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宗教勧誘の女性が、我が家に訪れた。


去年の話になるのだが、ちょっと前に宗教勧誘の女性が我が家を訪れた。



もちろん、宗教になど興味はないし、ぼくは無神論者というほど、神という存在を信じていないわけでもないが、そこまで何かを信仰しているわけでもないので、正直なところ、ハロウィンもクリスマスもお盆も正月も、行事としては参加することはあっても、教会に懺悔もお祈りに行くわけでもなければ、神社やお寺にお参りに行くわけでもないので、そういう宗教の勧誘関係は話を聞くまでもなく、インターホン越しでお断りさせてもらった。

というより、妻の手によって、門前払いさせられたというほうが正しい。

その日、我が家では久々にピザを食べようということになり(ダイエットする気はあるのか? という疑問はいったん脇に置いておいて……)、ピザクックで『レットスティンガー』と『ミックススペシャル』のピザを注文した。

お届けするまでに、小一時間かかるということになり、妻と晩酌をしながらピザの到着を待っていたのだが、その間に〝ある訪問者〟が、我が家のインターホンを鳴らした。

「ピロロ〜ン♪ ピロロ〜ン♪ ピロロ〜ン♪ 」

「はーい」

酔っ払いながらインターホンに出ると、そこには20代中盤か30代前半くらいの若い女性が立っており、

「すみませぇ〜〜ん。神にご興味はありますかぁ〜〜?」

やけに間延びした声で、そう質問を投げかけてくる。

前述の通り、もちろん興味などあるわけもなかったので、

「あ、大丈夫です……。そういうの興味ないので……」

と、ぼくが答えようとしたそのとき、

「あ、結構です!!」

と、間髪入れず、妻が割って入ってきたかと思うと、相手が話し終わるのも待たずに、インターホンの終了ボタンを早押しし(全国高校生クイズ選手権ばりの早押しで)、その画面越しの宗教女との会話を強制終了させる。

「……」

その一連の流れのあまりの早業に、こちらが呆気にとられ(圧倒されてともいう)言葉を失っていると、


「何?」


と、脅迫染みた聞き方で一蹴してくる。


「あ、いや、べつに……」





たぶん、あの瞬間、彼女の言葉には、殺意が込められていたと思う。


どこぞの馬の骨とも判らない女と、ぼくが会話をしようとしていたことに……





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