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「進言」③ 父から子への真剣な話

第三章

歩き始めた息子を抱き上げ、今日も語りかける。
語り合える日が待ち遠しい。
時々、叱らなければいけない時がある。
苦しいが、君のためだ。
わかってくれ、父も必死なのだ。
どうにかして、知恵を、命の木を見出してくれ。

「わが子よ、私の教えを忘れず、私の戒めを心にとめなさい。
これは君の人生を長く、平安にする。
慈しみとまこと、つまり真実と誠実を、捨ててはならない。首に結び、心の碑に書き記せ。
そうすれば、君は神と人との前で恩寵と誉れを得る。」

「心を尽くして主である神に信頼しなさい。自分の悟りに頼らないように。
全ての道で主を認めなさい。主は君の道を真っ直ぐにしてくれる。
自分を見て知恵があると思わないようにしなさい。主を畏れて悪から離れなさい。
そうすることは、あなたの体には癒やしとなり、骨に元気を与えるのだから。」

「財産と全ての収穫の初めのもので主をあがめなさい。
そうすれば、君の食料は余るほどに与えられ、飲み物に困ることはない。」

「我が子よ、主の懲らしめを軽んじてはいけない。
戒めを嫌ってはいけない。
それは主の愛。父も愛するがゆえに君を戒めるのだ。」

「幸せだ。知恵を求めて見出す人、悟りを得る人は。
それはお金で得られるものにまさり、利益を黄金にまさって得ることができる。
知恵は宝石よりも尊く、あなたの望む何物も彼女に比べられない。
その右の手には長寿、左の手には富と誉れがある。
その道は楽しい道、通る道はみな平安。
知恵は命の木となり、掴んでいる人は幸せである。
神はこの知恵をもって地を、悟りをもって天を定めた。
知識によって海は湧き出で、雲は露を滴らせる。」

「わが子よ、たしかな知恵と慎み*とを守り、あなたの目から離してはならない。君の魂の命となり、首の飾りとなるから。」
*→「目的」と言う意味もある

「こうして、あなたは安らかに自分の道を行き、あなたの足はつまづかない。
座っているときに恐怖はなく、寝ているときは心地よい。
急に襲う恐怖にも、悪人の来襲にも、恐れる必要はない。
主が君の信頼する者として、君の足を守って、罠にとらわれさせないからだ。」

「君の手に善い事をする力があるなら、それをすべき人にすることを控えてはならない。
あなたが物を持っている時、隣り人に向かって、『また明日来たら、その時にあげよう。』と、言ってはならない。
あなたの隣り人があなたのそばで安らかに住んでいる時、その人に悪を企んではならない。悪を行われたのでなければ、争ってはならない。
暴力を振るう人、乱暴な人、それによって人を苦しめる人を羨んではいけない。その全ての道を避けなさい。
邪な人は主に憎まれる。正しい人の住まいは恵まれる。
主は嘲る者を嘲り、へりくだる者を恵む。
知恵ある者は誉れを得、愚かな者ははずかしめを得る。」


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