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せやかて工藤!

コナンの新作映画が公開されるのか、テレビを見ているとやたらと五稜郭が写り、いつのもテーマが流れる。
もうあれを聞くと脳裏に「コナンの次回予告」と浮かぶ擦り込みは本当にすごい。

私の趣味は人の趣味に首を突っ込むこと。
何しても楽しいご機嫌な犬みたいな性格のなので、どんな事でも楽しむ特技を持っている。
自分の好みが人に理解されにくいので、人に合わせる方が楽という理由もある。

知識はある方が役立つから、何でもござれと常に大風呂敷を敷いて生きているのだ。

コロナ前のことだが、職場の友人がかなりコナンに沼っていて、そのオタ活の付き添いをよくしていたことがある。
基本的にはユニバーサルスタジオのコナンイベントに一緒に参加したり、コナンのコンセプトカフェに一緒に並んだり、謎解きイベントに参加するためひらパーに行ったりと「コナンが好き嫌い」を有無にしても、普通に遊びとして成立するので楽しくやっていた。

私よりも同じ趣味の友人、今で言う「推し活仲間」と行けば楽しいし、話も早く捗るのでは?と思っていたが、そうではないようだ。

「知識ゼロ」だから語れる

オタクという生き物は何しか「語りたい」
もはやファン同士の会合は楽しいおしゃべりの時間ではなく「話の遮り合い」に等しいほどみな語りたいし、聴いてほしいのだ。
相手の知識がなければないほど「仕方ないな」の空気を出しつつ語れる。
丸腰の相手にマシンガンをぶっ放せるのだ、はずしようもないし遮るものも何もない。
しかも私はこの時、自分の趣味と違う友人の趣味という3足の草鞋を履いていたので、聞いた内容が混ざったり忘れてしまい、メメントくらい何度も語らせたいた。
君は根気がいいな、と称賛してたら何度でも繰り返し語れる最高の時間をプレゼントしていたようだ。
知らないうちに、役に立ってる。

アイテムを全て持ち帰れる

付き添いなので、キャラクターに興味はなく、腹を満たす為にコンセプトカフェに行っていた。
なので、友人は手に入るもの全てを手中に収めることが出来る。
「来場者特典」「限定のペーパーランチシート」「特典付きドリンクについてくるカード」等、無条件で最低でも2人分を手に入れることが出来る。
私の友人は「割り箸の箸袋」まで持って帰っていた。保管するそうだが、どんなタイミングで出して眺めるのだろう。
価値観の違いを垣間見るいい機会になった

謎は全て解ける

謎解きイベントに参加した時。サスペンスやミステリー小説、映画を浴びるように読んで見ている私は、大人向けの高難易度の謎を入場して2個目のヒントで解いてしまった。
友人はゴールに走り、先着でもらえる特典を1番でゲットして一躍時の人になった。
だが、私は友人に答えとカラクリを事細かに伝えている最中、近くにいた女子グループに「ヒッ・・・」と聴いたことのない声をあげて引かれた事に心を痛めた。
楽しむことがコンセプトだ、もう少し時間に余裕を持って伝えれば良かったのだが、近くにいたスタッフに「特典は早い者勝ち」と聞いて正義感が優ってしまった。
よくなかったのは私だ。
ドラマ「相棒」の左京さんくらい含みを持たせればカッコよく去れたものを・・・今も思い出すたび心がウッとなる。

コナンではいち早く謎を解くと持て囃されるが、急に現れたただのメガネが解くと引かれる。
主人公になれないメガネは、それを肝に銘じて生きねばならない。

物欲センサーに引っかからない

多分、これが一番大きいと思う。
スマホのゲームのガチャで「欲しいキャラこそ来ない」状態に何度も陥る。昔話のよくばり爺さんではないが、欲をかいてしまうと手に入らないのだ。
宝くじを当てるコツで、“買って忘れているくらいの方が当たる“と聞いたくらい物欲センサーはかなり感度が高い。
私は友人の推し「安室透ホイホイ」と言われたほどに彼の引きが良かった。ユニバでは近くにいた見知らぬ人の分もラバーストラップを引き当て、ランチをご馳走してもらった。
運は人の為に使うものだな。

約1年、彼女と推し活を共にし、たくさんのコナンを浴びた。
でも私は全くコナンに沼らなかった。

せやかて工藤。
こんだけ貴重な体験して、美味しい思いもしてんのや、ちょっとくらいは靡いたんちゃうか?

いや、あんたそんなん言うけど実際問題な、沼れんかった事が言いにくいぐらいほんまに何もあらへんねん。
例えばキャラの写真を足元にバーっと並べられて「お前踏まな殺すぞ!」て脅されても「ヘイヘイ、これでどうでしょ?」って踏めてまう程度の思いやねん。
今のはただの例えで、実際はそんなんしたりしませんよ?
ほんまは好きやけど、今更そんなん言い難いからとか、そんな隠れキリシタンともちゃうねんでーって言いたいねん。
ほんま、しょうみかすりもしてへんねん。
逆にどうなんこれ?

魅力的なキャラ、目を見張る発想、耳を疑うトリック、独創的なストーリー展開。その全てをじゃぶじゃぶ浴びた一年やった。
ほんまに全然、全くなんも心に触れてへんってゆうたら嘘だぜ、バーロー。

多分、私にはキャラの筋肉が足りなかったことが1番の理由だと感じている。
少年漫画を読む理由の一つに、筋肉の描写がある。それが足りない。
コナンにも武闘派キャラは数人いて、映画でその実力を発揮し、ジャイアンみたいに普段以上にカッコよくなるけど、もう少し生々しさが欲しい。

でも、青山先生の独特のタイトルの付け方は大好き。
漫画「BLEACH」の久保帯人先生のポエムくらい独自のやり方でかっこいいと私は推している。

名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)
名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)
名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)

お気に入り3タイトルを抜粋。タイトルを調べてたら興行収入がとんでもない額で驚いた。
大谷さんの年俸に驚いていた日が懐かしくなる金額

しかもこれ、声に出して読むと響きがいいんですよ。
口触りの良さは、言葉に必須だと私は思う。
どんなにカッコよく縁取った言葉でも、ゴツゴツと言い難いと響かない。
さらりと溢れて口にしたくなる言葉が最終的に常套句になり、生き残る。

それは不意に真似して使いたくなるキャラクターの口癖も然り。

「せやかて工藤」と「バーロー」は今でも私の中でしっかりと根を張り、事あるごとに口から出ては皆んなを楽しませている。


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