ)


※27

中央広場から見てすぐ南西にある建物は何かすぐにわかった。
これは礼拝所だろう。
しかし、なぜか本能的に恐怖を覚える。
近づいてはいけないような気がする。
それでも礼拝所を探索するべきなのだろうか?

・それでも探索する(※8へ)
・中央広場に戻る(※[ケラト村全図]へ)


※28

君は井戸を覗き込んだ。
なにか見えるが井戸の中は暗く深い。何があるのかは見えない。
明かりがあればいいのだが…なければ出直すしかないだろう。

・【松明】か【ランタン】にチェックがあれば(※4へ)
・【松明】も【ランタン】にもチェックが無い(※[ケラト村全図]へ)


※29

少々悪いなと思いつつ、君は旅人が残したバックパックの中身を調べた。
男性物の着替えと護身用のナイフ、財布には路銀が少々、保存食として干し肉が入っている。

さすがに路銀を手にするのは良くないだろう。しかし今は非常事態だ。
恐怖を感じていた君はナイフを借りていくことにした。

(持ち物リスト【ナイフ】にチェック)
(※[ケラト村全図]へ)


※30

君は宝珠を持つという男の子と一緒に、収納箱に入り朝が来るまで隠れていることにした。神様のご加護があればきっと大丈夫だろう。下手に外を出歩く方が危険に決まってる。

二人で身を寄せて朝が来るまでやりすごそうと思ったその瞬間、家畜小屋の羊たちが騒ぎ出した。

何事かと収納箱を開けると、そこには血まみれの神官服を着た男が手槍を持って立っていた。

家畜小屋の入口にはコウモリの翼を背から生やした若い男が立っている……

「悪いが、高位の司祭を呼ばれたらオレも無事ではいられないからな!」

コウモリの男がさっと手を振ると、神官服の男は手槍を構えてコチラに突進してくる。
宝珠にすがる男の子と一緒に君は槍に突き刺されたのだった(※14へ)


※31

この建物のドアは開けっ放しになっていた。
外から覗くと弓矢や手斧、手槍と武器が並んでいる。
住人はおそらく猟師ではなかろうか?
この村の異常事態を考えると何か武器になりそうなモノがあってもよさそうだ。

・この建物を探索する(※12へ)
・中央広場へ戻る(※[ケラト村全図]へ)


※32

家畜小屋の中をひと通り調べてみたが変わったところはなさそうだ。
君は仕方なく家畜小屋を出ようとしたが、羊しかいない小屋の中から羊以外の声か何かが聞こえた気がした。人だろうか?

・もう少し調べてみる(※46へ)
・家畜小屋から出る(※[ケラト村全図]へ)


※33

収納箱の中にはガクガクと震える小さな男の子がいた。
「お、おにいさんは悪い人?」と問う小さな男の子に君は首を横に振った。
「おにいさんは悪い人を退治してくれる人?」と更に問われる。正直程度にもよる。
何人もの悪党がいればとてもじゃないが勝ち目はない。
そもそもこの村で何があったのだろう?
君は男の子をなだめながら聞いてみた。

「若長が悪いことをしていたんだ。若長ってのは村長さんの子どもだよ。その若長が悪魔ってのを呼び出そうとしてたんだって神官様が言ってて、神官様が礼拝所の地下で若長の悪魔祓いをするんだって、朝からずっと悪魔祓いしてるみたいで明日まで掛かるかもって言ってた。それに、もしかしたら神官様も負けてしまうかもって……もし明日になっても礼拝所から出てこなかったら宿場町に行って司祭様に報告してほしいって……」

男の子はそこまで言うと、また震えだした。

「夕方くらいに村長さんが様子を見に礼拝所に行ったんだ。村のみんなは朝まで礼拝所に行かない方がいいって反対してたんだけど村長さんは礼拝所の扉を開けたんだ。」

男の子は両手で目を覆った。

「そしたら中から大きなコウモリが飛び出してきて、村長さんを礼拝所に引きずり込んじゃって、村の大人たちもさすがにマズイことが起こったかもって鍬を持って村長さんを助けに行くって話をしてたんだ。だけど、お父さんは嫌な予感がするからって、ボクをここに閉じ込めて、朝になったら宿場町まで行って司祭様を呼んで来いって言われたから夕方からずっと隠れてたんだ。外で大人たちの叫び声が聞こえてきて、そしたら静かになって……」

