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自動運転車が家になる時代

https://toyokeizai.net/articles/-/314886

自動運転の導入が始まれば、
仕事が淘汰されるのはもちろんですが、
経済構造自体に変革が起きそうです。

アマゾンは今、
「アマゾンフレックス」という
新たな仕組みを始めてます。

誰でもアマゾンと直接
個人事業主として事業提携して、
アマゾンの下請けとして
配送業ができるというものです。

これは短期的には
ドライバー不足の解消のためでしょうが、
中長期で考えれば、
アマゾンが全てのドライバーの
データを収集可能になる
ってあたりに真意を感じます。

いつ誰がどの荷物をどのサイズの車で
どのポイントからどのポイントまでを
何分かけてどんな速度で走ったか、
その結果、顧客は受け取ったか不在だったか、
などなど全てのデータがアマゾンに蓄積されます。

それらの膨大なデータは
ディープラーニングに活用され、
自動運転、あるいはドローン配送を見据えた
最適化案を算出していくはずです。

つまり、
「人間を使わなくてもよくするには
どうすれば良いのか」
というところにフォーカス
してるんじゃなかろうかと。

人間の方が安いうちは人間を使いますが、
そう遠くない未来に必ず、
ロボットの方が安く使えるようになります。

その時が運送業の終焉です。

地元のドライバーしか知り得ないような、
地方の田舎の謎の裏道とかのデータも、
GPSを介して全部アマゾンが持ってるわけですから、
それをロボットに学習させながら
なぞらせればいいだけです。

アマゾンを含め、運送会社はいまは
再配達のコストを下請けのドライバーに
転嫁してると思いますので、
独自配送となると再配達コストが
バカにならないと思いますが、
これも、膨大なデータと置き配で解決です。

人間のドライバーは徐々に失業するわけですが、
じゃあ完全に仕事がなくなるかというと、
そうでもないんじゃないかとも思います。
これもよく言われる話ですが、
新たに生まれる仕事ももちろんあるはずだから。

例えば、自動運転車が走行しやすいような
路面を整備する仕事は必要に
なるんじゃないでしょうか?

あるいは、
自動運転車やドローンが入りやすい
住宅のエントランスを整える仕事とか。

今はロボットに人間の仕事を手伝わせてますが、
これからはロボットの仕事を人間が手伝う
ようなイメージになるのかもしれません。


物流が激変するってことは、
僕らの買い物の仕方も大幅に変わりそうです。

ECでの買い物の利便性が高まるので、
ネットのモールはより充実し、
人件費と物流コストが下がる分、
リアル店舗との価格差もさらに広がります。

もうすでに始まってますが、
これからリアルの店舗はさらに
すごい勢いで潰れ続けるでしょう。

そうなってくると、
今までネットにつながっていなかった層も
いよいよネットを使って買い物を
するようになりそうです。

あるいは、もっと直感的に、
例えば、ドローン回遊専用のお店ができるとか。

ドローンなりカメラなりをアバターにして、
自宅の画面から店内空間を疑似体験できて、
欲しいものを画面上で選んでカード決済、
すると1時間後には自宅に届く、みたいな。

どうせネットで買えるものを
わざわざリアルの店舗に置いて
カメラで見てもらうなんて
無駄な仕組みにも思えますが、
意外とこういう、一見無駄なものが
ウケたりもするんですよね。

ネットショッピングよりは
エンタメ性も高いでしょうし。
なにより、
「直感的に見れる」というのは
人間にとってはけっこう
大事なことのように思います。

僕はネットで買い物することが多いですが、
やっぱたまにはリアルのショッピングモールに
行きたくなりますからね。

陳列の工夫だとか、
廊下の催事コーナーだとか店内放送だとか、
たまたま友達とばったり出くわすとかは、
リアルでしかできないことですので、
その辺にリアル店舗の生き残りの
活路があるようにも思います。

「リアル×サイバー」

をいかに上手に演出するかが
カギになってきそうですね。

リアルの店舗ならどのビジネスにも
言えることですので、
物販の世界だけでなく、
例えば美術館とかだって、
やろうと思えば遠隔で見てもらえるような
サービスを提供できるわけですし、

遊園地なんかも、自宅からVRで
入園できるようなサービスがあれば
リアルでは閑散としていても
サイバー空間では賑わっている、
という状況もあり得ます。

もちろんリアルでの臨場感に
匹敵する体験をサーバー空間で
得ることはまだまだ難しいでしょう。
特に美術品なんかは、
「やっぱり本物をナマで見ないとね」
という価値観も根強いと思います。

とはいえ、これからのカメラは、
人間の網膜よりも精細に
画像を捉えますので、
カメラとモニターを使った方が
肉眼よりも綺麗でリアルに見える
というジレンマが起きてきます。

