タダノツカサ

人生の経験のうち大半を愚行に費やす人 | 時々音楽を語る | 稀に本の感想 | 合言葉…

タダノツカサ

人生の経験のうち大半を愚行に費やす人 | 時々音楽を語る | 稀に本の感想 | 合言葉は「Have a good day!」

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  • 【みんなで創る】クロサキナオの運営マガジン

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    このマガジンは「楽しく、続ける」を趣旨として発信してます。まだnoteに慣れてない人は知り合いづくりと記事の共有を兼ねてぜひご参加してみてはいかがでしょう🌹 ※原則1日投稿記事は2本までとしました。ご了承ください。

  • 父の背中

    父と歩いてきた日々を、忘れないための生きた証。

最近の記事

  • 固定された記事

ひとり折り返し地点に入る

「えー皆さん、たぶんご存じかと思いますが、5月15日をもってタダノ君が退職することになりました」 4月16日、私が今勤めている会社を辞めるまで、丸一ヶ月を切った。 その日の朝、私が勤めている会社の営業所では、普段から滅多に行われることのないミーティングが行われた。そこで所長は皆の前で、私が退職する旨を通知したのだった。 すでに私は、今から1、2ヶ月ほど前に退職願を所長に提出している。そして会社がそれを受理したことを証明するかのように、退職証明書や失業保険を申請するのに必

    • ぬるくなったビール | 炭酸刺繍

      真夏の午後を通り過ぎた先 深い痛みを覚えてしまった 二度と味わうことはないと そう言い聞かせておいては 瞬く間に思わず目がくらみ 一つの泡沫におぼれてゆく 過ぎ去ってしまった時間は 二度と取り戻せやしないと いつだったかそう口にした あなたが置いていったもの ガラス製のジョッキの中に 飲み干し損ねたほんの僅か 輝きがとっくに消え失せた そこには酸いも甘いもなく これからの未来を暗示する ような抜け切った苦みだけ 記憶の底に焼き付いたまま 大人

      • 先手を打ったつもりが、裏目に出てしまった話

        2021年4月末日、夕方に仕事を終えるとすぐさま、職場近くにある喫茶店に向かった。 翌月から私は引っ越しに伴い、転居先近くにある駐車場のうちの1スペースを借り始める。そのための契約の手続きを行うべく、申込先である仲介業者のHさんとそこで会う約束をしている。 思えば、申し込みから契約成立までに一ヶ月近くと、随分と長くかかってしまった。当初予定していた計画であれば、下旬ごろまでには一通りの手続きを済ませておきたいところであった。 使用開始目前になって、双方ともばたついてしま

        • やがてカーテンを自分好みに飾っていく

          思えば、カーテンを新しいものに替えるまで、随分と長くかかってしまったものであった。 「いつかは替えないといけないなぁ」と思いつつも、なかなか替えるタイミングが見つからないまま、およそ半年ほどかかってこの日に至ってしまった。 昨年に私は、自宅で使っているカーテンのうち、レース側だけを替えておいてある。ただ、今にして考えてみたら、ドレープカーテンも一緒に新調しておくべきだったと、そう思わざるを得ないという「たられば」状態に陥っている。 因みに私の自宅には、カーテンの開け閉め

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        記事

          最終電車 | 新生活20字小説

          この車両のどこかに、貴方がいる気がした。

          最終電車 | 新生活20字小説

          泣きそうで泣こうとしなかった空

          この日の東京の空は、突然の雨に見舞われてもおかしくないほどに、青空一つも見えず灰色一色の曇天であった。 都内の外れた場所へと野暮用があるため、JR山手線を使って移動していた私は、雨が降るか否かと待ちわびながら、ほぼ満員電車の群れに紛れ込んではドア越しに空を眺めていた。 群れを成しているかのようなビルが、あちらこちら乱立している東京の空は、まるで切り絵みたいな光景を作り出している。その先には、一帯を埋め尽くす分厚い雲がくっきりと見えることであろう。 当たり前だが、この空模

