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小説 詩篇

11
聖書の中の「詩篇」と共に歩む大学生の日常を小説にしています。 人生のその時々に、必要な言葉が現れる。
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2024年2月の記事一覧

小説 詩篇 11篇

小説 詩篇 11篇

11

そうだ、祈ろう。

実家での朝。
ずいぶんと早く目が覚めてしまった。

昨日は最悪の気分で布団に入った。
ずっとモヤモヤ、イライラしていた。
そのまんまの気分で起きた。
どんな夢かは覚えていないが、随分と脳を使ったようだった。

そうだ、外に行こう。
歩きながら祈ろう。

スマホの画面に聖書アプリからの通知。
『鳥のように山に逃れよ』
少し気持ちが軽くなった。

詩篇の11を読みながら家の

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小説 詩篇 10篇

小説 詩篇 10篇

10

実家に帰ることにした。
大学の夏休みは長い。まだまだ続く。

僕には弟がいる。
二つ下の弟は高二。
仲はそんなに良くないと思う。

弟は勉強ができない。
いや、地頭は僕よりもいいと思う。
でも勉強をしない。

中学が終わりかける頃の、壮絶な反抗期の後、あまり家に帰らなくなった。
そんな弟に父さんは何も言わなかった。
母さんだけがオロオロとしていた。

僕はそれに腹が立っていた。

そんなこ

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