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【読書日記】『サラの鍵』

1995年7月16日、フランスのシラク大統領は「ヴェルディヴ事件」について演説を行った。ヴェルディヴ事件とは、1942年7月16日にフランスの警察が、パリとその近郊で暮らすユダヤ人を一斉に検挙し「ヴェロドローム・ディヴェール」という屋内競技場に連行した事件のことをいう。

ヴェルディヴ事件は、シラク大統領が演説を行うまで、表には出てこなかった。そのため、フランスでも知らないという人が多いといわれる。

『サラの鍵』は、ヴェルディヴ事件をベースに書いた小説である。

主人公は、ユダヤ人の少女サラとアメリカ人記者のジュリア。

ヴェルディブ事件が起きた日、サラは幼い弟を助けようとして箪笥の引出しに隠す。

そして、ジュリアはヴェルディヴ事件について調べていて、サラのことを知る。このことがきっかけで、自分の夫の家族が隠している秘密を知ることになる。

1942年と現代を描くことで、サラに何が起こったのか、パリに住むユダヤ人の非劇を知ることになる。

臭いものにはフタというが、どこにでも触れられたくないこと、隠したいことはあるのかもしれない。第二次世界大戦中のユダヤ人迫害については、隠せないことと判断したからこそ、シラク大統領は演説したのだろう。

国際情勢を見るとヨーロッパは右傾化が進んでおり、ヒトラーのような指導者が出てくる可能性だってある。ヨーロッパだけでなく、世界中でこのような非劇を繰り返してはならない。そのためには、歴史を知る、学ぶということは大切だ。

話は変わりますが、昨日の「いだてん」はよかった。ベルリンオリンピックの異様な光景。それは、実際にその場に行った人にしかわからないことなのかも。田畑政治や嘉納治五郎の苦悩。そして、金栗さんも小松君も、播磨屋の人々もみんな優しすぎる。彼らのような人ばかりなら、戦争なんて起こらないのに。製作する側の思いが伝わってくる回でした。


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