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政治講座v508「半導体戦争:勝者は如何に」

クリントン元大統領時代に日本はパッシングを受けてPCソフトウェアで後れを取り知的財産で劣勢に立たされた。今、中国に対して歴史は繰り返されようとしている。さて、中国はどの様な反撃にでるのであろうか。

        皇紀2682年10月28日
        さいたま市桜区
        政治研究者 田村 司

中国半導体が早くも世界の技術進歩から完全に隔離されてしまう公算大 米国が仕掛けた技術戦争の強烈な効果

赤木 昭夫 2022/10/27 06:00

バイデンの宣戦布告

2022年10月7日、臨機応変が効くように商務省の政令という形で、バイデン大統領が、中国に対し事実上の半導体戦争を布告した。

© 現代ビジネス by Gettyimages


© 現代ビジネス by Gettyimages

半導体そのものも、そのための製造装置も、米国商務省の許可がなければ、中国へ輸出できなくなった。アメリカの技術を使う外国企業にも同じ制約が課せられる。

この動きを予想して、中国の半導体関連企業の株価は、3ヵ月前の7月からすでに下落し始めていた。中国の2大メーカー、中芯国際(SMIC)と華虹集団(HHS)の香港上場株は、この3ヵ月間に、それぞれ大幅な下落率、13%と43%を記録した。

巻き添えをくらって台湾、韓国、日本などの関連企業も、株価の下落に見舞われた。モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)による機関投資家向けの「世界ハイテク指数」には、台湾積体電路製造(TSMC)や韓国のサムソンも含まれるが、リーマン・ブラザーズ危機以来初の12%の下落を免れなかった。

下落総額は2400億ドル。世界の株時価総額は約90兆ドル、その0.24%だが、トヨタ株の時価総額が約2100億ドルだから、世界的巨大企業が少なくとも1社は吹き飛んだことに相当する。

これからわかるように、技術戦争は、情報戦争でもあり、金融戦争でもある。

すでにトランプが仕掛けていた

すでに2019年5月にトランプ大統領が、中国のファーウエイ(華為)のインターネット中継装置を米国内から排除するように布令していた装置を介して通信内容を収集し、中国政府(軍)に提供していると、疑われたからだ。米国政府の要請で、英・加・日・豪も追随した。2020年8月13日から、米国企業はファーウエイとの取引も禁止された。

トランプの狙いは何だったのか。ファーウエイは世界で最先端の第5世代(5G)スマホを、2019年8月に、他をさしおいて売り出し、翌年1月には世界のスマホ市場占有率を5%から10%へと一挙に引き上げた。トランプのお膝元の米国企業、アップルの占有率は25%と高かったが、ファーウエイの急上昇は脅威と感じられた。

出る釘は早めに叩くのが、共和党であれ民主党であれ、常に米国政府の対世界政策では一貫している。この場合も例外ではなかった。

米国主導のファーウエイ排斥がかなり効果をあげ、20年8月には、ファーウエイのスマホ世界市場占有率は5%へと下落した。米国の中国排除政策は功を奏したのだ。

そのためファーウエイの売上額は、2020年の第2四半期がピークで、2022年の第1四半期にはその67%へと減ってしまった。2022年の第2四半期末には、借り入れが200億元になった。完全な黒字経営ではない。2021年の純利益が1137億元だったから、利潤で借金を返すことができるため、国内格付けはAAAを維持している。

とはいえ、ファーウエイの前身は軍直属の通信機製造組織、ずばりいえば、軍の副業組織だったから、現在も株を上場していない。そのため経理内容が不鮮明で、経営面からファーウエイのこれからを占うことはできない。おそらく中国でも特異な国営企業として、組織は存続されるだろう。

だが、同社の技術的な前途となると、明るいとは誰にも思えない。5Gとして喧伝される大量のデータの超高速処理のためには、ファーウエイ自身の半導体部門が生産した論理計算専用の半導体、Kirin9000が使われる