臨場感の閾値を超えることが
容易な業界から順に、
サイバー化していくのかもしれません。

これが簡単な業界と難しい業界があって、
例えば飲食業はなかなか難しそうですよね。
実際に店舗に行かないと味わえません。

小さなラーメン屋さんが、
その味を完コピできるほどの
ロボットを導入するのは難しいと思いますので、
しばらくは自動化もしないでしょう。

コーヒーだとかカクテルだとかの
比較的単純なものは
すでにAIが世界最高峰の味を
完コピできるようになってます。

グーグル本社の社員食堂では
ロボットが料理をしているようですが、
それがローカルの店舗に落とし込まれるのは
まだ先になるでしょう。

電気刺激を使って味を再現する
技術もあることはありますので、
例えばその店の味を
電気的に生み出すことは
できるかもしれません。

そうすれば、店に行かずとも
自宅で本場の「味」を
体験することはできますが、
「美味しさ」の構成要素は
単に「味」だけではありませんので、
食感やにおい、音なんかも再現できなければ
なかなか受け入れられないでしょう。

『サイコパス』という
近未来が舞台のアニメの世界には
「フードプリンター」という機械があって、
大抵のものはそれで作れるんですが、
いずれはそうなっていくのかもしれません。

そうなったときには、
食品もいよいよ「情報化」されます。
「レシピ」さえあれば、
フードプリンターが完璧に
同じものを作ってくれるわけです。

フードプリンターの前に
3Dプリンターの精度が
もっと上がってくると思いますが、
そうなると、服屋さんなんかも
これに乗っかってくるんじゃ
なかろうかと思ってます。

デザイナーのパターン情報さえあれば、
商品は陳列しておく必要はなくて、
化学繊維のものならその場でプリントできます。

試着室を改装して、
3Dスキャンルームにして、
全身をスキャンし、
完璧なサイズ感でオーダーメイドの服が
その場で作れちゃう的な。


ゾゾスーツは失敗したと言われますが、
これは、めんどいからなんじゃないかなと
個人的には思ってます。

「めんどくさい」ってのは案外
無視できないファクターで、
人間はほんとめんどくさがりなんですね。

ゾゾスーツが届いても、
たぶん多くの人は自宅で着て
スマホでいろんな角度から
撮影するなんてことは
したくないんですよね。
そこを、ショッピングという
エンタメと結びつけることができれば、
3Dスキャンをしてほしい人は
一定数いるんではないかと。

そしてこれは、
スキャナとプリンターさえあれば、
誰でも完全独自ブランドでアパレル製造小売業に
挑戦できるということでもあります。

パターンのデータだけを売り物にして
服屋に卸すということもできそうです。

ちなみに3Dスキャンデータは
とても有意義でマネタイズしやすいです。

健康産業あたりが喉から手が出るほど
欲しい情報なんじゃないでしょうか。

メタボだとかむくんでるだとか
ぜんぶわかるわけですから、
最適な商品を提案できるんですよね。

つまりこれからの服屋さんは、
最強の個人情報に
アクセスできる可能性を
秘めてるわけですね。


話がずれましたが、
自動化できない業界の最たるところは、
高い肌感覚が求められる仕事です。

前述のラーメン屋のような飲食業のほか、
僕もかじってるんですが、
整体なんかがあると思ってます。

そもそも人体のメカニズムが
まだ解明されていなくて、
しかもこれはしばらくは
解明されそうにありません。

いまの技術だと、
世界最高のスーパーコンピュータを
何十台並べてフル稼働させても、
生物の分子レベルのメカニズムを
計算し尽くすには数千年単位の
時間がかかるようです。

量子コンピューティングが始まって
ようやくスタートラインに
立てるような領域なんですね。

でも、整体だけでなく
気功とか鍼灸とかもそうですが、
「科学では解明できてないけども
なぜか効果が出てしまう」
みたいなものが確かにありますので、
それは、AIやロボットには
できなそうですよね。

ヒューリスティックな能力は
まだコンピューターよりも
熟練された人間の方が高いからです。

マッサージ機のようなものも
そりゃ進歩はするでしょうが、
人間の手の感覚に近づけるだけでも
コストがかかりすぎる上に、
一人ひとりの体の大きさや状態、
その日の体調なんかも考慮して
施術に落とし込めるようなロボットは
今のところ開発のしようがないはずです。

なんせ費用対効果が低すぎるので、
開発しようというモチベーションすら
わかないわけです。
総自動化時代のフロンティアは、
意外とこういうアナログな
業界にあるのかもしれませんね。


ちなみに、
自動運転が普及すれば
自動車の所有率が下がって、
シェアリング率が上がると
言われていますが、
僕はたぶん車の所有は
やめないんじゃないかと思ってます。

車が単なる移動手段なら
シェアリングで十分ですが、
僕にとって車は
カフェであったり、
図書館であったり、
倉庫であったり、
テントであったりと、
移動以外のたくさんの機能を
担ってるからです。

それがこれからは
フロントガラスがモニターになって
ネットにもつながって
映画を見たりPC作業もできる
ってことならもはや僕は
オフィスとして使いたいので
むしろ積極的に所有したいです。
なんなら暮らしたいです。

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