あなたの瞳に映っていた世界は
2021年12月31日、そして2022年1月1日に、父親は一時的に家に戻ってきた。
母と一緒に介護タクシーから降りてきた父は、昔からよく見ていた寝間着姿に腫瘍を摘出した時の跡が見えないようニット帽を被っており、自力で歩くことが困難であることを証明するかのように車椅子に乗せられている。
病気の進行、それにおよそ一ヶ月ほど受け続けてきた放射線治療の影響も少なからずあるだろう、一年前に見た時と比べ身体はかなり痩せ細ってしまっていた。
表情は…云うまでもなく、元気があるだとか