この半導体は処理速度を高めるため、電流が流れる回路の線の幅が5ナノメートル(nm、100万分の1mm)と実に細く作られている。線が細いほど、同じ面積でも、より多くの回路を集積し、より複雑な計算を、より高速に実行できるというわけだ。

ところが、この肝心の半導体を製造する装置も、薬品も、ほとんどすべて海外に依存している。その供給を止められたのだから、突然、お先真っ暗になってしまった。

製品も製造装置も原材料も、技術者さえも

トランプの政策を一段と強化したのが、バイデンの技術輸出制限と位置づけられる。対象はファーウエイ1社だったのが、中国の半導体業界の全体に拡大された。「半導体戦争」と呼ばざるを得なくなってきた。

背景としては、2020年から始まった5G、EV(電気自動車)、AI(人工知能)の3大ブームが挙げられる。それに遅れるなと、中国も半導体技術の躍進に乗り出した。それを阻止しないと、米国の国際的地位は守れないので、バイデンは宣戦へ踏みきったのだ。

具体的には、要するに、線幅が16ナノメートル以下の半導体については、半導体そのものも、生産装置も、原材料も、中国に対する輸出は許可制にする。

さらに米国籍の者が中国の半導体企業で働くのを禁じ、それに違反する者は米国籍を剥奪する。

16ナノメートルがレッドラインというのは、それ以下が「ハイエンド」と区分され、5G、AI、IoT(機器や車の自動運転)のための半導体には絶対的必要条件だからだ。

それに対して線幅が20~40ナノメートルは「ミドルレンジ」と呼ばれ、自動車や一般産業機械や家電に用いられる半導体が該当する。

それよりも線幅が広いのは「ローエンド」と呼ばれ、日本の製品の大半はこれに区分される。唯一の例外はルネサスがつくる自動車制御用半導体で、線幅が40ナノメートルだ。

アップルのインド・シフトの意味

アメリカの半導体世界戦略は、日本では2022年10月9日に発売されたばかりだが、すでにアップルのiPhone 14 Proの部品構成に象徴されている。

中央処理と通信のための半導体アップル(線幅4ナノメートル)とクアルコムの米国製、主記憶と液晶は韓国製、リチウム電池は中国製、カメラの画像処理半導体はソニーの日本製。

日本経済新聞によると、アップルのiPhone 14 Pro Maxの部品比率では、21年モデルと22年モデルでは、中国、台湾、日本、韓国が低下して、米国製が上昇した。

そして世界最先端の台湾積体電路製造(TSMC)はアリゾナ州に進出させ、24年から線幅3ナノメートルの半導体を出荷させる。つまり、米国は台湾の技術を抱き込む算段だ。

2025年からアップルのスマホの4分の1は、インドで生産する準備がすでに始まっている。中国は世界の技術進歩から完全に隔離されてしまう公算が大きい。

これでは、国家首席の任期をいくら延長しても絶体絶命。中国は、どうやって血路を開くのだろうか。

習近平氏3期目に冷や水浴びせたマーケット 改革開放の継続も不安視

朝日新聞社 2022/10/27 12:00

© 朝日新聞社 人通りのほとんどない上海の観光地・外灘。
このとき、世界の金融機関もこぞって進出している川の対岸は封鎖されていた
=2022年3月28日、井上亮撮影

 共産党大会が終わったあと、金融市場では中国株や人民元は下落が目立っている。3期目を決めた習近平(シーチンピン)総書記(国家主席)が側近で固めた人事に、投資家は不安を抱いているようだ。

 党大会が終わった後の最初の平日となった24日午前。香港株式市場ではアリババ集団などの大手IT株、不動産関連株が軒並み売られた。米国株式市場でも中国が勢いにのる電気自動車(EV)ですら、大手の一角である小鵬汽車の株価が11%超下がるなど、多くの中国株で下落した。

