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ネイチャーフィールドnote

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6月は「毎日チョウゲンボウ」6/30更新分

※「毎日チョウゲンボウ」は1990年に平凡社より刊行された「チョウゲンボウ(Kestrel)優しき猛禽」をWeb用に再編集したものです。 前回はこちら あとがき(1990年発行当時)私が写真家を志したのは18歳の春でした。そして、いつの間にか1羽の鳥に自分の青春を賭けてみたいと思うようになりました。 その中で、運良くチョウゲンボウに出会うことができたのですが、まさか10年も彼らにのめりこんでしまうとは夢にも思いませんでした。 私にとってチョウゲンボウの魅力は、ひと

6月は「毎日チョウゲンボウ」6/29更新分

※「毎日チョウゲンボウ」は1990年に平凡社より刊行された「チョウゲンボウ(Kestrel)優しき猛禽」をWeb用に再編集したものです。 前回はこちら ▲人里に雪が舞う。寒さに耐え、春を待つ ▲稲わらの上にとまる雌。秋から冬にかけては獲物の多い田畑や河原で生活している ▲春が来た!いつもの崖の、いつもの枝にチョウゲンボウがまた元気よく戻ってきた ↓続きはこちら↓ 著者紹介:平野 伸明(ひらの・のぶあき) 映像作家。1959年東京生まれ。幼い頃から自然に親しみ、や

6月は「毎日チョウゲンボウ」6/28更新分

※「毎日チョウゲンボウ」は1990年に平凡社より刊行された「チョウゲンボウ(Kestrel)優しき猛禽」をWeb用に再編集したものです。 前回はこちら さわやかな夏の風が川面を走り、崖全体が不思議な静けさに包まれている。あの若鳥たちも来年になれば立派に成長して、またこの千曲川の崖に帰ってくるのかもしれない。その時は親鳥に負けじとなわばり争いを繰り広げることだろう。 がんばれよ……。すっかりおい茂った崖の木々の葉が千曲川の風にそよいで、葉裏の銀色を光らせている。 私はこ

6月は「毎日チョウゲンボウ」6/27更新分

※「毎日チョウゲンボウ」は1990年に平凡社より刊行された「チョウゲンボウ(Kestrel)優しき猛禽」をWeb用に再編集したものです。 前回はこちら ▲▼獲物の奪い合いをする若鳥たち。せっかく獲物をもらっても、もたもたしていると兄弟に奪いとられてしまう 千曲川の風チョウゲンボウを追い始めて、いつの間にか10年が過ぎようとしていた。 半年間のテント生活のあと、翌年もまたその翌年も引き続き、佐久のチョウゲンボウを見ていたが、もうがむしゃらにシャッターを押すようなことはなく

6月は「毎日チョウゲンボウ」6/26更新分

※「毎日チョウゲンボウ」は1990年に平凡社より刊行された「チョウゲンボウ(Kestrel)優しき猛禽」をWeb用に再編集したものです。 前回はこちら 四季の風に乗って人里を舞う立派な猛禽に成長した若鳥は夏の風に乗って1羽、また1羽と旅立つ。親鳥はその後も崖に残り、秋から冬へと過ごす。山に囲まれた人里の冬は厳しいが、きっと来年の春も元気な姿を見せてくれることだろう。 ▲崖の岩の上で翼を伸ばす若鳥。まだ表情にあどけなさが残っている ▲下から吹きあがってくる風をとらえよう

6月は「毎日チョウゲンボウ」6/25更新分

※「毎日チョウゲンボウ」は1990年に平凡社より刊行された「チョウゲンボウ(Kestrel)優しき猛禽」をWeb用に再編集したものです。 前回はこちら ▲水浴する雄。子育てのあいまをぬって親鳥たちも翼を休める ▲砂あびする雌 ▲巣立ちを終えた雛たちが崖の上の木で翼を休めていた ↓続きはこちら↓ 著者紹介:平野 伸明(ひらの・のぶあき) 映像作家。1959年東京生まれ。幼い頃から自然に親しみ、やがて動物カメラマンを志す。23才で動物雑誌「アニマ」で写真家としてデビ

6月は「毎日チョウゲンボウ」6/24更新分

※「毎日チョウゲンボウ」は1990年に平凡社より刊行された「チョウゲンボウ(Kestrel)優しき猛禽」をWeb用に再編集したものです。 前回はこちら ▲崖の上空にオオタカが現われ、雌は翼を広げて威嚇した。オオタカは最大の天敵だ ▲警戒する雄。雄は家族を養い、守らなくてはならない ▲生後約1ヶ月。もう飛ぶ練習をして、外の世界に興味を示す雛たちの巣立ちは近い ▲巣立ち。巣穴のへりから崖をかけ登ってゆく ↓続きはこちら↓ 著者紹介:平野 伸明(ひらの・のぶあき)

