日本の製造業の衰退と育って

自分が日本の製造業の衰退の可能性を認識したのは2018年頃でiPhoneからZenfoneに切り替えたときだ。ZenfoneはiPhoneの半額以下でありながらより高性能であった。そして日本の製造業に対する不安がZenfoneからHuawei Mateに乗り換えたときそれは確信に変わった。こんなに高品質なものが途上国の人にも手が届く金額で買えるようになっていて、日本企業がそれに乗り遅れつつあるのではないかと不安になったのだ。

さらに僕の懸念を加速させたのは日本企業の品質不正や迷走だ。東芝や日立製作所は原発部門で赤字を弾き出し、もはや全てを洗い出すことが難しいほど品質不正や投資の失敗が上場企業、特にプライム市場上場企業で多発するようになってしまったのだ。値段が高くて高性能なのではなく、もはや値段が高いだけの粗悪品が今の日本の製造業のクオリティーなのではないかと僕が疑念を抱いたのは当然に感じるはずだ。

自分がその疑念を抱いて5年。状況はさらに悪化している。ヒュンダイやBYDの新しいEVは世界中のメディアやSNSをジャックすることに成功、久し振りに開催された上海モーターショーでは中国企業の実力が完全に発揮され、日本メーカーはソニーを除いてスマートフォン業界から完全撤退。そして自分がこの記事を執筆しているスマートフォンはXiaomi製だ。不満はあるにはあるが結局のところ値段の割にはいい買い物だったとは思う。

そして中国のメーカーは色々サービスも行き届いてる感じがする。中国のスマートフォンメーカーはケーブルからカバーまでをサービスとして製品につけてくれる。それはつまり、かつて日本企業が絶賛されたきめ細やかなサービスである。

もちろんこれは一部を見ているだけで全体を見ていないという批判をする人もいるだろう。確かに日本企業は過去10年株価こそ堅調だった。しかし、かつてのソニーやパナソニックと異なり、イノベーションや新しい製品でそれはマーケットを開拓したからではないことに注意すべきである。試しに日本が競争力を持つ分野である自動車を見てみよう。日本企業は未だにガソリン車に夢中で地味な車しかない。そして上海モーターショーでは閑古鳥が鳴いていた。これが現状であり世界の見方である。

多くの日本人は中国や韓国、タイのメーカーを劣等国のメーカーだと馬鹿にするかもしれない。皮肉なことにそれはかつてアメリカ人が日本のメーカーに対して抱いていた感情と同じだった。では今のアメリカの製造業は?GEの家電部門は中国メーカーに売却され、もはやメイドインアメリカの製品は国際的な競争力を持つわけではない。ビッグ3は仲良く経営破綻。旧態依然としたアメリカ市場に日本のイノベーションが到来し、マーケットを引っ掻き回したのだ。そして遂に日本は引っ掻き回される側に来てしまったのだ。そして今のアメリカの製造業を見ているともはや日本の製造業には道がないのかもしれないとは言えそうだ。


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