どうやら、君はとんでもないことに巻き込まれてしまったようだ。
しかし小さな男の子を放っておくこともできない。
それにしてもよく無事だったものだ。悪魔が相手だとしたら見つかったらマズイことになりそうだ。さて、どうするか…

「年に一回のお祭りに街から司祭様がくるんだ。ボクには司祭様から貰った宝珠があるから、きっと神様が守ってくれたんだと思う…」

そうか、それでこの子だけは助かったのかと君は思った。
その宝珠があれば、もしかしたら何とかなるかもしれないが君は

・宝珠を持つ男の子と一緒にここに隠れている(※30へ)
・宝珠を借りて村を更に探索する(※5へ)


※34

コウモリの化け物の爪が胸を切り裂いた……かに思えたが、偶然にも着込んでいた革の胸当てが守ってくれた。

君は慌てて光を放つ建物の中に転がり込んだ。
あの化け物は建物の光が苦手なのか近寄ってこない。そのうち諦めたのかフッと姿を消した。良かった。それにしてもこの建物は何なのだろう?
君は建物の中を見渡した。

綺麗に整頓された室内は清潔で机の上には庶民にとっては高価な本が並んでいる。それは聖なる書だった。おそらく神官の家なのだろう。
であれば、なにか役に立つものはないだろうか? 君は周囲を見渡した。

家の中央に立っている柱にアンクのペンダントがかけられている。
そうだ、このペンダントが光を放っているだ。
君はペンダントを手に取った。と、同時にほのかな光はフッと消えた。もう力を使い果たしたのだろうか? いや、きっと何かの役に立つはずだ。

(持ち物リスト【アンクのペンダント】にチェック)
(※[ケラト村全図]へ)


※35

家の外から見た限り窓があるハズの場所にすら凹凸を感じない。
恐らく黒く染めた布か何かで外からの光を遮断しているのだろう。

さすがに何も見えなければ探索できない。君は手に持った光源を掲げる。
その明かりに照らし出された部屋は異様な雰囲気だ。

床には恐らく血で書かれたであろう魔法陣があり、本棚には鈍く光を反射する黒革張りの本が並ぶ。

・もう少し調べてみる(※45へ)
・この部屋から出る(※[ケラト村全図]へ)


※36

中央広場から西にある建物を調べようと近寄ってみた。
どうやらこの建物は旅人を相手に商売しているお店のようだ。
腹痛に効く薬、ちょっとした外傷に貼る薬草など、君も何度かお世話になったことのある品物が並ぶ。
君は商品ではあるがランタンを手に取った。
この村を探索するには明かりが必要だ。少し借りていくことにしよう。

(持ち物リスト【ランタン】にチェック)
(※[ケラト村全図]へ)


※37

懐に入れていた宝珠が熱を帯びたのと同時に本が勝手に動き出す。
本が逃げようとしているのだ。
咄嗟に持っていたナイフで本を突き刺した。
本から叫び声が聞こえたような気がした。
さっきまで読めなかった本が書いてあることがわかる。
いや、わかるような気がする。でも言葉にしてはいけない。なぜならその本には悪魔の名前が書かれているのだ。

どこかで聞いたことがある。悪魔は名前を知られた人間に支配される。
その悪魔の名前を知った人間の命令に従ってしまうのだと…

(持ち物リスト【悪魔の名】にチェック)
(※[ケラト村全図]へ)


※38

中央広場から南東に位置する建物を調べた。革職人の店だろうか?
ただし店主も職人もいないようだ。
その奥は恐らく店主か職人の居住スペースのようだ。
静まり返っている店内には革袋、革製の手袋などが幾つか並んでいる。

・店内を調べる(※3へ)
・居住スペースを調べる(※25へ)
・建物を出る(※[ケラト村全図]へ)


※39

君は慌てて地面に転がり込んだ。
君がついさっきまでいた場所を鋭い爪が切り裂く。
腰が抜けそうな恐怖を覚えながら目の前にある雑木林へと駆け込んだ。
あの化け物のコウモリの翼は巨大だ。大きく広げたら雑木林の中は飛べないだろうと判断したのだ。
君の思った通りコウモリの翼の化け物はすぐに飛び込んでは来なかった。
君は人の身長ほどもある草むらに隠れた。
コウモリの翼の化け物はしばらく先ほどの建物の近くで君が出てくるのを待っていたが諦めたのか姿を消した。
とりあえず別の場所を探索しよう(※[ケラト村全図]へ)


