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スターバックス発作

少し混み合う日曜日のカフェの列で私は呼吸がわからなくなっていた。ここに辿り着くまで無意識に続けてきた呼吸が出来なくなる。
列を離れようか、順番は次なのに離れたら店員さんや後ろに並ぶ人は不審に思うだろうか、そしたら今日はここでコーヒーを飲むことは叶わなくなるな、でも苦しい、そんなことを考えているうちにどんどんと心の余裕はなくなり目の前がゆらゆらと霞む。

選択に迫られ、決断できずにいると順番がきた。
よしスターバックスでの対応には慣れている、どうすれば接客を早く終らせてもらえるのかは分かる、大丈夫だ。『店内で、アイスドリップコーヒー、トールでお願いします。』知人からもらったクーポンを差し出し、品物とレシートを受け取ると上昇する体温に急かされて飛び出した。

一旦外へ出て2階席のテラスに上がる。あんなに混みあっていた店内とは打って変わって大きな座席には男性ひとりだけしかいなかった。
アイスコーヒーとテラス席は座り込んだ私の体を必要以上に冷やしてくれた。発作の起きた場所から落ち着ける場所へ移動すると気持ちが落ち着いてきて考えが浮かんでくる。
外で飲むならホットの方が良かったじゃん、さっきどんな酷い顔してただろう、店員さんにちゃんと笑顔を向けられてたかな、とちっちゃい後悔が水泡みたいに浮かんでは消えた。
春風と呼ぶには優しくない強風に吹かれる。
凍えかけながら店内には置かれていないふかふかのソファーにより深く座り込み思いっきり息を吸い込んだ。こんなに良い席があったのか。知らなかった。

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