【高校野球】選手も審判も守るために。甲子園にもリクエスト制度を導入すべきでは?
甲子園球場100周年の夏。
今年も全国49代表校が聖地に集った。
・甲子園がこの先の100年も聖地であり続けるために
「僕たちには、夢があります。この先の100年も、ここ甲子園が、聖地であり続けること。そして、僕たち球児の憧れの地であり続けることです。」
選手宣誓を務めた智弁和歌山の辻キャプテンは、宣誓文に高校野球の聖地、甲子園への思いを込めた。
「甲子園がこの先の100年も聖地であり続けるために」
近年の猛暑で、屋外球場である甲子園での開催には疑問の声も上がっている。
しかし、野球に携わる者たちにとって甲子園球場でプレーすることの重みは何にも変えられないものがある。
近年の猛暑に対応するため、延長タイブレークの導入、5回終了時のクーリングタイムの導入、暑さのピークを避けた朝・夕二部制の導入など、高校野球界も様々な対策を打ってきた。
・高校野球がこの先100年も続くために
また、近年では坊主頭を強制せず髪型を自由にしたり、練習内容も選手たちの自主性に任せたりと、時代の変化に合わせて高校野球の形も変貌を遂げてきている。
監督や上級生の言うことは絶対。厳しい練習を水も飲まず乗り越え、けがのリスクを抱えてもチームのために身を粉にして戦う。
そんな旧態依然とした高校野球の姿は確実に変わりつつある。
・高校野球でほとんど「抗議」はできない
しかし、未だ慣習的に残っていることもある。その一つが「抗議」
高校野球では学生が主役であるとの考えから、試合中の判定について監督が直接審判に抗議をすることは出来ない。
高校野球特別規則には「審判委員に対して規則適用上の疑義を申し出る場合は、主将、伝令または当該選手に限る」と定められている。
しかも、あくまで「規則適用上の疑義を申し出る場合」とあり、抗議とは少しニュアンスが変わってくる。
実際、高校野球でチーム側からの申し出により判定が覆ったケースを見たことは無い。
しかし、これまでも様々な場面で「疑惑の判定」と呼ばれる判定によって試合の流れが左右されるケースがあった。
そして、今大会でも…
8/7(水)智弁学園vs岐阜城北の一戦。
一点を争う好ゲームとなったこの試合。
岐阜城北一点リードの九回1死一、二塁。二ゴロ併殺かと思われた送球をファーストの青木選手ががっちりつかんだ。智弁学園の打者走者は気迫のヘッドスライディング。
「完全にアウトだと思いました」
青木選手は勝利を確信するも、判定はセーフ。
この瞬間、私もテレビで見ていたがアウトだと思った。
「これはアウトだっただろうな…」そう思いながらSNSを覗いてみると「今のはアウトだった」との声が。リアルタイムで見ていた多くの方がアウトだと思ったはずだ。
・選手も審判も守るために
結局このプレーは勝敗を動かしてしまう。
アウトなら岐阜城北の勝利で試合終了だったが、セーフで試合は続行。
その後智弁学園が勝ち越してそのまま勝利をもぎ取った。
あくまで、最後まで戦い抜き勝利を手にした智弁学園の選手は何も悪くない。このプレー以外にも勝敗に繋がるプレーは沢山あった。
しかし、「あの判定が無ければ…」とモヤモヤが残ってしまったのは間違いない。
選手も審判も守るために。高校野球でも映像検証を求めることができる「リクエスト制度」の導入を真剣に議論するべきではないかと思う。
一つのプレーに選手たちは高校野球人生が掛かっている。
正しい判定を下すことは選手を守ることになる。
そして、そのことが審判を守ることにもつながると思う。
甲子園の審判は少額の日当は出るが、基本的にはボランティアだそう。
甲子園の猛暑と戦っているのは選手だけではなく、審判の皆さんもそうだ。
猛暑の中、2時間近く行われる試合の判定を正確に下すことは並大抵のことではない。
審判の皆さんもロボットではない。時に間違った判断を下してしまうこともある。
しかし、皆がやきもきするのは間違った判定が下ることよりも、明らかに間違った判定が出たときに何も出来ないことではないだろうか。
プロ野球でもリクエスト制度が導入され、かなり浸透してきた。
判定が覆るケースも結構見受けられるが、その際のファンの反応は
「なに間違った判定してるんだ!」というよりかは、「判定が覆って良かった」という安堵感だ。
あらゆるツールで瞬時に判定結果を確認できるようになった現代において、「判定を映像で検証できる」ことは審判の皆さんを守ることにも繋がるのではないかと思う。
「きわどい判定や運も甲子園の魅力の一つ」なのかもしれないが、明らかに違う判定が下されることが一体誰を幸せにしているのだろうか…
・「伝統」はどこまで残していくべきか?
甲子園球場も、坊主頭も、抗議に関するルールも。
なんとなく「こうあるべき」として受け継がれてきたもの。
でも、時代の変化に合わせて変えていくものは変えていかなければならなくなっていることは確か。
これは高校野球のみならず、あらゆる分野でこれから突きつけられる課題だろう。
甲子園がこの先100年も聖地であり続けるために。そして、高校野球がこの先100年も続くために。
これからも選手ファースト、現場ファーストの視点から時代に合わせた改革が行われることを期待したい。
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