見出し画像

やさしい物理講座ⅴ50「月宇宙船」

月旅行も現実味を帯びて来ました。報道記事からではイメージが湧かないので補足の画を添付しました。イメージの扶けになればと思います。

        皇紀2682年11月28日
        さいたま市桜区
        理論物理研究者 田村 司

月宇宙船、最遠記録を更新 41万キロ先、無人飛行試験中

共同通信社 - 6 時間前

 【ワシントン共同】米航空宇宙局(NASA)は26日、月周辺で無人飛行試験を実施中の宇宙船オリオンが、人を乗せて往還するための宇宙船として史上最も遠くに到達したと発表した。地球からの距離が41万キロを超え、1970年のアポロ13号の記録約40万キロを追い抜いた。12月11日に帰還する。


宇宙船オリオンと月。太陽光パネルに備えたカメラで撮影した
=21日(NASA提供・共同)© KYODONEWS


 オリオンは米国が主導し日本も参加する国際月探査「アルテミス計画」で、飛行士を月の上空まで運ぶ宇宙船。飛行システムや大気圏突入時の耐熱機能を実証するため、16日にフロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた。

参考画像:月の軌道 - Wikipedia

性質値軌道長半径384748 km
平均距離385000 km
逆正弦視差384400 km
近点距離~362600 km
(356400 - 370400 km)
遠点距離~405400 km
(404000 - 406700 km)
平均軌道離心率0.0549006
(0.026 - 0.077)
黄道面に対する軌道の平均軌道傾斜角5.14°
(4.99 - 5.30)
平均赤道傾斜角6.58°
黄道面に対する月の赤道の平均軌道傾斜角1.543°
歳差周期18.5996年
離角の縮退周期8.8504年



NASAの月探査ロケットが宇宙へ。月探査計画「アルテミス」が、ようやく本格的に動き始めた

月探査計画「アルテミス」の最初のミッションとなる新型ロケットを、NASAが2022年11月16日に打ち上げた。順調に進めば人類が再び地球に降り立つ悲願の実現に近付くだけでなく、火星探査に向けた重要な一歩にもなる。

繰り返された打ち上げ延期といくつかの失敗を経て、ついに“待ち時間”が終わった。米航空宇宙局(NASA)の巨大複合型ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」とカプセル型の無人宇宙船「オリオン」が、米東部時間2022年11月16日午前1時48分(日本時間の午後3時48分)に打ち上げられ、歴史的な月面飛行に向けて飛び立ったのだ。フロリダ州のケネディ宇宙センターでは大勢の見物人が見守るなか、スペースシャトルやアポロが宇宙への旅を始めた同じ発射台から、NASAのロケットの轟音が響き渡った。

オレンジ色のコアステージと2本の白い固体ロケットブースターを含む全長212フィートのロケットは、以前のテストの際と同様にモバイルランチャーと呼ばれる地上構造物の上に載せられていた。ロケットはブースターに点火されると爆発的な炎の上に浮き上がり、すぐに発射塔を通過してオレンジ色の縞模様を背に大気圏を上昇し始めた。

「アルテミス1号、リフトオフ」と、NASAのライブストリーム解説者のデロール・ネイルは宣言した。「わたしたちは共に上昇し、月とその彼方へと帰還する」

打ち上げから2分が経過すると、SLSのブースターは推進剤の燃焼を終えて落下した。打ち上げから約8分後、コアステージのロケットも燃料を使い切り、分離した。その結果、無人のオリオンは上段ロケットと、宇宙船の主推進力と動力を供給する欧州宇宙機関(ESA)のサービスモジュールに固定されたままになった。オリオンは時速16,000マイル以上で飛行を続け、数分後に太陽電池アレイを展開した。

計画通りに進めば、打ち上げから約2時間後にカプセルはSLS上段から切り離される。SLSの上段は月や火星、地球近傍の小惑星で小型のミッションを実施すべく、「キューブサット(CubeSat)」と呼ばれる超小型衛星10機をまとめて放出する。

オリオンは10日ほどかけて月に到達し、そこで2週間ほど「遠距離逆行軌道」と呼ばれる地球と月の引力のバランスがとれた軌道を回ることになる。この軌道では、飛行の維持にそれほど燃料を必要としない。

月を周回しながら、オリオンはアポロ8号で撮影された象徴的な「地球の出」を含む地球と衛星の写真を撮影し、宇宙放射線のデータを収集する。これにより、地球の大気圏の外側で長期にわたって飛行した際の宇宙飛行士の健康リスクについて、科学者がより多くの知見を得られることになる。

オリオンは22年11月末にこの軌道を離れ、人類を乗せられる宇宙船としてはこれまでで最も遠い月の向こう側40,000マイルを飛行し、再び12月上旬に地球に向けて戻ってくる予定だ。オリオンの26日間の旅は、おそらく12月11日にサンディエゴの沖合50マイル(約80km)の太平洋上にパラシュートで落下し、終了することになる。

