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政治講座ⅴ652「祖先返りする中国は旧ソ連の社会実験の失敗を再現させる自滅へと進む」

多分、習近平氏は中国の貧富の格差が開き、経済格差が容認できない段階となり、国是の共産主義に戻して共産党の基本に戻そうとしたのであろう。「共同富裕」の意図は富の平等化であろう。鄧小平の改革開放路線を否定したと事から出発している。我々自由・民主主義陣営は、共産主義のイデオロギーを持った私有財産を認めない国家と対峙することになったことを自覚するべきである。共産党が私有財産を略奪接収した歴史から今後起こり得ることは、進出した海外企業の私有財産の接収で国有化へと変質する可能性がある。もう、そのような兆候は出ているのである。

       皇紀2682年12月6日
       さいたま市桜区
       政治研究者 田村 司

習近平体制がイノベーションを破壊、国家統制が引き起こす「中国の衰退」

白川 司 - 4 時間前

写真はイメージです Photo:PIXTA© ダイヤモンド・オンライン


習近平指導部がゼロコロナをやめない理由

 中国の習近平国家主席は、就任当初こそ鄧小平にはじまる経済開放路線を順守するかに見えたが、2020年ごろからアリババやテンセントなどの巨大IT企業を中心に、企業に対して国家統制の動きを見せ始めている。
 また、異例の3期目を決めた2022年10月の共産党大会では、重要政策を経済成長から安全保障にシフトさせている。テクノロジー開発についても、国家プロジェクトの色合いが強い宇宙開発や、あるいはスーパーコンピューター、量子コンピューター開発など安全保障寄りの分野に強い意欲を示している。成長ではなく分配に重心を置くことを明言しており、習近平指導部の経済政策が、開放経済から社会主義的な経済政策にシフトしていることは明白だ。

 2022年の共産党大会の時期に、もう一つ重要な出来事が起こっている。それは、中国国家統計局が10月18日に予定していた7~9月期の国内総生産(GDP)の発表を延期したことだろう。
 重要統計が理由もなしに延期されるのは、極めて異例なことだ。10月16日に開幕した共産党大会期間中に発表されることを避けたというのが、妥当な見方だろう。
 結局、10月24日に発表された7~9月期の国内総生産(GDP、速報値)は物価変動の影響を除く実質成長率で前年同期比3.9%のプラスだった。1~9月期が3.0%だったので、習近平指導部が今年の目標として掲げていた5.5%前後は絶望的になった。
 5.5%がもともと過大な目標だったという見方もあるが、これほど目標から外れてしまった最大の原因が、習主席肝いりのゼロコロナ政策にあることは言うまでもない。
 ゼロコロナ政策はコロナウイルス感染症拡大の当初こそ評価されたが、欧米などがウイズコロナに移行し、やがて行動制限を解いてもなお、断続的に維持しなければならなくなってしまった。
 欧米各国はワクチンで集団免疫を獲得して、その後は徐々に行動を緩和して生活を正常化した。多くの国が多少の犠牲を伴いながらも、経済の正常化に成功している。
 これはウイルスが変異し続ける以上、どこかで区切りをつけて決断しなければならないことだったが、中国だけが取り残された。患者が出ると、その地域全体の住民に対して毎日のPCR検査と過酷な行動制限を課し、人民を強いストレスにさらし、経済を停滞させていったのである。
 習近平指導部がゼロコロナ政策を強いたのは、2020年のコロナ拡大期の医療崩壊があまりにもひどかったからだろう。中国は2000年代以降、経済成長を重視する一方で医療や福祉の充実を怠ってきたツケで、簡単に医療崩壊を起こしてしまう環境にある。医療崩壊を避けるために行ったゼロコロナ政策が、ウイルスの変異に翻弄(ほんろう)されて、やめられなくなってしまったわけである。
 だがこのままでは、集団免疫獲得を先延ばしにするだけで、得られるものがあまりに小さい。どこかでウイズコロナ政策にかじを切るしかないのであるが、進むも地獄、止まるも地獄だ。

