固定店を構える喜びと少しの不安と

僕は現在、京都で「Laughter」というコーヒーショップを営んでいます。
この10月でオープンから3年。
コロナ禍の真っただ中にオープンし、何度もコロナに振り回されてきましたがなんとか3年間継続することが出来ました。

もともとタイのコーヒー農園に直接足を運び、生豆の買い付けを行うところから事業はスタートしました。
その後は少しでも認知していただけるように、店舗を持たないスタイルで様々な場所でコーヒーを淹れさせていただいていました。

イベント会場やあるお店の軒先、レンタルスペースを借りての出店と様々なスタイルにチャレンジしました。
出店を経る中で、「実店舗を構えたい」という気持ちが強くなり、2020年10月に京都西陣に「Laughter」をオープンします。

店舗を持たない間借りスタイルも、とても楽しい日々でした。

日によって違う場所に向かうので、いつも新鮮な気分でしたし、何より一期一会の出会いがあることが大きな魅力でした。
もちろん出店料や移動費はかかりますが、テナントを借り大金を掛けて改修することを考えれば、金銭的リスクも抑えながら活動が出来ていました。

しかし、出店を重ねていく中で、
「本当に自分たちの商品が好きな人を増やせているのだろうか?」
という気持ちが湧いてきます。

日時も出店場所も変わるスタイルでは固定客を付けることが難しかったのです。
そんな経験から
「大きなお金を掛けてでも腰を据えて営業ができる固定店を構えよう」
と覚悟を決め、店舗の開業を決意します。

今では、地域の皆さんに足を運んでいただいたり、時には遠方からLaughterめがけてお越し頂いたり、
「あの時店舗を構えてよかった」と思えることが沢山あります。

一方で…
出会いがあれば別れもあります。
「東京に引っ越すことになりました」
「日本での滞在を終え、母国に戻るよ」
これまで、何人ものお客さんを見送ってきました。

お客さんだけでなく、友人でもここ数年で新しい環境に旅立って行った者が何人もいました。
固定店舗を構えそれを育てていくということは同時に、自分もその場所に根付いていく事に繋がります。

お店がその場所にあり続けることが一つの「価値」になるので、自分の生活圏や時間配分も、お店に近いものになっていきます。

当然、営業時間や残っている仕事量に合わせ時間配分が決まるし、日用品を買うのもお酒を飲むのも近隣になってきます。

第二の故郷のような安心感があるのは本当にありがたいし、「お店を始めて良かった」と思う瞬間も沢山ありますが、同時に新しい環境に旅立つ人たちを見ていると羨ましさもあります。

「今日も変わらずお店に立つ日々の中で、自分は少しずつでも成長できているのだろうか?」
そんな思いもありながら、今日も日々お店に立っています。

固定店舗を構える喜びと少しの不安と。

様々な想いを胸に今日も美味しいコーヒーを届けられるように頑張ります!

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