政治講座ⅴ777「中国の債務の深刻さ」
計画経済と市場経済を織り交ぜたのが失敗の原因である。コントロールが効かなくなった。草葉の陰で鄧小平の泣く声が聞こえる。経済は簡単にコントロールできると軽く考えていたのが誤りである。そして、経済統計もいい加減、捏造、隠蔽のオンパレードで正確な情報が意思決定の上層部には届かなくなっていた。耳障りの良い情報しか、報告されないのである。情報伝達には正しく報告されなければならないのに残念ながら嘘と誇大実績のみが指導部に報告されていたのである。これが組織の間違った方向性を決定付けることになるのである。そして、誰も責任を取らない無責任国家となるのである。これが今の中国である。
皇紀2683年1月19日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
中国政府がようやく深刻な財政問題を認め始める
Milton Ezrati - 8 時間前
中国政府はようやく自国が抱える深刻な財政問題を認め始めた。1年以上も躊躇した末に数週間前、問題を抱えた不動産部門の規制を緩和する措置を取った。直近では、中国人民銀行(中央銀行)副総裁の劉国強によると、リスクをコントロールすることを目的とした新しい金融安定化法を発表した。このような措置は一時的には救いとなるかもしれないが、中国経済のより深刻な経済問題と金融市場への反響に対処することはできない。
中国の債務問題の規模は本当に驚異的だ。最新の統計では官民問わずあらゆる経済部門の債務の合計額は51兆9000億ドル(約6660兆円)で、中国の国内総生産(GDP)のほぼ3倍に相当する。これは中国政府がこのような統計を取り始めて以来、27年間で最高の水準だ。事態は悪化の一途をたどっているようだ。国家金融発展機関によると、地方当局は来年、2024年に新たに約4兆元(約76兆円)の地方債を発行する予定だ。
中国の債務超過は米国が直面している負担をはるかに超えている。2020年時点ではGDPに対する米国の債務総額は中国を上回っていた。しかし2022年半ば時点で、中国の相対的な債務負担は米国より40%多い。この比較で中国の危険な状況が浮き彫りにならないのであれば、米国などの先進国は相対的に豊かであるため、中国のような発展途上国よりも債務負担が大きく、それを容易に支えることができる傾向があることは考慮に値する。
中国全体の借金の泥沼の元凶は地方政府にあるようだ。地方政府が浪費の政策を取ってきたわけではない。地方政府は中央で計画を立てる者たちの道具になっている。政府の中枢部が最近のインフラ整備計画のような支出計画を打ち出すと、彼らはその資金を調達するために必要な公債の発行を地方政府に課す。その結果、入手できる直近のデータでは債務は2022年半ばまでに11%増加し、経済の先行き不透明感から民間借入れの控えめな減少を補って余りある勢いだ。
このような恐ろしい傾向の背景には、中国の経済と金融市場が直面している、より根本的な2つの問題がある。そのうちの1つが迫り来る人口問題だ。中国では数十年にわたって一人っ子政策が取られたため、大量の退職者を支える若い労働力が不足しており、この問題は今後深刻になるばかりだろう。ピュー研究所の推計によると、中国の人口はすでに減少に転じており、近い将来、退職者1人に対して生産年齢の人数が3人以下になるという。この3人が必要とされる余剰金を生み出すことはできないため、政府は社会保障年金の責務を果たすために借金しなければならない。
さらに根本的なことをいえば、おそらく中国の債務は共産主義的な経済運営の本質を反映している。多様な主体が多岐にわたる投資を行う主に市場原理のシステムとは異なり、国有企業に独占されている中央集権的な方向性に依存する中国は、経済資源を少数の壮大な計画に注ぐ傾向がある。そのため、これらの計画が成功すればすばらしい成果が得られるが、基本的な経済ニーズに応えられなかった場合には、損失とそれにともなう債務が膨大なものになる可能性がある。
最近の不動産開発の失敗がその例だ。確かに民間企業も関与しているが、それでも失敗の規模は中央で計画を立てる者たちが以前、住宅建設をかなり重視していたことを反映している。実際、最盛期には住宅建設は経済の30%を占めるという桁外れの規模だった。中国はその後方向性を変えたかもしれないが債務は残っており、失敗した開発は債務を支えることができない。また、失敗したのは不動産だけではない。このような失敗例は他にもあり、現在の数字に表れているような過剰債務につながっている。
こうした事態は深刻だが、差し迫った最悪の事態ととらえるのは間違いかもしれない。むしろ、債務の重荷とそれを支えるために経済資源を振り向ける必要性から、経済が他の有望な投資を追求する能力が制限されることが最悪の事態だ。債務負担は相応に中国の経済成長のペースを減速させることになり、そう遠くない過去の急成長に比べれば確実に減速する。中国の人口動態はすぐには変化せず、また習近平国家主席はこれまで以上に経済に関する意思決定を一元化しているため、債務問題は悪化する一方となり、経済成長ペースに悪影響を及ぼすだろう。
(forbes.com 原文)
参考文献・参考資料
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