月面への“帰還”という悲願の計画

「アルテミス」ミッションのメンバーたちは今回の瞬間が来たことに歓喜しながらも、アポロ時代以来の大規模な“ムーンショット”に不安を抱いている。

「月への復帰と、より深い宇宙探査に向けた新しい時代の幕開けとなるアルテミスのミッションをスタートさせることができて、その道がいつか火星へもつながっていると考えるとわくわくします。今夜は暗闇が打ち上げの炎に染まる様子を見ることがいちばんの楽しみです。きっと素晴らしい景色になることでしょう」と、NASAの宇宙飛行士クリスティーナ・コックは15日に語っている。NASAの国際的・商業的なパートナーシップのおかげでアルテミス計画には科学や経済などの面でさまざまな利益が期待でき、次世代の宇宙探検家を鼓舞する上で役立つだろうと彼女は言う。

今回のミッションは、NASAが“月への帰還”を目指す野心的な計画の一部であり、さまざまなミッションの最初のものになる。2024年半ばには「アルテミス2号」が4人の宇宙飛行士を乗せた「オリオン」が打ち上げられ、コッチが月の周辺を宇宙飛行する候補とされている。

そして25年か26年にはミッション「アルテミス3号」が実行に移され、宇宙飛行士を月面に“帰還”させる計画だ。このときには女性初の月面着陸も予定されている。

27年の「アルテミス4号」では、月の軌道上で組み立てられる新しい宇宙ステーション「ルナ・ゲートウェイ」の居住棟が運び込まれる(NASAの小型探査機「CAPSTONE(キャップストーン)」は、11月13日にルナ・ゲートウェイの将来の軌道に到着している)。将来の有人ミッションでは、宇宙飛行士がゲートウェイにモジュールや機器を追加していくことになる。

困難を乗り越えた「5度目の正直」

今日の待ちに待った打ち上げは、NASAにとって最初の試みではなかった。8月29日の最初の打ち上げでは、3番目の「RS-25」エンジンで液体水素の漏れが発見され、打ち上げは延期された。2回目となった9月3日の打ち上げも水素の漏れが原因で中止となったが、このときはさらに大きな水素漏れだった。NASAはスペースシャトルの時代に多くの液体水素の漏れを経験しているが、SLSは新しいロケットだけに新たな課題を突きつけられることになった。

この次にNASAは、推進剤をより低い圧力でコアステージ(1段目)のロケットに注入する「より優しく穏やかな方法」を試したと、NASAの地上システムを受託しているJacobs Space Operations Groupのバイスプレジデントのブラッド・マケインは、9月の記者会見で語っている。9月21日のテストでは機能していたという。

ところが、9月27日に予定されていた3回目の打ち上げは、ハリケーン「イアン」の接近によってキャンセルされた。しかも、ロケットを守るためにロケット組立棟(VAB)に戻すことを余儀なくされたのである。

11月に入ってから、NASAは11月14日の打ち上げに向けてロケットを発射台に戻したが、ちょうどそのころハリケーンの強さに迫る熱帯低気圧「ニコル」が迫っていた。NASAはロケットを再びシェルターに戻すことを検討したが、それにはいくつかのリスクが伴ったという。

ロケットは発射台の上にあれば、風速74ノット(同38m/秒)までの持続的な風に耐えられる。ところが、組立棟と行き来するクローラーに乗っている間には最大瞬間風速40ノット(同約21m/秒)の風にしか耐えられない。最終的にシェルターまで移動させる時間はなく、ロケットをそのままにして打ち上げを11月16日に延期することにしたのだ。

最終的にハリケーン「ニコル」は、74ノット級の強風をもたらした。しかし、NASAの担当者はSLSとオリオンへの嵐による被害は軽微であると評価している。

具体的には、オリオンの保護用ノーズコーンの根元にあるコーキング材や断熱材のごく薄い部分が剥がれ、ロケットの液体水素の充填に関連するケーブルに電気的な接続の問題が検出されたという。打ち上げ中にコーキング材などが剥がれる可能性はあるが、アルテミスのチームはそのリスクを最小限に抑えたと判断した。チームは先に進むことを決めたのである。

「わたしはこのチームの立ち直る力を非常に誇りに思っています。ハリケーン『イアン』のために後退しなければならなかったときは少し残念に思いましたが、翌日には全員がやるべき仕事に本当に集中していました。ハリケーン『ニコル』のときも似たような感じでしたね」と、ケネディ宇宙センターでNASAの地上システムの副マネージャーを務めるジェレミー・パーソンズは、記者会見で語っている。

「ゴーサイン」の意味と価値

打ち上げに向けたカウントダウンは、米東部時間で11月14日の午前1時24分にスタートした。打ち上げチームと米宇宙軍の気象学者は、天候が良好である確立が「80%」で、ほかにハリケーンが近付いて来ていないことを確認した。

そしてチームは、489項目からなる打ち上げ基準のチェックリストを確認し始めた。15日午後、打ち上げチームは大きなオレンジ色の燃料タンクに70万ガロン(約2,650万リットル)以上の液体水素と、マイナス253度とマイナス183度まで過冷却された液体酸素を充填し始めた。

