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ハーメルン【14】

これはフィクションです。
ハーメルン【1】
ハーメルン【2】
ハーメルン【3】
ハーメルン【4】
ハーメルン【5】
ハーメルン【6】
ハーメルン【7】
ハーメルン【8】
ハーメルン【9】
ハーメルン【10】
ハーメルン【11】
ハーメルン【12】
ハーメルン【13】の続きです。

ノリちゃんの笑顔につられて、みんな顔を見合わせて笑顔になった。
「そうだ、ママ!!」
僕は、ママが眠っていることをすっかり忘れていた。
急いで居間に向かう。あんなに僕らが大きな音をたてたり、叫んだりしてたのに、ママは最初に横になった時のまま、同じ姿勢で眠っていた。
不安になった僕はママの肩に手を置くと、そうっと揺らした。
その瞬間、催眠がとけたように、ぱっちりと目が開く。そして、あわてて起き上がった。
「まぁ、もうこんな時間!お昼ごはんの準備、まだ何もしてないわ。」
「ママ、具合悪くないの?大丈夫?」
「あぁ、大丈夫よ。すっかり眠りこんじゃって、ごめんなさいね。何とも無いわ。それどころか、すごくスッキリしてる。最近、なんだか頭がぼんやりしてたんだけど、まるで霧が晴れたみたい。すぐにお昼、用意するわね。」
すっきりした表情から、ママがすっかり元気になったことは僕にも分かった。
「ママ、みんなが遊びに来てくれたんだ。」
そう言って振り返ると、居間の入口からみんなが心配げに覗いていた。
「あら、嫌だ!私ったら、全然気付かないで寝てたなんて、恥ずかしい。」
ママは両手で頬をおさえて肩をすくめた。
「すぐに、お茶の用意もするから、みんなには先に部屋で、あのボードゲーム始めててもらったら?」
「うん!そうだね。」
みんなを僕の部屋へ連れて行った。
キッチンへ戻ると、ママは冷蔵庫の前に立ってドアに貼られたウサギのステッカーを指でなぞっている。
「ママ、それ…」
どう説明しようか、迷いながら口を開く。
振り返ったママは微笑んでいた。
「このウサギ、ママのお気に入りって知ってたの?うふふ、かわいい。ありがとう。」
予想外の反応に面食らっている僕の様子には気付かずに、ママは鼻歌をうたいながら、テキパキとみんなのお茶や僕の昼ご飯の為にうどんを準備した。

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