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新しい命の誕生と、大事な命を失った出来事から

割引あり

先週母から、弟の嫁さんが出産準備のため入院した、とのLINEが入った。


予定は一週間後としているそうだが、お腹にいる赤ちゃんがこれ以上大きくならないため、もしかしたら出産日が早まるかもしれない、とのことであった。

満を持して孫が生まれてくる。これは誰にでも喜ばしいことなのだろう。しかし母は、自身にとって念願の初孫が誕生することに歓喜することよりも、弟の嫁さんの体調を心配していたのだ。

数ヶ月前に妊娠していることが判明した時から、母はとてつもなく気が気でならなかった様子を伺えた。

以前に、弟の嫁さんと初めて顔を合わせた時、常日頃から活発的である弟と相反しておとなしい印象を持ったが、これといって身体が弱っているような様子は見受けられなかった。

本来であれば過剰に心配する母に、私はその場で「大丈夫だよ」と続け、何か気の利いたセリフを一つか二つぐらいかけておくべき…だったのかもしれない。


『母子ともに元気であることを祈るばかり』


続けて母から送信されてきたLINEを見た時、私は純粋にそう返事することができなかった。もちろん、弟が自分よりも先に親になるという面において、果たして立派に父親をつとめていけるか、という若干の心配も一理ある。

それゆえに私には、母から聞かされていた過去の出来事が、脳裏にチラついていたのである。その上で、安易な形で言葉にして返事するのは、これまでの半生で私よりも辛い経験してきた母に対して、少々不謹慎だと思っていた。


なぜならー


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