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「書くことで前に進む」

先日参加したオンライン・イベントに関して書きたいと思います。

「その土地らしい風土や、死生観を手がかりにして、現代の私たちが失いつつある、自然といのちが共振する知覚を取り戻すための活動」を行う一般財団法人 ハヤチネンダが主催したイベントです。

イベントのナビゲーターはノンフィクション作家の川内有緒さん編集者の川村庸子さん。でもこれは不思議なイベントで、概要には以下のように書かれていました。

本来、生と死の物語はどこにでもあるものです。しかし、現代ではそれを日常のなかで感じたり、語り合ったりすることからどんどん遠のいてしまっているように感じます。私たちはもっとパーソナルな体験を書き、語っても良いのではないでしょうか? もちろん個人的なことを書くのは少し勇気が必要です。しかし、おふたりはそれこそが自分に必要なことだったと語ります。

そもそもおふたりには「個人の小さな声が書かれた本がとても好きだった」という共通点があります。ポール・オースター著『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』、ミランダ・ジュライ著『あなたを選んでくれるもの』、上間陽子著『海をあげる』、岸雅彦『断片的なものの社会学』、キム・ハナ、ファンソヌ著『女ふたり、暮らしています。』

……こころに残っている本を挙げたら切りがないようです。

今回は、ふたりのおススメの「小さな声の本」について語り合い、自分のことを「読む」「書く」ことについて考える時間を持ちたいと思います。いえいえ、堅苦しい話はしません。コロナ禍で不足している、気楽なおしゃべりの時間を一緒に持ちませんか? というお誘いです。

そして、もしよければ、あなたも文章を書いてみませんか? テーマは「あの日の風景」。あまり人に話したことがない、数年後には忘れてしまいそうな、でもちょっと誰かにきいてもらいたい話。もちろん生死にまつわるものでなくても構いません。ふたりのおしゃべりの時間のなかで、いただいた文章についても読んだり、話したりしたいと思っていますが、ただそっとふたりに向けて書いてみてもらうのでも良いと思います。

私は案内人の川内有緒さんの本の愛読者なので、川内さんのツイッター経由でイベントのことを知り、参加を決めました。しかも、応募したら私の文章をお二人に読んでいただけるとのこと。なんという光栄。
私が、自分なりの「あの日の風景」を書いた原稿は、以下のリンクからご覧いただけます。

https://hayachinenda.org/news/004130.html

夫の祖父が亡くなった時の、少し不思議な思い出です。

●「リアリティと普遍性のある話」

応募作は、私のものを含めて全13作。私もすべて読みましたが、すべてがしみじみと味わい深く、改めて「実体験の強さ」を思い知りました。事実は小説よりも奇なり。

そしてこの応募作たちに対して川内さんと川村さんが感想を述べて下さいました。イベント中にご本人たちも注釈されていましたが、決して文章アドバイスや良し悪しの批評ではなく、あくまでもその作品に対するお二人の感想です。
私の文章に対しては

「まさに『ナショナルストーリー・プロジェクト』だなと、読んだとき嬉しくなった」(川村さん)
「本当にこういうことがあってんだろうな、というリアリティと普遍性のある話」(川内さん)

という感想をいただけました。
「ナショナルストーリー・プロジェクト」は、先日の私の読書記録でも紹介した本です。実は、このイベントの参加準備として読んだんです。
さすがお二人が大好きというだけある不思議な魅力のある本なので、その世界観に重なるものを感じてもらえて非常に嬉しく思いました。

●「だから、書くことは大切」

他にも、案内人のお二人の会話だったり、他の応募作品への感想のなかにも、感銘を受けた言葉がたくさんちりばめられていました。
流れの中で読まず、切り取りだと唐突に聞こえる(見える)かもしれませんが、いくつか抜粋したいと思います。

時間は巻き戻せないという事実に圧倒される。(川内さん)
一回性というところに自由を感じる。(川村さん)
思い出せなさがやるせない。(川内さん)
書いた原稿が、今後の支えになるのでは。(川村さん)
その瞬間は、いつ来るか分からない。(川内さん)
「幸せは、時間の中に流れる。それをふとした時に取り出して味わえる。」
だから、書くことは大切。人間が持てる、尊い武器。(川内さん)

これらは、私の当日のメモをもとに書いているので、大幅に簡略した表現になっています。もしかしたら、いま読んでくださっている皆さまにはちんぷんかんぷんかもしれません。でも、あの時間を川内さん・川村さんと共有していた私にとっては、とても大事な言葉になりました。

そのほかにも、川内さんがご自身の著書「晴れたら空に骨まいて」でご自身のお父様の人生と死について書いたことを、「書くことでそれを手放せ、前に進むことができた」という趣旨でお話しされていました。
更に、川村さんも川内さんも、体験した直後に書き残していた自分の文章に、のちのち助けられた経験があるのだそう。
私も自分の過去のブログを読み返すと、すっかり忘れていたけれど、自分に大事なことが書き残されていることもあります。

日々の忙しさにかまけて、私はついついその時々の想いを書き残すことをなおざりにしてしまいがちです。けれどやはり、何らかの形で自分だけの体験を書き残していくことは大事なのだなと再認識したイベントでした。
改めて、日々の些細な想いや出来事をまめに書き残していきたいと思います。

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(Kindle版)「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間
(紙版)「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間

レギュラーで書いている主な執筆媒体のご紹介です。
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サライ.jp

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