          泣きそうで泣こうとしなかった空

          新生活応援セール | 新生活20字小説

          無駄遣いしないと決めたのに、買っちった…

          新生活応援セール | 新生活20字小説

          孤独が紡ぎ出す時間

          ひとりでいる時間は、決して苦ではない。 これまでの半生を振り返った時、私はいつから人と比べて少し偏った事柄を思い始めるようになったのだろうか。 もしも私が、みんなと同じ時間を同じように過ごしてきたのなら、単身で上京を志すどころか、他人と比較して捻くれるような考え方に至ることはなかっただろう。 仮に上京するにしても、友人たちと囲まれるようにして乗り込むみたいに「周りの人がそうしているから」といった、無粋な考えを持つ可能性は大いにあったかもしれない。 それはそうとして、私

          孤独が紡ぎ出す時間

          新調 | 新生活20字小説

          時には形から入ることも大事なんだってね。

          新調 | 新生活20字小説

          「悲しみも抱きしめて歩けるように」

          何度、そして何度も、この言葉に前へ踏み出す勇気を与えられたことだろう。 ASKAのソロシングル「あなたが泣くことはない」がリリースされたその年、90年代の日本の音楽シーンを代表するアーティストであったCHAGE and ASKAは、無期限活動休止を発表していた。 小学生の頃に「PRIDE」というアルバムが収められたカセットテープを聴き始めて以降、リスナーとして楽曲を聴いていた一人としては、様々なメディアを介して一情報を知った時、かつてない衝撃が走ったのを憶えている。 そ

          「悲しみも抱きしめて歩けるように」

          本気の出し方 | 新生活20字小説

          「全力でやりな。いずれ忘れてしまうから」

          本気の出し方 | 新生活20字小説

          集合写真 | 新生活20字小説

          もうちょっと、笑っておけば良かったかな…

          集合写真 | 新生活20字小説

          10年来の大親友との『縁』を切る。

          2023年12月某日、私はとある目的地へと向かうべく車を走らせている。この日の空は雲一つも見当たらず見事な快晴で、ドライブするには絶好の日和であった。 が、この時の私はそう呑気に浮かれている余裕はない。市役所あたりの交差点を抜けたらもう間も無く到着するのに、胸のあたりから謎の緊張が込み上げてくる。 目の前にあるハンドルを強く握りしめていないと、思わず張り裂けてしまいそうになるくらい、無意識に鼓動が速くなっている。目的地に近づくまでには、なんとか心を落ち着かせなくてはいけな

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          10年来の大親友との『縁』を切る。

          数年ぶりにして最後のグループ通話

          2022年11月某日、悪友から突然、みんなでグループ通話をしたいとの連絡が入る。 この日に至るまでしばらくの間、お互いに連絡を取り合っていなかったにも関わらず、タイミングよく全員参加できるとのことだった。 各々の返事が入ると10分も経たないうちに、いつも必ず召集をかけている悪友の元で通話が開始された。 思えば、こうして集まってグループ通話をおこなうのは、1泊2日の名古屋旅行からおよそ4、5年ぶりであった。 それまでは、毎晩集まっては「モンスターハンター」や「マインクラ

          数年ぶりにして最後のグループ通話

          その日、空振り三振 | 新生活20字小説

          勇気を出しても、報われないことを知った。

          その日、空振り三振 | 新生活20字小説

          幕引きに突如溢れ出した涙

          高校の頃に知り合った同級生のEさんは、生徒会長を務めていた。 彼女は天真爛漫にして明るく、誰にでも慕われる性格の持ち主である。ゆえに成績は常に上位トップに入る勤勉さを誇っており、まさに生徒の鏡のような存在でもあった。 私も一年生の時に出会った当初は、少なからず会話を交える機会はあった。だが進級に伴ってクラスメイトでなくなると同時に、彼女が生徒会長に就任を果たすと、自然と話すことはなくなってしまうのである。 一年に何回か行われた生徒総会で、壇上に立つその姿はいつも凛として

          幕引きに突如溢れ出した涙