6月は「毎日チョウゲンボウ」6/23更新分

※「毎日チョウゲンボウ」は1990年に平凡社より刊行された「チョウゲンボウ(Kestrel)優しき猛禽」をWeb用に再編集したものです。 前回はこちら ▲すっかり大きくなった雛たち。獲物を持って巣穴に戻る雌の姿を見つけて大さわぎ ▲人里近くの崖の巣穴でチョウゲンボウの雛たちはすくすくと育ってゆく 雄と雌の仲の良さ、子育てのうまさ。おとなしく、可愛い雛たち。チョウゲンボウとは、見る者を何と心やすらかにさせてくれる鳥だろう。 半年間のテント生活はまたたく間に過ぎた。始め

6月は「毎日チョウゲンボウ」6/22更新分

※「毎日チョウゲンボウ」は1990年に平凡社より刊行された「チョウゲンボウ(Kestrel)優しき猛禽」をWeb用に再編集したものです。 前回はこちら ▲生まれたばかりの雛。白いうぶ毛につつまれたチョウゲンボウの雛はとても可愛らしい 雄たちは大忙しで狩りに朝から晩まで追われ続ける。雌たちは雄から受け取ったネズミや小鳥の獲物を細かくちぎり、雛に与える。 ▲雛が生まれて雄は忙しくなった。獲物を持ち帰り、雌を呼ぶと、雌はすぐに巣穴から飛び出してくる 甘えん坊の雛たちにさい

6月は「毎日チョウゲンボウ」6/21更新分

※「毎日チョウゲンボウ」は1990年に平凡社より刊行された「チョウゲンボウ(Kestrel)優しき猛禽」をWeb用に再編集したものです。 前回はこちら 敗れた右上の巣穴の雌は、しばらくそこで翼をだらんと下げてじっといていたが、やがて、今にも落ちそうな弱々しい羽ばたきで自分の巣穴へ戻った。 以後、2つの巣穴の間には目に見えない確固たるなわばりが存在し、闘いに敗れた先住の雌は、決してそのなわばりを犯そうとはしなかった。 崖半分のなわばりと巣穴をひとつ確保した雌は、巣穴を整

6月は「毎日チョウゲンボウ」6/20更新分

※「毎日チョウゲンボウ」は1990年に平凡社より刊行された「チョウゲンボウ(Kestrel)優しき猛禽」をWeb用に再編集したものです。 前回はこちら それは見ている私をふるえ上がらせるような、熱く激しい闘いだった。このままではどちらかが死ぬ。私はブラインドを飛び出して2羽を分けようかと思ったほどだった。 離れてはまたつかみかかり、足のつめをたて、くちばしで羽毛をむしる相手への執拗な攻撃は10分余り続いた。 ▲闘いは二転三転、激しさを増してゆく やっと「キィーッ」と

6月は「毎日チョウゲンボウ」6/19更新分

※「毎日チョウゲンボウ」は1990年に平凡社より刊行された「チョウゲンボウ(Kestrel)優しき猛禽」をWeb用に再編集したものです。 前回はこちら 3月もあと10日近くを残すのみとなり、求愛期間はもとより、産卵も間近に迫っているはずだ。あとからきた雌はどうするのだろう。 3月22日。もはやあとからきた雌にとってこれ以上の時間の猶予は許されなかった。彼女は自らの生と死を賭け、先住の雌に敢然と闘いを挑んだのである。 彼女は追いかけてくる先住の雌に突如反転してつかみかか

6月は「毎日チョウゲンボウ」6/18更新分

※「毎日チョウゲンボウ」は1990年に平凡社より刊行された「チョウゲンボウ(Kestrel)優しき猛禽」をWeb用に再編集したものです。 前回はこちら 生命を賭けた闘い春のおとずれは川の水のぬるみとともにやってきた。 食器を洗うのにも、衣服を洗濯するのにも、あれほど川の水に手をぬらすのが苦痛だったのに、いつの間にかその冷たさを感じなくなっていた。 そして、崖のチョウゲンボウの求愛にも一段と熱がこもってきた。雄はとまり場の枝からいきおいよく飛び立ったかと思うと、あっ