マンガにおける物語のパターンについての一考察〜物語の3つの型〜
#14
《好きなものについて考えるのって、楽しい》
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今日は、前々から書きたいと思っていたマンガについての記事を書きたいと思います。
実は僕、昔っからマンガが大好きなんです。
今は東京にいる叔父の影響で、マンガを読むようになりました。
というのも、叔父は東京に住んでいるにも関わらず、自分で購入したマンガを地元のおばあちゃんの家に大量に送ってきてたんですよ。
だから、ばあちゃん家の2階はマンガだらけ。
子どもの頃は、よくそこに入り浸ってマンガを読み漁りました。
今は子どもの頃と比べて、マンガを読む数も、買う数も少なくなりましたが、今でもマンガは大好きです!
これまで多くの少年マンガを読むなかで、マンガの物語には大きく分けて3つの型があるのではないか?と、ひらめきました。
その3つの型というのは以下の通りです。
少年マンガにおける物語の3つの型
①アメーバ型
②トンネル型
③マトリョーシカ型
ここから先は、その3つの型についてそれぞれ説明していきます。
どうぞ、お付き合い下さい。
①アメーバ型ー伏線や世界観の増殖
まず一つ目の型はアメーバ型です。
このアメーバ型の特徴は以下の通りです。
特徴
・え、そんな設定あったん?みたいなのが増えてく
・それ、絶対後付けじゃんっていう設定が出てくる
・どうやったら終わりなの?とゴールが見えづらい
・世界観がどんどん広がっていく
・強さがインフレ状態に陥る
例:
ワンピース、ハンターハンター、ドラゴンボール等
最初はドラゴンボールを集める物語だったはずなのに、いつの間にか違う惑星に行ったり、強大な敵と戦ってたり…
いつの間にか覇気という設定が出てきて、ロギア系に触れるようになったり…
いつの間にか暗黒大陸に行くことなって、王子の継承戦がはじまってたり…
こういう風に作者が描きたいものが増えたり、路線を変更することで、最初はなかった設定や世界観がアメーバのように増殖し広がっていく様を僕はアメーバ型と呼んでいます。
この物語の良いところは、人物像とその世界観の最低ルールさえしっかりとしていれば、読者の反応を見つつ、多分に世界観を修正・加筆していけるところ。
実際、かの有名なドラゴンボールはDr.スランプ同様、ギャグ漫画として開始されたようですが、最終的にはバトル漫画の古典として現代までも商業展開を繰り広げています。
あと、人気作品になってさえしまえば、作者の書きたいことを作中で思いっきり書ける!というのもこのアメーバ型の良いところかと思います。
別に新たにマンガを作り直さなくても、作者の「こういったストーリー描いてみたいな〜」「やってみたいなあ〜」を具現化することができます。(おそらくハンターハンターのグリードアイランド編や呪術廻戦の死滅回游編などがそれに当たると思います)
アメーバ型の欠点としては、終わりどころが見えないところ。
読者にそれがバレてしまうと「冗長」とか「意味不明」とか言われてしまいます。
さらに、登場人物のキャラがあからさまに変わったり(このキャラはこんなことせーへん!とか)、
その世界観の最低限のルールが変わったり(死んだ人が生き返る、等)するのはファンの不満も増幅させます。
アメーバ式ではルールや世界観の増殖はOKですが、ファンが大事にしてきた世界観やキャラへの愛着をもひっくり返すのはあくまでもNGです。
②トンネル型ーほとんど一本道のストーリー
2つ目に紹介するのは、トンネル型です。
特徴
・基本的にゴールが決まっている(〇〇を倒す etc)
・伏線はあんまりなく、ゴールに向かっていく主人公達の紆余曲折を楽しむ
・サブイベントはあるが基本的は一本道
・主人公の成長、戦闘のトリックやバリエーションが見どころになる
・基本的にゴールが最も明るくなる(トンネルの出口)
例:鬼滅の刃、ジョジョ、デスノート等
読者には「Lか月、どちらかが死ぬ」とか「DIOを倒す」「鬼舞辻を倒す」などのゴールが見えているため、結末を想定した物語を楽しめるのがトンネル型の特徴です。
