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【詩】間違いだらけの友情

彼女からくる手紙は間違いだらけ
誤字脱字だけじゃなくて慣用句の使い方もめちゃくちゃ
毎回丁寧にこういう意味ならこう、と柔らかく指摘してみるけど
直す気配は一向にない

いいんだけどね
わたしがわかっているから
なんだかんだいって
間違い探しをしてるみたいで、彼女の手紙は心待ちにしている

彼女の手紙は自己肯定感がありえなくらい低い
わたしなんかわたしなんか、と毎回書いてくる
もっと自分を大事にしなきゃよ、って毎回書くけど
わかっているのかいないのか

いいんだけどね
わたしが言葉に敏感すぎるだけなんだから

彼女の手紙を待っている理由は
彼女は絵がとても上手
画伯って皮肉られてきたわたしの画力とは大違い
手紙の最後に
ちょこっと書き添えられた自画像が
可愛いをはるかに超えてきてる

毎回可愛い絵の描き方を教えてもらうけど
わたしはちっとも理解できなくて実行できない
わたしのデッサンは間違いだらけ
彼女の手紙は誤字脱字だらけ

いつもわたしたちは、手紙でやりとりしている
日記みたいに
日直の日誌みたいに
わたしは楽しいから続けてるんだけど
彼女はほんとうはどう思っているのか
こわくて聞けないわ




※この詩はフィクションです。
実在の名称・団体・個人とは一切関係ありません。


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