今宵、あなたの腸内細菌を守りに参ります
午前中に買い物を済ませて帰宅すると、扉にメッセージが書かれた紙が挟まれていた。
キャッツアイが現れたのか?
紙を手に取り辺りを確認しながらちらりとメッセージに目を通す。
「再来週の月曜うかがいます」
登場予告、いつの間に・・・急いで玄関に設置しているBOXを開けると、中にいつものヤクルトが入っている。
私は毎日ヤクルトを飲んでいる。
「なみさんったら子供みたい!」と笑われたくないので、格の違いを見せつけるスタイリッシュな「Yakult1000」だ。
なぁに、金ならある。
ヤクルトは老若男女を魅了する国民的乳酸菌飲料。
特にYakult1000に含まれる「乳酸菌 シロタ株」はストレスの緩和と睡眠の質向上が報告されている。
市販のものは少し背の高い、大人っぽい背伸びしたデザインだが、確実に手にいれ続けたいので私はヤクルトレディと密約を交わしている。
なのでうちの冷蔵庫のYakult1000達は皆一様に、みんなのよく知るあのヤクルトサイズだ。
元々目覚めは良い方なので、スッキリ起きてるかどうかは検証結果を報告できないが、お腹に関しては良い感じだ。
たまに旅行やが移出でリズムが乱れても、ヤクルトにプラスしてヨーグルトを食べるとその日中に私は解消できる。
一番上の姉に教わったのだが、ヤクルトはボトルの形が丸いものは「小腸」に、四角い形のミルミルは「大腸」に効果が期待できる乳酸菌を使っているらしい。
菌は出来るだけ違う菌を摂った方が効率が良いと聞いたので、ミルミルを飲んでみるのも得策。
どちらの腸の調子がよく無いのかが分かる。
ただ、ミルミルは賞味期限がすごく短いので注意!そんなところもあって私はヨーグルトにしている。
コロナ禍の終わりに大流行りし、ニュースにもなったので記憶がある人もいるだろう。
睡眠には大谷翔平くらい気を遣っている私は、すぐにでも手に入れたかったが、街中で手に入れるのは困難至極。
どうしたものか?と日課のランニングをしていると、たまに見かける3輪バイクが私の隣を走り去った。
そうだ!ヤクルトは定期購入が可能なのだ!
私は手練れのナンパ師くらいの速さでヤクルトレディに声をかけたが、生産が追いついていない状態を理由にその場で一度丁重に断られ、ナンパ失敗。
だが、私は変なところで謎の強運を発揮する女。
母の友人に歴の長いスーパーヤクルトレディがいて、ねじ込んでもらうことに成功したのだ。
持つべきものはヤクルトに顔が効く母親だ。
おかげでもう1年、毎日ヤクルトを飲んでいる。
さてと。
なんだかヤクルトの回し者みたいなnoteになったな。
なぜ急にヤクルトについて語り出したか?
新しいnoteのハッシュタグでも、ヤクルトのキャンペーンでも無い。
実は担当のレディが今日で交代になってしまったのだ。
私の場合、ストレスの緩和は彼女達の存在が大きい。
毎日の健康習慣に始めたヤクルトだが、定期的に来てくれるレディとの会話にやさぐれかけた心を何度救われたか。
普段あまり話さない人と定期的に交わす会話は程よい刺激になるし、子供がいない私にとって彼女達の子育ての話を聞くのは楽しい時間でもあった。
体調不良でいつものレディが現れなかった時は、心配で元気な笑顔を2週間待ち侘びてしまった程だ。
これもヤクルトを続ける理由の一つになっていると思う。
一人暮らしの老人みたいな事を言っているのはよく分かっている、だが事の重要性を身を持って体験した。
面と向かって交わす会話は本当に大切なことだ。
出会いは約1年前。
元々の担当だったレディが一度だけうちに来た後に、出産の為に休暇に入り、彼女はその間ずっと引き継ぎで担当してくれていた。なので私の中で担当はすっかり彼女になっていたのだ。
だが、元々の担当だったレディが職場復帰をするので、彼女は今日を最後に担当を離れることになった。
「また会おう」
最後のヤクルトを私は受け取ると、溢れる感情を抑えきれずにしっかり握手を交わして友好のハグをした。
彼女は少し戸惑ったが、私の熱意に頷いて身を預けてくれた。
「担当が来れない日は変わらず私が来ますから」
そう言ってぽんぽんっと優しく背中を叩いてくれたレディの目にもうっすら涙が見える。
いつもは彼女に見届けられながら先に扉を閉めるが、今日だけは、今日だけは私が彼女の背中を見えなくなるまで見送った。
ここでどれだけ書いても1/3も伝わらない、純情な感謝は空回りしかしないが、うっかり最後の日が予定と被らなくて本当に良かった。
たかが一年、されど一年。
今生の別れみたいな最後を交わしたレディへ、感謝と友愛を込めた話でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?