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【短編小説】 ふしぎなおにいさん。
ケンちゃんは小さな二才の男の子。
おたんじょうびにずっとほしかったプレゼントをもらいました。
白い大きなぬいぐるみのクマちゃんです。
きのうの夜はうれしくていっしょにねんねしました。
きょうのごはんは大すきなオムライス。
ケンちゃんはおおよろこびです。
大きなスプーンですくってパクパク。
クマちゃんにも、あ~ん。
ケンちゃんストップ!!
ママが大きな声でかけよりました。
クマちゃんのおクチにケチャップがぺったり。
ケンちゃんは大きな声のママにびっくりして泣いちゃいました。
「ごめんね、びっくりしたね」
ママがケンちゃんをなでて、
クマちゃんのクチをタオルでふいてくれます。
クマちゃんのクチにはケチャップの赤色がのこってしまいました。
次の日にケンちゃんとママはクマちゃんと一緒におでかけしました。
ママがお店のドアを開けてはいります。
やさしそうなおにいさんが「いらっしゃいませ」と言いました。
ママがおにいさんにクマちゃんのクチを見せて、
「これ、おちますか?」と聞きました。
クマちゃんのクチをグっと広げて「あぁ、ケチャップですかぁ」
ケンちゃんはおにいさんがクマちゃんをいじめていると思いました。
「やめてぇ」
ケンちゃんは泣いてしまいした。
「ごめんごめん、クマちゃんいたいよねぇ」
おにいさんがクマちゃんをなでながらケンちゃんにあやまります。
「クマちゃん、おにいさんがまっ白にもどしてあげるからね」
おにいさんがパチンとたたいた手からキャンディがポンッと。
ママとケンちゃんはびっくり。
おにいさんがニコニコしながらキャンディをケンちゃんにくれました。
「クマちゃん、いつかえってくるの?」
「ケンちゃんがいい子にしていたら、すぐにかえってくるよ」
ケンちゃんのポッケには、
「おひさまクリーニング」とかかれたキャンディが入っています。
ケンちゃんが手をポンとたたきました。
ケンちゃんの手からキャンディは出て来ません。
「おにいさん、ふしぎね。」とママが言いました。
つぎの日にケンちゃんはパパとママとお出かけをしました。
えきへ行ったらおんがくたいの人がいました。
大きなパンダがいてケンちゃんに手をふってくれます。
ひろばにきのうのおにいさんがいました。
じょうずにボールをたくさんなげたり、
バラバラのわっかがつながったり。
びっくりしているケンちゃんにおにいさんが気づきました。
おにいさんがかぶっているぼうしをとったらハトがとびだしました。
「わぁー!!」
みんなでパチパチと手をたたきました。
おにいさんは手をふってくれました。
何日かねんねをしたあと。
ママとケンちゃんはおにいさんのところへ行きました。
ドアの向こうでケンちゃんにおにいさんが手をふっています。
テーブルにクマちゃんがすわっています。
「こんにちは」
ケンちゃんが元気にあいさつをしたら、
「こんにちは、こないだはありがとうね」
おにいさんもごあいさつ。
「クマちゃん、おうちに帰ろうね」
おにいさんがケンちゃんにクマちゃんを渡しました。
クマちゃんのおクチは真っ白にもとどおりです。
「ありがとう!!」
ケンちゃんはとってもうれしくなりました。
おにいさんがむねをポンっとたたいて「またきてね」といいました。
「おにいさん、すごいね」
「そうね、なんでもできちゃうね」
「また行こうね」
「そうね、行こうね」
ケンちゃんはクマちゃんを抱っこしてかえりました。
夜にパパがかえってきました。
パパのシャツをケンちゃんが引っぱります。
「おいおい、どうしたの?」
「あした、おにいさんところにいけるね」
ママが笑いながら「そうね、行こうね」と言いました。
あしたはふしぎなおにいさんに会いに行けます。
またキャンディをポンっと出してくれるかな?
ケンちゃんはとっても楽しみです。
にこにこしながら真っ白なクマちゃんとねんねしました。
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