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テナントの契約直前にコロナが来た話
2020年春。未知のウイルスがまん延し始め、「緊急事態宣言」によって外出までもが制限されてしまうという、誰もが予想していなかったことが起こりました。
その頃、私は大きな選択を迫られていました。
2018年に株式会社アカイノロシを立ち上げ、現地農園から買い付けたコーヒー豆の卸売りをスタートしました。
その後、一般向けの小売販売もスタート。オンラインショップやイベント出店などで手応えを掴み、「普段はどちらで購入出来るんですか?」というお声も増えてきたので、実店舗の開業に向け準備を始めました。
店舗を構えるうえで最も大切なのはテナント選び。
家賃・間取り・アクセス・周辺環境・飲食店営業が可能かどうか…
チェックポイントを挙げればきりがありません。もちろんすべての条件が完璧に揃うことはないので、何を得て何を捨てるかも重要なポイントになります。
そして何より、契約すればすぐに支払いが始まります。
しかし、躊躇してるとすぐに次の方に先取りされてしまいます。
コロナ前の京都は熾烈なテナントの取り合いでした。
そんな中で、京都市内を探し回り「ここだ!」と思える物件を一つ見つけたのです。
「ようやく納得できる物件に出会えた…」
そこから諸々の手続きを済ませ、書類にハンコを押せば物件を手に入れられる…
というタイミングでコロナがやってきました。
「新しい感染症が海外で流行しているらしい」
最初はこの程度の受け止めでしたが、日が進むにつれて状況はどんどん悪化。
ついには「緊急事態宣言」が発令されました。
せっかく良い物件に巡り合えたが、そもそも外出が規制されてるようではオープンしても何も意味がない…
いや、こんな状況だからこそ逆に勝負に出るか…
様々な思いが交錯しましたが、最終的にはその物件を一度手放すことに決めました。
手に入りかけた物件を手放すのは本当に悔しかったし、何度も「茶連にしてみても良かったのではないか?」と思いました。
そして何より、「手放す」という後ろ向きな選択をしたことが最初は自分の中で納得できませんでした。
会社を立ち上げてからここまで、常にボジティブに、前向きな選択を心がけてきました。困った時こそ困難な道を行く。お金もツテもない中で、若さゆえの勢いが大きな強みでした。
しかし、勢いだけでは突き進めないほど大きな壁でした。
冷静な判断ができたと同時に、後退とも取れる決断をしたことをすぐには受け入れられませんでした。
しかし、コロナがやってきて物件を手放したことでもう一度自分たちが
「なぜ固定店舗が必要なのか?」ということをもう一度ゼロベースで考え直すことができました。
ターゲット層から、立地、お店のイメージ。
コロナと向き合ってゼロから考え直すことができました。
そして、コロナの影響があることを前提に計画を立てられたのは大きなプラスでした。
もし数か月ずれていて先にお店をオープンすることが出来ていたら…
家賃などを考えると、恐らく早い段階で苦しい状況になっていたのではと思います。
しかし、いつまでもただコロナの終息を待っているだけでは何も起こらない…
少しずつ物件の内覧を再開し、2020年10月京都市上京区西陣エリアに「Laugter NISHIJIN」をオープンすることができました。
正直言えばコロナ前はあまりマークしていないエリアでした。
しかし、コロナ禍でどんなお店を作りたいか、どんなお店が支持されるかを考え抜いた中での決断でした。
この10月でオープンから3年を迎えます。
今振り返るとあの決断は正しかったといえます。
そして、前に進む決断だけが前向きな選択ではないということに気付けたこことも大きな学びでした。
私たちは前に進むためにいったん立ち止まるという選択をした。いや、立ち止まる勇気を持っていた。そう思えるようになりました。
前向きな決断と、無茶してでも進むことは違うということを改めて学びました。
実はその後手放した物件のすぐ近くに有名なコーヒー屋さんがやってきて
「自分たちの嗅覚は間違っていなかった」とちょっとした自信になりました(笑)
生涯忘れられない僕の「選択」です。
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