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【読書記録】2021年2月読了本を紹介します

ずっと本を読んでいるのですが、そういえばまとめをしてないなあと思い、読了本として記録を残すことにしました!
そう思い立ったのが2月24日。
なので、2月分後半からになりますが、読了本と独善的感想を交えながら本を紹介したいと思います。


ボッコちゃん

ショートショートの金字塔、星新一さんによるショートショート作品集。
僕自身は初めてショートショートという作風に触れましたが、くどすぎずあっさりとオチまで展開する様は「次はどんな味がくるかな?」と、箱から出てくるグミの味を楽しみにしていた子ども時代を思い出しました。

ところで、ショートショートは

「新鮮なアイデア、完全なプロット、意外な結末」の三原則が盛り込まれたものー厚木淳

「アイデアがあり、それを活かした印象的な結末のある物語」ー田丸雅智

と、はっきりとした定義はないものの歴代の作家によって、まとめられています。
これを見てショートショートを自分なりにまとめると「短い文章にも関わらず、驚かされたり印象に残るストーリー」のことだと思いました。

そういった意味では、星さんのショートショートはどれもこれも奇想天外。基本的にSF風作品を好んで作られていたようですが、どのオチも皮肉めいていたり、流転されていたりエッジが効いていました。実際、世にも奇妙な物語などの原作に使われたこともあるようです。
書かている日本語の使い方が、昔風で(1970年代著書なのでもちろんなのですが)、逆に新鮮な文章感覚を得ることができました。

個人的に好きなショートショート ベスト3は

1.殺し屋ですのよ
2.ツキ計画
3.生活維持者

なんと「星新一賞」なるショートショートの文学賞なんかもあるらしく、なんとAIで書かれたショートショート作品も参加しているんだとか。
現代のショートショートを少し覗いてみたい気持ちになりました。

↑星新一賞 公式サイト

ちなみに恥ずかしながら僕もショートショート作品を自作してみました。
もし、お時間があればぜひ覗いてみて下さい〜(^^)


わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

この本は書評ブロガーのDainさんという方が、ブログを元に本にされたものです。ここでいう『スゴ本』とは〈読前と読後で、自分が一変してしまうような衝撃の視座をもたらすようなやつ〉のことで、むしろそういった変化を来さないような本は基本的に読むにも値しないと言います。
そこまで過激な思想は、僕は読書には持ち合わせていませんが、頭がぐわーっとするような読書体験というのは滅多にないものですし、出来ればそういった体験を人生の中で幾度かは経験したいものです。
そのような『スゴ本』に出会うための方法として

①本ではなく、人を探す
②図書館を利用する

ことを著者は提案しています。
①では、自分の「好き」と重なる書評家やSNSアカウントなどをフォローし、その人が読んでいる本を参考にするというもの。(まさに表題の『わたしの知らない〜』はこの本探索方法から来ています)
一方で②は、「とは言ったものの、スゴ本は数を撃たなきゃ出会えない」という側面を考慮したものであり、そうなると買ってばかりでは金が先に尽きる。そこで、気になった本はまず図書館を利用しよう〜!という提案です。

前半1/4で表題の部分は言い尽くされており、後3/4はほとんど書評であったり、本の読み方、文章の書き方などに頁がさかれていました。それはそれで、知らない本に出会えたり、本をそう読むんだ〜という新しい視座にもなったりして、その部分を目当てに読んでも本好きにはたまらん一冊だと思います。

個人的にこれは参考にしたいなあ、と思ったのは、『子どもにセックスと死を教える本』の頁。
子どもに最も教えるのが難しいと思われるセックス〈生まれること〉と死〈死ぬこと〉について参考になる本を紹介してくれていました。
自分にもし子どもが生まれたら、一緒に読みたいな、と思えました。


どうしても生きてる

『何者』から始まった、僕と朝井さんの関係(それも一方的な関係笑)。にも関わらず、『桐島、部活やめるってよ』は未読というエセっぷりを発揮してます。朝井さんの小説は、毎回ズタボロにさせられるので、ゆっくりとペースをあけて読みたい、というのが僕の言い訳です。笑
さて、本書『どうしても生きてる』は7篇からなる短編集です。しかしながら、全ての物語の主人公か少しばかりの(しかも誰しもが抱いたことがあるような)生きづらさを抱えています。

この短編集に出てくる主人公たちは、それぞれがとてつもないトラウマ等があるわけではありません。皆、あなたの隣いる、もしくはあなた自身のような方ばかりです。

「魔がさす」
という言葉があります。これは「ふと、邪念が起こる」ことを指した言葉です。本書の特徴を一言で表すとこの言葉になる、と僕は思います。

誰しもが輝きたい、正しく生きたいと思っています。
しかしそれらは、品行方正であることを求められ、論理的に説明できない衝動は不潔なものと断じられ、輝く人生でない人生はイケナイ人生だと、世間からの無言のマウントをとられた一種の洗脳でもあります。

頑張っているときは大丈夫なんです。気づかないフリが出来るんです。でも、ふと魔がさすと気づいてしまうときがある。
「なんで、こんなに頑張ってるんだっけ?」
「私の人生、こんなんでいいんだっけ?」
「一生懸命がんばるって良いことだっけ?」
「もう、疲れたよ」
「いっそのこと、もう消えてしまいたい」

普段は気づかないように懸命に生きていても、つい魔がさして、このような自分の弱さに気づいてしまうことがある。
生きようとしている僕らの足元を揺らがすように。

「どうしても」という言葉は、辞書で引くと

①どんな手段を用いても、絶対に
②そうなりがち、とかく、つい

という意味が出てきます。
本書のタイトル『どうしても生きてる』は、自分の弱さに直面した時の②の〈それでも生きてしまっている〉〈つい生きてしまっている〉という自分の生き方を断罪するような意味でもありながら、①の〈どんな手段を用いても生きる〉〈どうしても生きたい〉という、自分の弱さを包含した上での生きる覚悟や決意の萌芽を見せるタイトルだったのだと、各章の結末を読んで感じました。

誰よりも〈人間〉というものを見ていて、そして、時に不可解で衝動的な部分を『物語』で表現することが得意な著者ですから、ええ、もちろん今回もえぐられましたよ。心を。笑
というか、上手すぎて、こちとらボロボロですよ。笑


さて、2月も今日で終わりです。
3月以降も読了本の紹介を行なっていくつもりですので、できれば「スキ」で応援して頂けると幸いです!

それではっ!

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