行政サービスをLGBTQ+が使いやすいものにするにはどのような取り組みが必要か
A.
大きく、1) LGBTQ+包摂を推進する政策・制度作り、2) LGBTQ+当事者を主な裨益対象とする施策実践、3) 性的指向、性自認、ジェンダー表現に関わらず必要なサービスにLGBTQ+視点を統合、の3つが挙げられる。1) は性的指向、性自認、ジェンダー表現に基づく差別禁止条例、2)は性自認に合った施設利用許可 3)は職員向けLGBTQ+研修の実施などが例として含まれる。
なぜ考えるのか
行政におけるLGBTQ+包摂推進が必要だから。行政のセーフティネットは全ての住民が困った際に利用できるものであるべきだ。しかし、LGBTQ+は行政サービスを受給しにくいと感じている人も多い。例えば、経済的に困窮した際に行政に相談できないと感じるLGBTQ+の割合はシスヘテロの人よりも高い。(下note参考)緊急性の高い困窮時にも相談できないと感じる人が多いということは、緊急性が低いサービスに関しては、相談せず、我慢をしている人が更に多いかもしれない。各種サービスを包摂的なものにし、利用しやすくする必要がある。
取り組みまとめ
今回は、2019年に発表された「LGBT自治体施策提言集」の内容をまとめる。
これは、有志とNPO法人LGBTとアライのための法律家ネットワーク (LLAN)が自治体施策と参考事例を包括的にまとめたものだ。
LGBTQ+包摂を推進する政策・制度作り
首長、議会、または両方によるLGBTQ+支援宣言
差別禁止条例、ハラスメント禁止規定
公共施設利用の権利、採用での配慮など
LGBTQ+包摂に関する基本計画
主担当部局を明確にし、周知
LGBTQ+当事者を主な裨益対象とする施策実践
トランスジェンダー
性自認に合ったトイレ、更衣室、制服などを利用できるようにする
通称名の利用を許可
ホルモン治療などの医療サービスへのアクセス向上
行政書類の性別記入欄見直し
LGBTQ+一般
専門的な相談窓口の設置・紹介
パートナーシップ制度導入
異性パートナーがいる職員が得られる手当や休暇などを得られるようにする (注)プライバシーへの配慮が必要
性的指向、性自認、ジェンダー表現に関わらず必要なサービスにLGBTQ+視点を統合
職員向けLGBTQ+研修の実施・ハンドブック公開
民間連携団体への啓発
購買・業務委託先の差別防止
不動産団体
自治会・町内会・消防団
各種自治体サービス提供者への啓発
防災
医療支援
介護
高齢者福祉
児童福祉
障碍者福祉
子育て支援
性暴力対策
生活困窮者対策
自死対策
地域福祉
更生保護
教育
調べる際に持っていた仮説:
ジェンダー主流化と同じように、以下の3つの取り組みに分かれるのではないか。
1)LGBTQ+包摂を推進する政策・制度作り
2)LGBTQ+当事者を主な裨益対象とする施策
3)性的指向、性自認、ジェンダー表現に関わらず使うサービスにLGBTQ+視点を統合
→参考文献で挙げられていた施策を上記の枠組みで整理した。
参考
参考文献
生島嗣・小浜耕治・杉山文野・鈴木賢・谷口洋幸・長谷川博史・藤田博美・村木真紀・森あい・柳沢正和・NPO法人LGBTとアライのための法律家ネットワーク (2019) "LGBT自治体施策提言集"
https://nijibridge.jp/wp-content/uploads/2021/02/regionallgbtpolicy201902.pdf
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