若年層の失業率が過去最高を記録

 習近平指導部の経済政策は市場原理をなるべく抑えて国家のコントロールを優先させ、規制を強める「反ビジネス」の色合いを強めている。ゼロコロナ政策がまさにその典型だ。ビジネスや外国企業との関係より、ゼロコロナ政策で国家的な事情を優先させた結果中国の対外的な信頼度は大きく毀損された。
 ゼロコロナ政策に最も翻弄されているのが若者である。16歳から24歳の若年層の失業率は2022年7月に20%と過去最高を記録している。社員の待遇が良く優秀な大卒生を最も吸収するであろうと考えられていたアリババやテンセントなどのIT大手が、習近平指導部の締め付けによって業績が伸び悩んだ上に、これまで中国経済を陰で牽引(けんいん)してきた起業も振るわなくなっている。さらにゼロコロナ政策中国経済全体を縮小させてしまっているので、そのしわ寄せは若者に集中した。
 若者の就職先が狭まったことは、中国のイノベーションの将来を考えたときに決して些事(さじ)ではない。意欲的な若者がIT企業で活躍し、斬新なアイデアを持った若者が起業するからこそイノベーションは進化するのであるが、ゼロコロナ政策はその可能性を根こそぎ奪ってしまった。
 さらに、中国に新たな技術やノウハウをもたらしてきた外国企業も徐々に中国離れが進んでいる。外国企業は習近平指導部の国有企業優先に巻き込まれて、気まぐれな政策の変更に翻弄されている。2001年のWTO加盟時にあった中国の自由さは、もはや過去のものとなっている。
 習近平指導部は野心的な民間企業について「借り入れが多い」と規制を始めている一方で、国有企業の借り入れは問題にしていない。その結果、国有企業が民間企業を買収する事例が目立つようになっている。これは、イノベーションの観点からは決して望ましいことではない。
 またこのことは、中国国内で国有企業と外国企業が同じ土俵に立ったときに、中国当局が国有企業を優先することを表している。圧倒的な力を持つ外国企業が相手であれば、国有企業を生かすために外国企業への意図的な妨害工作もいとわないということにもなりかねなくなっている。

自由闊達とはいえない中国でイノベーションが起こった理由

 中国は近年まで「模倣国家」と揶揄(やゆ)されて、世界を変えるような画期的なイノベーションが起こるような環境ではなかった。権威主義国家であり、国有企業が中心で競争原理が働かず斬新なアイデアが出にくい環境だというのが平均的な評価だろう。
 イノベーションでは、多様性と自由が重要だというのが一般的な認識だ。ITにおけるイノベーションがシリコンバレーを中心に起きたのは、世界中から野心とアイデアを持った者が集まり、切磋琢磨(せっさたくま)して、桁違いの成功者を次々と生み出せる環境にあったからだろう。
 それと比べると、中国には自由闊達(かったつ)な雰囲気などありそうになく、イノベーションなど起こりようがないと考える向きも多かった。だが、中国発でAI(人工知能)やスーパーコンピューター、5Gなどの通信技術で、日米を凌駕(りょうが)する技術が出るようになって、この見方は根本的に変更せざるをえなくなったのである。
 中国はそれまで、先進国からの技術流出に依存してきたが、「中国製造2025」をはじめとする国家産業プロジェクトによって、中国企業によるハイテク技術の高度化を試みてきた。2017年にアメリカでトランプ大統領が登場してからは、「中国に対して先端技術を流出させない」という姿勢が強まったが、その前にかなりの分野で、すでに日米の技術にキャッチアップしていたと考えるべきだろう。
 中国において先端分野のイノベーションが起こるようになった背景には、中国の大学を出たエリート技術者たちが、勤勉に開発に打ち込むようになったことが大きかったと考えられる。
 このことは、従来のイノベーションの考え方とは大きな距離がある。だが、中国政府が潤沢な予算をつけて深センや上海などに優秀な人材を集約し、競争を奨励したことで、実際にイノベーションが起きたという事実は動かせない。
 先述の通り、従来、イノベーションでは多様で優秀でクリエーティブな人たちの自由な発想を活用することが重要だとされてきたが、国家が適切に資源配分することで、社会的なプロセスの中でイノベーションを起こすという「中国流のイノベーション」も今後は考慮するべきだろう。これまでのイノベーションの考え方を根本から改める必要があるのかもしれない。
 ただし、その背景には、アメリカで学んだ中国人留学生や技術者が国内に戻って活躍したことがある。中国政府は外国で学んだ人材を厚遇して、先端分野で誰でも安価に利用できる「国際プラットフォーム」を整備するなど活躍の場を整えてきた。その結果、物価がばか高いシリコンバレーより、深センや上海のほうが開発やテクノロジー分野で創業がしやすくなったという面もあると考えられる。

