#038 作文の向こう側
今日も小6の長男の受験の話。
彼と作文問題の見直しを一緒にやっていると、小学生でこんな問題、解けるのか、と思うような問題にしばしば出会います。それは環境問題であったり、社会保障に関する話であったり、差別や偏見についての問題であったり。解けるのか、と書いたが、作文の問題は何を書くと、正解ということではなく、自分の意見を持ち、その根拠は何であるか、どのような体験に基づき、そのような考え方に至ったかを論理的に導くことが出来れば、高得点を取ることができる。なので、対応策を心得ておけば、点は簡単に取れる。
しかし、点を取るためのスキルを身に付けるだけでは、なんとも虚しいので、彼とは作文問題の直しではなく、社会問題をどう解決すべきかという議論をするようにしている、だいぶ時間はかかるのだけれども。
先日は、生活保護を受けている家庭の娘さんとお付き合いしている僕(主人公)は、自分の母親が生活保護に対する偏見を持っていて、付き合っている彼女にも偏見を持っている話や、貧乏で洋服が買えないから、毎日同じ服を着ている同級生が、くさい、汚い、といじめを受けている、という話から、経済的困窮者に対する差別や偏見についての自分の考えを述べる、という問題でした。
長男と話したことは、生活保護という制度は、色々な事情によって「働けない人」へのセーフティネットであって、働かずにお金を受け取っている人たちではないこと。中には不正受給している人もいるが、最低限度の生活を送るために必要な制度であるということ。そして、自分の意志では変えようのないこと、例えば、人種や身体的な特徴など、で人を差別や批判してはいけないことを話しました。これくらいは、どこのおうちの、どこの親でも会話していると思うので、わざわざ書くことではないのですが。
付け加えて、長男と議論したことは。
経済的に裕福な人たちは、社会のトーナメントを勝ちあがってきたのだろうけど、それはたまたま勝っただけだということを忘れてはいけないこと。また敗者=弱者ではないこと。敗者が、もう一度、立ち上がるチャンスを得られる社会を作らなければならないこと。弱者(立場の弱い人)を救済できる仕組みを作らねばならないこと。そして、リーダーとなる人はノブレス・オブリージュと言われる高貴な義務を持ち、それを果たさなければならないこと。
力と知恵を身に付ければ身に付けるほど、利他的な考えをもち、実際に行動しなければならない、ということを話しあうことができました。
彼にとっては、受験勉強以上に時間を費やすディスカッションで、なかなか辛いかもしれませんが、勉強よりも大事なものだと、分かってくれれば、なによりです。