 香港市場を通じた中国本土株の相互取引では同日、外国人の売り越し額が179億元(約3600億円)と過去最大を記録した。25、26日は買い戻されたが、売り越し額の3分の1ほどしかない。人民元は25日の上海外国為替市場で、一時1ドル=7・31元まで下落し、約15年ぶりの安値をつけた。中国からの資金の逃避を指摘する声もある。

 習氏の方針が経済にとっては足かせとなる事態が、ここ数年はたびたび起きてきた。中国のIT企業を習体制は「資本の無秩序な拡大」と問題視し、圧力をかけた。アリババ集団やテンセントの時価総額は最大時から7~8割失われた。

 改革開放政策が続くのかについても、疑念をもたれ始めている。(北京=西山明宏)

韓国、日本を押さえ中国の貿易相手国2位も喜べない理由=韓国ネット「日本は脱中国なのに…」

Record China 2022/10/27 06:45

© Record China

2022年10月26日、韓国・ファイナンシャルニュースは「韓国が今年、日本を押さえて中国の貿易相手国2位になる見通しだ」と伝えた。

中国海関総署の資料によると、今年1~9月の累積中韓貿易(輸出入)の規模は2770億6500万ドル(約40兆7652億円)を記録した。一方、日本は2707億4000万ドルで韓国より63億ドルほど少なかった。

記事は「中韓貿易の累積増加率が6.0%、日中がマイナス1.4%であることを考えると、今年の残り3カ月も中国との貿易規模に大きな変化はないとみられ、そうなると韓国は中国の個別貿易相手国の中で日本を押さえて2位になる」「不動の1位は、今年1~9月に5803億9700万ドルを記録した米国だ」などと説明し、「中国における韓国の重要度が高まっているのは確かだ」としている。

ただし、記事は「中国側の統計から韓国の貿易危機がうかがえる」とし、「中国は今年9月までに韓国に1226億4800万ドル相当の商品を輸出し、韓国から1544億4200万ドル相当を輸入した。輸入が輸出を上回ってはいるものの、前年同期比の累積増加率を見ると、対韓国輸出が15.3%増加した一方で輸入は0.3%減少した」と説明。「韓国の立場では、貿易収支赤字を予感させる」と指摘している。

さらに、習近平(シー・ジンピン)政権の3期目発足も韓国経済の不確実性を高めていると記事は指摘。内需中心の質の高い発展を成し遂げ、消費市場を拡大する」と宣言したことは韓国にとってチャンスとなるが、中国は自立自強を夢見ていることから「長期的には自国企業にサプライチェーンを代替すると予想される点」「数十年続いてきた中韓の垂直分業体制が水平に変化すると予想される点」「米中競争で二者択一の圧力が次第に強まる点」がリスク要因になると分析している。

この記事を見た韓国のネットユーザーからは「文在寅(ムン・ジェイン)政権の5年が韓国を中国の属国にした」「他国が脱中国を進める中で韓国はまだこんな状況。韓国政府は本当の危機に直面しないと分からないのだろうか」「日本は脱中国なのに、韓国はさらに親中を深めている」「中国に依存せずに生きていく方法を見つけなければならない」「それでも米国のおかげで中国の威圧的な要求は減ったこの際に、部品や基本素材などの中小企業を大々的に支援して中国の影から抜け出し、中国や世界に必要とされる韓国に生まれ変わろう」などの声が寄せられている。(翻訳・編集/堂本)



参考文献・参考資料

中国半導体が早くも世界の技術進歩から完全に隔離されてしまう公算大 米国が仕掛けた技術戦争の強烈な効果 (msn.com)

習近平氏3期目に冷や水浴びせたマーケット 改革開放の継続も不安視 (msn.com)

韓国、日本を押さえ中国の貿易相手国2位も喜べない理由=韓国ネット「日本は脱中国なのに…」 (msn.com)

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