伏線というものはあまりなく、読者はゴールに向かう主人公たちの道のりを共に歩むため、アメーバ型と違い、物語迷子になりにくいのがトンネル型のよいところ。
また良くも悪くも、ゴールが明確な分、巻数が10~20巻程度で収まるというもの特徴かと思います。
この『あっさり感』や『巻数の少なさ』は読者の新規参入の余地を広げてくれます。
鬼滅の刃は、後追いでも物語がわかりやすい「トンネル型」という形態も爆発的ヒットの後押しになったのだと思います。
③マトリョーシカ型ーほぼ完成した状態からスタート
最後にご紹介するのはマトリョーシカ型です。個人的には、作品として最も完成された型だと思っています。
特徴
・もう作品の世界の形や見せ方、登場する順番などが全て決まっている
・伏線は完全に伏線であり1巻の伏線が20巻で明らかになる、など伏線をじっくり煮込む
・伏線がどんどん明らかになっていくのに、まだ謎がある、というマトリョーシカ状態
例:進撃の巨人
完璧な伏線とシナリオ、そのマンガの世界の正体が少しずつ明らかになっていく物語のパターンです。
皆さんは、マトリョーシカというロシアの人形をご存知でしょうか?
マトリョーシカは大〜中〜小と、大きいもの→小さいものにかけて重ねることができる人形です。
一つ目の大きな人形を持ち上げると、中からまた人形がでてきて、その人形を持ち上げてもまた人形ができて、、、と、人形を持ち上げても持ち上げても次から次へと人形が出てくるのが特徴です。
マトリョーシカ型の物語は、まさにこの人形を持ち上げていく時の感覚に似ています。
一つの伏線の正体が明かされ「うわー実はこういう世界やったんや〜」と読者にこのマンガの世界の秘密を理解したと安心させた次の瞬間、「え、これもそうゆうことやったん?!」と次の秘密が明らかになったりします。
作者はもともと小さいマトリョーシカ(秘密)を用意しておいて、読者がその秘密にたどり着くように周到に物語中に中〜大のマトリョーシカ(伏線)を重ねていく。
つまり物語のスタートの時点で、最大の秘密にたどり着くまでの一連の流れや伏線の張り方が大まかに準備されているのです。
それはアメーバ型のように、急に新しい伏線が出てきたり、「ルフィには三人目のお兄ちゃんがいた」のような「え、そんな描写なかったやん」的な無理矢理感がありません。
僕の中では、このマトリョーシカ型の物語は「進撃の巨人」しか思い浮かびません。
「進撃の巨人」はまさにこのマトリョーシカ型で、物語が進むに連れて、世界観がどんどん露わになっていき、読者を無理なく小さなマトリョーシカ(秘密の正体)へと、いざなってくれます。
正直、途中で一部変更もあったでしょうが、それでも物語が崩壊しないような形で、無事に終巻までいけたのは、ひとえに作者と編集者の方の努力のおかげだと思います。
ほんとに進撃の巨人は作品としての完成度がものすんっっごく高いので、全人類に読んでもらいたいです。(懇願)
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さて、ここまで長々と、ほんとに長々と語ってしまいました。自分で読み返してみても、なんでこんなことを書いたのかワケがわかりません。
けれど、多くのマンガを読んでくる中で、自分の中でストーリーの型についてまとめられたことで、だいぶとスッキリ。
仕事とか生活には、ほんとになんの役にも立たない考察なんだけど、でも、好きなものについて考えるって楽しい。
noteを再開して、仕事や勉強じゃないことに時間と思考を割けるようになったことが素直に嬉しいです。
今回の考察は、僕の浅いマンガ歴と素人による考察ですし、もちろん例外もあります。
もし、この駄文を読まれて、型について物申す!という方や、ほかにこんな面白いマンガがあるよ!とオススメしてくださる方は、ぜひコメント欄でお言葉を頂戴したいです。
お付き合いありがとうございました。
それでは、また。
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