※40

石を円形に積み上げたような物があり、その内側は深く掘り下げられている。どうやら井戸のようだ。
近くに木の桶が転がっており近くには水たまりがある。まるでついさっき水を汲み上げた様子だ。

・井戸を調べる(※28へ)
・井戸から離れる(※[ケラト村全図]へ)


※41

君はアンクのペンダントを男の子に渡した。
このペンダントも魔を遠ざけてくれるはずだ。

「おにいさんは絶対に帰ってきてよ!!」という男の子にもちろんだと約束した君は宝珠を借り受けた。

そのかわり男の子には、朝まで絶対に家畜小屋から出ないこと、そして自分が小屋から出たら必ずカギをかけることを約束させ、君は村の探索へと戻ることにした。

(持ち物リスト【宝珠】にチェック)
(※[ケラト村全図]へ)


※42

既に完全に日が落ちて暗くなってしまった。
しかし、なぜかこの部屋はそれ以上に暗く感じる。月や星の光にすら拒絶されたかのような闇が広がっている。

この部屋を探索するなら、しっかりとした明かりが必要だろう。なければ後回しにした方が良さそうだ。

・【松明】か【ランタン】にチェックがあれば(※35へ)
・【松明】も【ランタン】にもチェックが無い(※[ケラト村全図]へ)


※43

君は恐怖に駆られ持っていた手斧を神官服の男に投げつけた。
狭い建物の中であれば槍を振り回す方が不利だろう。
だからといって戦いの訓練を受けた経験が無い君がまともに戦えるとは思えない。

手斧を投げつけたのはまさに本能だったのだろう、
神官服の男は避けようともせず、そのまま手斧を額に受け倒れた。
殺してしまったのだろうか? いや、違う!
あれは死人であり、それを操る悪しき存在がすぐそこにいる!

神官服の男のその向こうにコウモリの翼を背に生やした若い男が立っていた。怪しげな笑みを浮かべコチラに歩いてくる。肘から先は獣のように毛で覆われ、その先にある爪は長く鋭い。
そこから先は一瞬だった。まるで魔法の様に瞬間移動したコウモリの翼の化け物は君の胸に爪を突き刺した!

・【悪魔の名】にチェックがあれば(※50へ)
・【悪魔の名】にチェックが無い(※14へ)


※44

小さな木組みの屋根がついた建物だ。
その下には石を円形に積み上げておりその内側を深く掘っている。
すぐそばに畑があることを考えると、農業用水にも使っている井戸のようだ。近くの木の桶はまだ水分が残っている。ついさっきまで使用していた雰囲気が残っている。ただ、それ以外には特に変わったところはなさそうだ。(※[ケラト村全図]へ)


※45

床に描かれた魔法陣の中心に一冊の本が開かれたまま置かれている。
君はその本を覗き込む。しかし本には文字ひとつ書かれていない。
いや、そんなはずはない。
何かは書かれているがそれを頭が認識できないのだ。
何が書かれているのかわからないのに君は恐ろしくて仕方がない。

・【宝珠】と【ナイフ】にチェックがあれば(※37へ)
・【宝珠】と【ナイフ】が無ければ恐怖で逃げる(※[ケラト村全図]へ)


※46

気のせいかもしれない。
そう思いながら君は声がしたと思われる方向へと歩いた。
「ひっ」という声が聞こえる。声がしたのは収納箱の中からだ。
恐怖に負けそうな気持ちを落ち着かせてゆっくりと箱を開けると…
(※33へ)


※47

特に変わったものは見当たらない。仕方なく家を出ようと入口へ戻る。
ドアの横に上着を掛けるためのフックが幾つか並んでおり、そのひとつに紐で吊るされた小さなカギがあった。
村の異変を調べるために使えそうな予感がした君はカギを手にすると広場へと戻った。

(持ち物リスト【小さなカギ】にチェック)
(※[ケラト村全図]へ)


※48

すこし立派な家具がならんでいる。
それなりの身分のある人間が住んでいる家なのは間違いなさそうだ。

小さな村ではあるがちゃんとした学問を修めているようで庶民は高価で手を出しにくい書物も並んでいる。

しかし、特に役に立ちそうなものは見当たらない。君は部屋を出ることにした(※[ケラト村全図]へ)


※49

君は小さなカギを使い扉を開けた。
中には羊が4匹飼われており、そのほかにも農機具や幾つかの木製の収納箱がある。ただの家畜小屋のようだが……

・もう少し調べてみる(※32へ)
・家畜小屋を出る(※[ケラト村全図]へ)