イノベーションから遠ざかる習近平一強体制

 だが、その雰囲気も習主席の一強体制が強まるごとに、変化を見せている。現在、中国のIT企業は、ユーザーのデータを、たとえ外国人ユーザーの情報であっても、中国国内に保管することが義務づけられている。
 また、コンテンツ企業は当局の検閲を常に受けておりその対象は音楽やゲームや映像など多岐にわたっている。その検閲のひどさは、もはや「文化破壊」と呼んでも差し支えのないレベルに達している。
 さらに、習近平指導部は民間の学習塾や家庭教師すら禁じた。中国において、学習塾はこれまで次世代エリートを養成する場ともなっていたが、学習塾禁止によってその機会が失われて、共産党思想や習主席への個人崇拝を優先させることとなった。次世代のイノベーションを担う人材が育つ環境だとは思えない。
 それにもかかわらず、習主席はイノベーションによる経済成長にいまだに期待を寄せており、研究開発費を大きく引き上げている。ただし、留意すべきなのは、実はハイテク産業全般における中国のプレゼンスがさほど高まっていないことだ。つまり、ハイテク分野の裾野が狭く特定分野に偏っているのである。
 その理由として、中国流イノベーションが産業振興には結びつきにくい点が挙げられる。産業におけるイノベーションでは、アップルでスティーブ・ジョブズが実践したように、ユーザーの視点でこれまでになかった需要を掘り起こすことが重要だ。そのためにはオープンな環境が必須であるが、中国はあくまで国家主導なのでそういった需要創出が出来にくいのである。
 中国政府はこれまで半導体やバイオテクノロジーの開発に莫大な予算をつけたが、半導体においては先端半導体の内製化にはことごとく失敗しており、バイオにおいても新型コロナウイルスのワクチン競争でも大きな成果を出すことができず、現在までコロナ禍で苦しむ原因となっている。
 これは中国の技術開発に偏りがあり、その方向性が「売る技術の発展」というより、先述したように、自国の安全保障に関わる「国家の発想」に常に陥っているからである。
 たとえば、中国は監視カメラなどの監視技術に強みがあるが、それはウイグル人弾圧やゼロコロナで人民の行動の自由を奪う「治安維持」のために、中国政府が奨励した結果だろう。さらに、ミサイルや戦闘機、宇宙計画など、軍事目的の技術のみが異常発達している。
 この中国流イノベーションに対して、アメリカのバイデン政権は半導体の国内製造を促進するCHIPS法(CHIPS and Science Act)で対抗している。2022年10月に成立したCHIPS法は、中国のAIと量子コンピューターを狙い撃ちにして、先端半導体やアメリカ製の先端部品を禁輸にするものである。これが十全に機能すれば、AIと量子コンピューターについて「息の根を止められた」状態になり、中国のイノベーションにとってこれほどの脅威はない。
 中国のイノベーションは曲がり角に来ており、今後はさらに苦しい戦いを強いられることが予想される。
(評論家・翻訳家 白川 司)



参考文献・参考資料

習近平体制がイノベーションを破壊、国家統制が引き起こす「中国の衰退」 (msn.com)

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