そしてカウントダウンが残り10分となったところで、打ち上げディレクターのチャーリー・ブラックウェル=トンプソンとチームは、打ち上げに「ゴーサイン」を出した。それから数分後、ブラックウェル=トンプソンはチームにこう語りかけた。

「みなさんは歴史に名を残すことになりました。“初めて”の瞬間に立ち会えるなんて、そんなことはめったにありません。キャリアに一度くらいはあるかもしれませんが、そのくらいのことなのです。わたしたちは誰もがアルテミスの最初の打ち上げという特別な出来事の一部です。わが国が月に帰還し、火星に降り立つための第一歩になります。みなさんがなし遂げたことは、次の世代に勇気を与えることになります。ですから、みなさんの立ち直る力に感謝します。登ることが難しい山ほど、山頂からはいい景色が見えるものです。その景色がいかに素晴らしいものなのか、今夜は見せることができました」

NASAの地上システムの副マネージャーのパーソンは、アルテミス1号のミッションについて「試験飛行」と考えるべきだと言う。つまり、たとえ理想的な条件でなくても、飛行中にミッションが中止されることはないということだ。

アルテミスのミッション・マネージャーであるマイク・サラフィンは、8月の記者会見でこの点を強調している。「これは新しいロケットと新しい宇宙船の初飛行であり、固有のリスクを伴うものです。わたしたちは優先順位の高い目標である、月からの再突入時の熱シールドを実証するために、“リーンフォワード(積極的に取り組む)”という戦略をもっています。有人飛行ではクルーの安全のために“中止”を余儀なくされる状況でも、今回のフライトでは“ゴーサイン”が出るのです」

次なる大きな飛躍に向けて

アルテミスのチームは、オリオンの熱シールドが時速25,000マイル(マッハ32)の大気圏再突入時に華氏5,000度(2,760℃)の灼熱にどう対処するのか注目することになる。この熱シールドには「AVCOAT(アヴコート)」と呼ばれる新しい熱シールド素材が使われており、オリオンの底にある連結されたブロックに組み込まれている。

この素材は熱を帯びると、一部が剥がれ落ちる。このような熱シールドは、月から帰還する宇宙船が経験するような速度でテストされたことはない。

さらに、チリや南アフリカにあるNASAの地上局「Near Space Network」により、通信やナビゲーションシステムが正常に機能するかどうかも確認することになる。さらに、司令官「ムーニキン・カンポス」と名付けられた3体のマネキンが装着するセンサーから放射線データを収集し、宇宙船の軌道やクルーモジュールの温度などのデータも収集する。

また、3つのパラシュートが適切に展開され、宇宙船が時速20マイルまで減速することを確かめる。オリオンが水しぶきを上げて着水する間、NASAの職員は膨張式のボートに乗ったダイバーやチームメンバーを含む海軍の回収船と協力し、安全かつ迅速に宇宙船を回収できるようにする計画だ。

オリオンの帰還は、アルテミス2号、そしてさらに遠く離れた火星への旅を実現するための舞台となる。だが、すべては人類が次の大きな飛躍を遂げる準備ができていることを証明する最初のミッションにかかっているのだ。

WIRED US/Translation by Daisuke Takimoto)

※『WIRED』によるアルテミス計画の関連記事はこちら宇宙の関連記事はこちら


Related Articles

まもなく本格始動、月探査計画「アルテミス」がNASAと人類にとって意味すること

米国主導で進む月探査計画「アルテミス」の最初のミッションが、早ければ2022年8月下旬に実施される。このロケットと無人宇宙船の打ち上げが成功すれば、人類が半世紀ぶりに月に降り立つ計画が本格的に始動し、将来的な宇宙ステーションの建設や火星探査などの実現が現実味を帯びてくる。


月探査ミッション「アルテミス1号」に“相乗り”する10基の超小型衛星には、宇宙探査にとって重要な任務が課せられている

米国を中心とした月探査計画の最初のミッション「アルテミス1号」が、早ければ2022年8月29日に実施される。打ち上げられる新型ロケットには宇宙船「オリオン」のほか10基の超小型衛星も“相乗り”しており、地球近傍の小惑星や月面の氷の調査、着陸技術の検証などの重要な任務が課せられている。


月探査ミッション「アルテミス1号」が3度目の延期。ハリケーン襲来を前にさまざまな課題が浮上した

月探査計画「アルテミス」の最初のミッションとなる新型ロケットの打ち上げは、悪天候とハリケーンの接近により3度目の延期が決定された。今回は液体水素の漏れこそ見つからなかったが、自然の猛威に立ち向かえなかった巨大ロケットには別の課題も顕在化している。


参考文献・参考資料

月宇宙船、最遠記録を更新 41万キロ先、無人飛行試験中 (msn.com)

月の軌道 - Wikipedia

NASAの月探査ロケットが宇宙へ。月探査計画「アルテミス」が、ようやく本格的に動き始めた | WIRED.jp

アルテミス計画 / Artemis Programに関する最新記事 | WIRED.jp

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?