※50

化け物の爪が君の胸を貫いたような気がした。
その瞬間、君は何かを叫んだ。
そう、あの本に書かれていた【悪魔の名】だ。
人間にとって発音が難しい悪魔の名だ。
そして君は必死になって悪魔に命令を出そうとする。
何を命令すればいいのか悩んだ。
すると、そばに倒れている神官服の男の口が動いた。
死んでいるハズなのに…

「悪魔に命ずるのはやめなさい。あなたの魂が汚れるだけです。
 わたしはもう命を失っています。わたしが代わりに命じるとしましょう。
 貴方のおかげでこの者の名を知ることができました…」

神官服の男は、本当の最期に神官としての役割を果たそうとしたのだろう。
君の魂を汚さぬように、神官は君から聞いた悪魔の名を呼び命じた。

「この世界に存在してはならない。消えなさい。」

君はあの瞬間に気を失ったのだろう。
目が覚めると小さな男の子が不安げに倒れている君に呼び掛けている。
「ああ、なんとか生きているみたいだ」君は男の子にそう返事をする。

悪魔は消え去ったが、この子はこれからどうやって生きていくのだろう。

君は深く考えることを辞めた。
君はこれから街へ出て新しい人生を探そうとしていた。
その連れがひとり増えたとしてそれほど変わることではあるまい。

-おわり-


これ、どうやって作ったの!?

メモ帳でもWord、Excelでも何でもいいので数字を振っておきましょう。
お話の大まかなあらすじを考えて、書き始めちゃいましょう。

ある程度の行数を書いて、主人公の判断が必要なところまできたら選択肢を用意してあげます。

選択肢にそれぞれ飛び先の番号を振ってあげましょう。
これだけです。ええ、これだけ……

飛び先が被ったらどうするの?

番号を書き替えてあげてください。開いている場所に飛ぶようにしてあげると良いでしょう。

アイテムとかどうやって管理してんの?

別ウィンドウか何か、もしくは手元に紙を置いてメモっておきましょう。
どのアイテムを出したのか、どのアイテムを必要としたかあたりを管理しておけば大丈夫です。

1日で作れるかぁ?

作りました。
そりゃ初めて作ると難しいかもしれませんが、わたしの場合は小中学生の頃にはもうゲームブック作っているので(思い出しながらとはいえ)作れました。

当時は紙のノートに手書きしていたので、もっともっと時間が掛かりました。パソコンを使うと楽ですね。コピペできるし、間違ってもCtrl+Zできるし!

別に1日で完成させる必要はありません。作ろうと思えば意外と作れるものですが諦めたら完成しません。
ゆっくり時間をかけて作ってみるとよいでしょう。

それに急ぎで作ると予想外の不具合が出たりするもんです。
早さより遊ぶ人が、より遊びやすくする工夫の方が大事だと思います。
わたしも、この作品に不具合があったら修正しようと思っています。


これって何かに似てません?

TRPGに似てますよね。TRPGのルールを学習するためにゲームブック的なモノを使用することがあったりします。
もちろんGM(ゲームマスター)とプレイヤーのやり取りを会話で進めるTRPGに比べると、本に書いてある文章は変化しないので自由度が低いのが少し残念なのですが…

そうじゃなくて似てるのあるよね?

そうそう、ゲームブックってゲーム機やパソコンゲームで言うと「アドベンチャーゲーム」「ノベルゲーム」に似てますよね。

そうなんですよ。これ作れるとアナログゲームだけじゃなくてデジタルのアドベンチャーゲーム作れるんですよ。

ゲームブックにはゲームブックの良さもあるので、必ずしもデジタルにする必要はないのですが、やっぱりパソコンやスマホで動くゲームを作りたい方もいらっしゃると思いますので!

「そうは言われてもプログラムどうすんのさ!?」
となったらコチラ(↓)を使ってみるのもひとつの手段です。

もちろん「お話」や「グラフィック」をどうするかっていう問題はあるんですけど、難しいプログラムを覚えるのがハードルなら、こういった方法もあるかもよーというお話です。


最後に

いつも以上に長くなってしまいました。
作ってみると意外と面白いと思いますよゲームブック。最初は大変だと思いますが手を動かしてみると印象が変わると思います。

まずは楽しむことから始めてみてはいかがでしょうか?

ちなみに普段はこんなゲームをいじっている人です。
ご興味がございましたら以下の記事もご覧くださいませ~。


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